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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

【2】調子が悪いときは 登山を中止すること

体調がよくないときは山に行かない。これがもっとも重要な原則である。「これを守りさえすれば、登山での感染対策はまずは及第点」だと小阪さんは言う。コロナウイルス感染の有無にかぎらず、このことは登山の基本原則でもあるが、いまの時期はより注意をするべきだろう。具体的なチェック項目としては、発熱(37.0℃以上あるときはNG)、咳、咽や頭の痛み、鼻水、呼吸困難、 嘔吐、下痢、嗅覚/味覚障害など。これらの症状がある ときは登山を中止しよう。結局のところ、登山の現場でだけ感染に気をつけてもほとんど意味はなく、重要なことは、山に出かける前の、ふだんの生活での体調管理と感染対策に尽きると小阪さんは言う。
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

【3】登山中のマスクは基本的に不要

ここは議論のあるところだが、小阪さんは歩行中のマスクは不要という。口や鼻から発せられる飛沫の飛距離は最大2mといわれているので、他人とそれ以上の距離を空けているかぎり、マスクをする必要はないとのことだ。山中では他人と2m以内の距離に接近することがそもそもほとんどないし、それに行動中にマスクを着用していると息が苦しく、むしろデメリットのほうが大きくなってしまうだろう。ただしこれは他人と2m以上離れているときの場合。狭い登山道ですれ違うときや、混雑している休憩ポイントや山頂などでは話は別。マスクを着用してもいいし、それが無理ならバンダナなどで口元を覆う、あるいはほかの登山者に接近しないようにするなどして気を遣おう。
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

【4】同行者とは2m以上間隔を空ける

同居人でない友人などといっしょに登る場合は、2m以上 のソーシャルディスタンスを保つことが基本となる。よく知っている友人だと気を許してしまいがちだが、登山の現場で気をつけるべきは、見知らぬ他人との間の感染対策ではなく、むしろ仲間内での感染対策だと小阪さんは強調する。ソーシャルディスタンスを保つだけでなく、接触感染にも注意。つまり、食事や行動食をシェアしたり、水筒の水を回し飲んだりすることもNGということ。なんだか微妙な空気感が生まれてしまいそうだが、そこはこういう情勢だからと納得して慣れるしかないだろう。
 

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【5】山中のクサリなどから感染するおそれはほぼないけれど……

いつだれが使ったかわからないクサリ場のクサリ。つかんでも大丈夫なものか? 「これは定説がないので正確なことがいえません。今回の新型ではないほかのコロナウイルスが、金属の表面で数日間感染性を保ったという報告はありますが、あくまで実験室での話。風雨や日光にさらされた状態でどれだけもつのかは未知数です。私見では、 クサリを通じた感染のおそれはほぼないと思いますが……」。大前提として、コロナウイルスは触っただけで感染することはない。ウイルスが付着した手で目鼻口などの粘膜にふれることで感染する。心配ならば、クサリを使ったあとにアルコールティッシュで手を拭いたり、 手で顔面にふれたりしないように気をつけるようにするといいだろう。
 

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【6】テントは1人1張り使用が基本

テントの中は典型的な三密空間。なので、同居人でないかぎりはテントは分けたほうがいいだろう。全員が1人1張りだとテント場が混雑してしまう可能性もあるが、たとえば槍ヶ岳山荘では、この夏はそもそも登山者の数が多くないだろうと見ているという。例年ならばテント場に入りきらないおそれもあるが、今年に関してはそこはあまり気にしなくてもいいのかもしれない。テント場の混雑よりも感染対策を優先して、1人1張りを基本にしたほうがよさそうだ。その場合、食事も共同で炊事するのは避け、各自で摂ったほうがいい。テント間のソーシャルディスタンスを保つことも忘れずに。
 

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【7】山小屋泊のときは予約を忘れずに

この夏の山小屋の営業状況は例年とあらゆる点が変わっているので、事前の情報収集は忘れずに。槍穂高周辺の山小屋は例年ならすでに営業を開始しているところも多いが、今年は7月14日まですべて営業していない。営業形態もまだ流動的な部分があり、状況次第では、混雑を避けるために完全予約制をとる可能性も高いし、シーズンの営業終了日が早まることも考えられる。山小屋も未体験の事態なだけに、シーズンが始まってみないとわからないことが多すぎるのだ。例年と同じような感覚で山小屋を利用しようとすると、現地で不都合なことがあったりすることも考えられるので、情報収集の意味も含めて、事前の予約は忘れずに行なおう。
 

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【8】山小屋内ではスタッフの指示に従おう

小屋内は基本的に密閉空間。他人と会話するときはマスクを着用したり、ソーシャルディスタンスを保ったり、不用意にあちこちを触らないなど、感染防止を心がけよう。このあたりは山小屋だからというわけではなく、状況に応じた適切な行動はすでに下界である程度身についているはずだ。山小屋が独自に利用ルールを設定していたり、マスクなど持ち物の指定をしていれば、それに従うように。いまのところ、館内での個人的なすごし方まで細かなルールを設定している小屋は多くはないが、寝床や食堂では混雑しないように、例年とは異なる利用方法を予定しているところは多い。その場合もスタッフの指示に従おう。
 

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【9】山小屋でも寝具持参が望ましい

コロナウイルスは枕を共用することで感染する可能性が高いという。そのため、山小屋泊でも自前の寝袋を持っていくことが理想だろう。さすがに寝袋持参は負担が大きいというのであれば、枕カバーやインナーシーツを使うことも手だ。カバーだけでは完全に感染を防ぐことはできないそうだが、なにも持っていかないよりはましだろう。寝具に関しては山小屋業界もまだ手探りの状態。 槍穂高周辺では、寝具持参まで要求する山小屋はいまのところないが、可能であれば自分のものを持参したほうが、自分のためにも山小屋のためにもいいことは間違いない。カバー類なら数百グラム、寝袋でも軽いものなら500g程度の負担増なので、ぜひ検討してみよう。
 

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【10】下山後はできればまっすぐ帰ろう!

下山したあとは、温泉に入って汗を流して帰りたい。美味しいものを食べて帰りたい。登山者共通の楽しみであるこれらを否定することはできないが、しばらくは、我慢できるのであればまっすぐ帰宅するのがベストだろう。アプローチでの注意点と同様で、登山だからという特殊なポイントはとくにない。日常生活で気をつけていることや配慮していることに準ずればいいのだと思われる。 感染対策だけでなく、登山者を歓迎するのか、それとも自粛してほしいのか、地元感情もまだ揺れ動いている不安定な時期で、場所によってもそれこそ千差万別であるはず。このあたりは登山者というよりも、一社会人としての判断が問われる部分であるはずだ。
 

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CREDIT : 文◉森山憲一 Text by Kenichi Moriyama 
イラスト◉上坂じゅり子 Illustration by Juriko Kosaka
取材協力◉小阪健一郎(国際山岳医) Adviced by Kenichiro Kosaka

PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

提供元・FUNQ/PEAKS

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