不動産投資を始める際、多くの方が不動産投資ローンを利用して物件を取得しています。
しかし、不動産投資を検討している方の中には、「不動産投資ローンを組むべきなの?」と迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、この記事では不動産投資ローンを組むかどうかの判断基準となる「不動産投資ローンのメリットとデメリット」を解説していきます。
また、「私は不動産投資ローンを利用できるの?」「住宅ローンと何が違うの?」「収入面や利用時において注意する点は?」と疑問を持たれている方に向けて、不動産投資ローンの仕組みやローンを組む際の注意点などについても詳しく解説していきます。
目次
不動産投資ローンは組むべきか?
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資ローンは組むべきか?
まずは、本題である「不動産投資ローンを組むべきかどうか」の判断基準となる、メリット・デメリットを把握しておきましょう。
不動産投資ローンのメリット
不動産投資ローンのメリットは以下の通りです。
- レバレッジ効果が高い
- 収益性が高くなりやすい
- 手持ち資金を残せる
- 団体信用生命保険に加入できる
レバレッジ効果が高い
「レバレッジ効果が高い」というメリットを享受したいのであれば、不動産投資ローンを利用することをおすすめします。
不動産投資におけるレバレッジ効果とは、「小さい資金で高額な資産(投資用不動産)を取得すること」です。不動産投資のレバレッジ効果の高さは、ほかの投資商品と比べても高い部類に入ります。不動産投資ローンを利用すれば、場合によりますが自己資金の10倍程度の資産を取得できるのです。
たとえば自己資金が500万円あるとすると、不動産投資ローンを利用しない場合は500万円までの投資用不動産しか購入できません。しかし、3000万円の不動産投資ローンを組むことができれば、3500万円までの投資用不動産の購入が可能になります。
また、常時満室になるよう運用できれば、毎月家賃収入が入ってきます。値動きの激しい株やFXなどと比べると、不動産は安定的な投資商品と言えるでしょう。
収益性を高めやすい
不動産投資はレバレッジ効果もあって、収益性を高めやすい傾向にあります。一般的に投資における収益は「保有資産額×利回り」で決まるからです。
たとえば、「自己資金500万円のみで購入する物件」と、「自己資金500万円+不動産投資ローンで2500万円を借り入れて3000万円で購入する物件」が、どちらも利回り5%だとすると、500万円の物件の収益は年間25万円です。一方、3000万円の物件の収益は年間150万円になり、ローンの返済が月々10万であったとしても年間30万円を収益として得ることが可能です。
このように利回りが同じであれば、保有資産額が高い方が収益は大きくなるのです。収益が多い物件ならば、ローンを組んで収益分(家賃収入)から返済したとしても、自己資金のみで買った安価な物件よりも多く収入を得ることができます。
つまり、効率良く高額な資産の取得を可能にする不動産投資ローンを利用することで、レバレッジ効果による収益性を高められるというわけです。
手持ち資金を残せる
さらに、不動産投資ローンを組むことで、自己資金の捻出を抑えることができます。これにより、手元資金に余力を残しながら投資することが可能になるので、ご自身や家族の病気やケガといった突発的な支出が発生したとしても、焦ることなく対応することができることでしょう。
団体信用生命保険に加入できる
不動産投資ローンを組むと、一般的には団体信用生命保険(団信)に加入することになります。団信とは、借入者が完済前に事故や病気などで亡くなった場合などに、その時点の残債を借入者の代わりに金融機関へ弁済してくれる保険制度です。
つまり、団信に加入することで、借入者に万が一のことがあったとしても、ローン完済済みの不動産を家族に残すことが可能になるのです。
団信について詳しくは「不動産投資が生命保険の代わりになる理由と覚えておきたいリスクとは」でもご紹介しています。あわせてご覧ください。
不動産投資ローンのデメリット
一方、不動産投資ローンには以下のデメリットもあります。
- 利息が発生する
- 金融機関との交渉に時間がかかる
前項で解説したメリットと、これから解説するデメリットを比較することで、不動産投資ローンを組むべきかどうか判断しやすくなるでしょう。
利息が発生する
一番大きなデメリットは、不動産投資ローンを組むことによって利息が発生することです。たとえば、借入金額3,000万円、借入期間30年、金利2%でローンを組んだ場合の返済額は以下の通りです。
- 総返済額:39,918,769円
- 月々返済額:110,885円
このように、1,000万円近くの利息が発生します。もちろん、もっと低金利で借りたり、借入期間を短くしたりすることで利息を減らすことは可能です。それでも、現金のみで購入するより利息分の支払いが増えるのは確実です。しっかりと収支シミュレーションを行い、返済額を把握した上で判断しましょう。
金融機関との交渉に時間がかかる
不動産会社が主導して新築物件を建築している場合、その不動産会社が提携している金融機関でローンを組む(提携ローン)ことが多いでしょう。
しかし、中古不動産を購入する際は、仲介してくれる不動産会社の提携ローンで組むケースは少なくなります。そのため、ご自身で金融機関を探し、融資を打診する必要があるので、その手間がデメリットといえるかもしれません。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
次に、不動産投資ローンと混同されやすい住宅ローンとの違いを知っておきましょう。
- 対象となる物件の違い
- 借入可能額の違い
- 金利の違い
- 審査項目の違い
不動産投資ローンと住宅ローンは根本的に異なります。そのため、違いを理解することで不動産投資ローンへの理解が深まり、不動産投資ローンを組むべきかの判断材料の1つになるでしょう。
対象となる物件の違い
対象となる物件には以下の違いがあります。
- 住宅ローン:基本的に自宅のみ(借入者が住む前提の家)
- 不動産投資ローン:投資用不動産(他人が住む賃貸用の家など)
住宅ローンは投資用物件の購入には利用できません。住宅ローンは借入者が住むための、「自宅購入用のローン」であり、返済原資は給与所得です。一方、投資用不動産は「他人に貸して家賃収入を得るための事業用ローン」であり、返済原資は家賃収入です。
借入可能額の違い
借入可能額は借入者の属性(年齢、勤務先、勤務年数など)によるので一概にはいえません。ただし、目安としては以下の通りです。
- 住宅ローン:年収の5~8倍程度
金利の違い
利用目的と原資の違いにより、金利に関しては住宅ローンの方が低く設定されています。変動金利であれば、2020年2月末時点で0.5%を切る金融機関もあります。これは主に給与所得からの返済という前提であるため、審査に通る方は収入が安定しており、返済不能になるリスクが比較的少ないとされているからです。
一方、不動産投資ローンは、金融機関や借入者の属性によって金利が大きく異なります。1%前後で借入できることもありますが、2%台~4%前後のケースも多いようです。理由として、不動産投資ローンは事業資金扱いのため、空室の発生などにより、返済不能リスクが高まりがちだとみなされてしまうことがあるようです。しかしながら、勤務先、勤務年数、年収や物件評価などから、金融機関側が融資しても返済に滞りがないであろうという判断した場合には、低金利でかつ高額のローンを組みやすくなります。
したがって、不動産投資ローンを借りる際には、入念な収支シミュレーションを行うことと、事業計画や返済計画とその根拠が重要になるのです。
審査項目の違い
住宅ローンと不動産投資ローンで共通している審査項目は以下のとおりです。
- 借入者の年齢、年収
- 借入者の勤務先や雇用形態
- 借入者の信用情報(過去の延滞歴など)
- 物件の担保価値
不動産投資ローンの場合は、上記以外に「物件の収益性」も審査項目に入ります。つまり、仮に大企業に勤務していて年収が高くても、物件の収益性が低いと判断されれば、審査に通りにくくなってしまうのです。