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真菌から作られた乾燥卵白は泡立ちやすく環境にやさしい

真菌から作られた乾燥卵白は泡立ちやすく環境にやさしい

卵不要 「遺伝子編集した真菌」を利用してメレンゲを作ることに成功
(画像=真菌由来のオボアルブミン「Tr-OVA」は泡立ちやすい / Credit:VTT Technical Research Centre of Finland_Biotechnology could provide an environmentally more sustainable alternative to egg white protein production(2021)、『ナゾロジー』より 引用)

研究チームはTr-OVAとフィンランドやドイツで生産された本物の乾燥卵白を比較テストしました。

その結果、Tr-OVAは本物の乾燥卵白とほぼ同等の品質を示すと判明。

特にメレンゲを作るときに必要な「泡立ちやすさ」は十分なものだったようです。

これまで植物性の卵白代替食材といえば、ひよこ豆の煮汁から作った「アクアファバ」でした。

しかしアクアファバは20分以上激しく泡立てなければ、ふわふわのメレンゲになりません。

Tr-OVAはアクアファバよりも素早く泡立ち、ケーキやプリンにふんわりとした食感を与えてくれるのです。

加えてTr-OVAであれば、従来の乾燥卵白を作成するのに必要なニワトリの飼育が必要ありません。

研究チームの調査によると、従来品からTr-OVAに変更することで、生産に必要な土地は90%削減され、温室効果ガスの排出量も31~55%削減できるとのこと。

今のところ、Tr-OVAの生産に必要なエネルギーは正確に算出できていませんが、チームは、養鶏場が必要とするエネルギーよりもはるかに少ないと考えています。

将来的には真菌から作られた粉末卵白が家庭やレストランで使用されるかもしれません。


参考文献

Biotechnology could provide an environmentally more sustainable alternative to egg white protein production

Out of cluck: Scientists create egg whites using fungus in the lab as an ‘environmentally sustainable’ alternative to farming chickens

元論文

Ovalbumin production using Trichoderma reesei culture and low-carbon energy could mitigate the environmental impacts of chicken-egg-derived ovalbumin


提供元・ナゾロジー

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