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中国のNFTプロジェクト事例
他と異なる中国のNFT取引プラットフォーム

中国のNFTプロジェクト事例

中国では、アリババが去年の6月に1.6万個限定のNFTアートを販売し、すぐに完売したことで、国内のNFTに対する注目度が上昇。

このNFT熱狂により、アーティストのみならず、ブランドやIP保有者もNFT作品を打ち出す結果となった。以下はその一部の事例である。

【現地取材】NFT熱狂が中国にも到来、その裏側は?
(画像=▲(weiboより)、『チャイトピ!』より引用)

・敦煌美術研究院の壁画NFT画像
中国の有名な観光スポットである敦煌の美術研究院が去年6月にアリペイと連携し、壁画をモチーフにした2種類のNFT画像を9.9元(約170円)の価格で1.6万枚限定販売。これを購入すると、アリペイの支払い画面が普通の青い背景からこの画像に変更が可能だ。
発売と同時に完売となり、中国版メルカリの閑魚では150万元の高額で転売されるというケースが発生した。(転売は禁止されたが、贈呈は可能であるため、水面下の取引が多い)

【現地取材】NFT熱狂が中国にも到来、その裏側は?
(画像=▲(weiboより)、『チャイトピ!』より引用)

・2022年アジア競技大会のNFTトーチ
杭州で開催予定の2022年アジア競技大会があと1年を切ったことを機に、イベントの聖火をモチーフにしたNFTが発売された。39元で2万個の限定販売を行い、これもすぐに完売となった。

【現地取材】NFT熱狂が中国にも到来、その裏側は?
(画像=▲(weiboより)、『チャイトピ!』より引用)

・小説家・劉慈欣サイン付きのNFTカード
上海市の浦东新区科幻协会で16名のSF小説家のサイン付きNFTカードを数量限定で発売。その中でも特に「三体」の著者で有名な劉慈欣氏のサイン付きカードが一番の人気商品となった。

【現地取材】NFT熱狂が中国にも到来、その裏側は?
(画像=▲(weiboより)、『チャイトピ!』より引用)

・越王宝剑のNFT3D画像
湖北省博物館が所蔵品「越王宝剑」の3D画像NFT作品をアリババのNFT取引プラットフォームで発売。販売からスタート1秒で1万枚購入された。

【現地取材】NFT熱狂が中国にも到来、その裏側は?
(画像=▲(weiboより)、『チャイトピ!』より引用)

・トーク番組のNFT作品
テンセントはNFT取引プラットフォームの「幻核」をリリースしたと同時に、初のNFT作品として、トーク番組「十三邀」の音声ファイルをNFT化して発売を実施。

現在中国主流の取引プラットフォームで販売されているNFT作品の種類は主に以下である:

・伝統文化IP(銅像、壁画など)のデジタル画像
・プロモーション目的のブランド(自動車やアパレルなど)のNFT画像
・著名アーティストのデジタル絵画
・流行フィギュアのデジタル画像
・音楽・音声ファイル

他と異なる中国のNFT取引プラットフォーム

国際社会では、NFTは基本的イーサリアムのブロックチェーンを利用している。イーサリアムとは、分散型のパブリックチェーンであり、誰でもアクセスでき、自由に取引できるものである。そこを魅力として、たくさんのプロジェクトがイーサリアムを利用し、発行している。

しかし、中国という特別な国では、中央集権的な管理なしに誰でもアクセスでき、取引できるものは法律上のリスクが高いと言えるだろう。

中国のNFT業界が発展するためには、まず2つの課題があると考えられる。

  1. インフラとなるパブリック型ブロックチェーンの合法性
  2. 仮想通貨の使用禁止
(国際社会では、仮想通貨を利用してNFTを取引しているが、中国では禁止されている)

中国政府は去年ビットコイン、ETH(イーサリアムの通貨)を含む仮想通貨の取引を全面的に禁止し、さらに電力の大量消費による環境破壊を理由に仮想通貨のマイニングを禁止する方針を打ち出した。NFTのインフラであるパブリックチェーンは違法としていないが、存在自体は公的許可されていないというわけだ。

ちなみに、世界最大のNFT取引プラットフォームであるopenseaのスマホアプリは意外にも中国のiSOストアで提供されている。しかし、仮想通貨のウォレットが利用不可となったため購入や出品もできない状況となっている。

【現地取材】NFT熱狂が中国にも到来、その裏側は?
(画像=▲中国の主要なNFT取引プラットフォーム(チャイトピ!より作成)、『チャイトピ!』より引用)

こうした中、中国において一般人は国内企業が提供する機能の制限されたNFT取引プラットフォームを利用するしかない。アリババやテンセントなど、IT大手はすでに関連アプリを出している。中国政府が警戒を示す背景下、誰でも自由に出品、購入できるopenseaと比べると、中国のNFT取引プラットフォームは以下の特徴があると言える:

・コンソーシアム型ブロックチェーンの利用(分散型のパブリックチェーンと違い、複数の管理主体が存在する)
・支払い通貨は人民元のみ対応
・販売されるNFTはコレクションや展示用に制限し、購入者による再販売の禁止
・NFTが販売されても、著作権は原著作者に属する

ブロックチェーンの種類については、下記の記事がわかりやすいので、ご参考にしてください。

ブロックチェーンの種類とそれぞれの特徴

これらの特徴から、「アリババやテンセントらが販売するNFTは本物のNFTではなく、ただのJPGだ」と皮肉る声もある。

中国で取引されているNFTは、政府が監督を強化する中で形成された「中国版NFT」と言った方が良いかもしれない。しかし、それでも投機目的のプレイヤーの参入によって、市場価格が釣り上がるケースが後を絶えない。このような投機によるリスクを考慮し、中国の取引プラットフォームは「NFT」という概念を避け、宣伝フレーズとしてNFTの名称を「デジタル・コレクティブルズ(digital collectibles・数字藏品)」に変更している。