私たちが毎日着ている服は、基本パターンをデザインするパタンナーによって作られています。服の出来は仕立て屋次第と言われるほど、服作りをアシストする重要な仕事です。経験を積み、技術を磨くことで活躍の場が広がり、フリーランスとして働くこともできます。今回は、専門知識が必要なパターンナーという職業と、そのやりがいについてお伝えします。
パタンナーとは

パタンナーは、デザイナーがデザインしたものをもとにパターンを作成する仕事です。デザイン画からデザイナーの意図を読み取り、いくつかのパーツを組み合わせてパターンを作り、平面を立体物に変えていきます。
パターンを作る際には、どのパーツを組み合わせればデザインを的確に表現しつつ、着心地の良い服になるのかを考えていきます。また、パターンを作るだけでなく、指示を出し、出来上がった服をチェックするのも彼らの仕事です。
洋服の品質や美しさは、パタンナーの腕にかかっているといっても過言ではありません。このように、デザイナーの思いを形にするパタンナーの役割はとても重要であることが分かります。
パタンナーの仕事内容

まずは、パタンナーが日々行う作業内容について解説します。大きく分けると、パターンの作成やトワルチェック、サンプルチェックなどが基本的な仕事となっています。それでは、1つ1つの作業内容を確認していきましょう。
仕事内容①パターンの作成

パタンナーは、デザイナーの描いたデザイン図を元に、洋服の全体のシルエットや揺れなどの微妙なニュアンスに気を配りながら、正確なパターンドラフト(設計図)を作成することが求められます。
パターンメーキングは2次元の作業ですが、実は2次元のパターンから3次元の服を作るのは非常に難しく、生地を体に巻きつけてハサミでカットするため、数ミリの違いで服の表情が全く変わってしまうこともあります。
そのため、パタンナーがドラフトを作成する際には経験と技術で正確な調整を行うことが必要とされます。
仕事内容②トワルチェック

出来上がった型紙は、主に仮縫い用のサンプルである「トワル」を作るのに使われます。ここで使われる布は「シーチング」と呼ばれる、麻や木綿でできた厚手の平織りの布が多く使用されています。この後、出来上がったトワルをデザイナーと確認し、修正する「トワルチェック」が行われ、これをもとに工場用の「マスターパターン」が完成することになります。
仕事内容③サンプルのチェック

サンプルは、主に展示会や営業マンへのプレゼン用に作られます。新製品の企画を伝えるために作られるため、コンセプトを正確に表現する力が求められるのがサンプル作成です。また、デザイナーの意図がパターンやサンプルに反映されているかどうかをチェックするのもパタンナーの仕事になります。
仕事内容④量産用パターン作成

企画が承認されると量産段階に入り、最終的に量産するためのパターン(工業用パターン)を作成するこになります。工業用パターンは標準サイズしか作られませんが、実際の製品は大きいものから小さいものまで様々なサイズがあります。
その定型パターンをもとに、さまざまなサイズのパターンを作るのが「グレーディング」と呼ばれる作業です。近年はコンピューター(アパレルCAD)が普及しているため、グレーディングもCADシステムを使って行うことが多くなっています。
パタンナー作成に必要な道具

パタンナーがパターンを描くには、以下のような道具が欠かせません。
- 定規(角定規、曲尺、直角定規など)
- テープメジャー(巻尺)
- 鉛筆
- 鉛筆ホルダー(鉛筆の芯を差し込む筆記用具)
- 重り
- カッター類
- ハサミ(糸、布、紙を切るため)
- リッパー(ミシン目ほぐし用)
- ヤスリ
- チャコ(布などに印をつけるのに使う)
しかし、現代のパターンメーキングでは、「CAD」ソフトの使用が増え、定規や鉛筆を使うことは少なくなってきています。小さなアパレル会社では手書きの方がやりやすいので、今でもアナログで仕事をしたいパタンナーもいます。いろいろな道具の使い方を理解し、必要に応じてCADも使えるようなパタンナーになれば、仕事の幅が広がります。
パタンナーの役割

パタンナーの最も重要な役割は、デザイナーのプロジェクトを成功させる鍵となるパターンを作ることです。CADで作業ができるようになったことからもわかるように、建築や工業の製図に近い仕事といえます。パターン制作では、素材や縫い代など細かな指示があるため、パターンだけでなくファッションやアパレル全般の知識も必要とされます。