つみたてNISAの口座数が、制度開始から1年間で100万人を突破し、口座開設者はNISA(一般NISA)からの口座変更が約3割を占めた。さらに2020年末では300万口座に増加している。つみたてNISAへの口座変更は、一般NISAの利用状況などによって手続きが変わるため、手順と注意点を確認しておきたい。
一般NISAからつみたてNISAへの口座変更の手順とは
一般NISAからつみたてNISAに口座変更するには、所定の書類を金融機関に提出しなければならない。提出書類は一般NISAの利用状況や金融機関変更の有無などによって種類が異なる。必要な書類は以下の5つであり、各種届出書は金融機関で入手できる。
- つみたてNISAへの変更届出書
- つみたてNISAの口座開設届出書
- 金融機関の変更届出書
- 勘定廃止の証明書
マイナンバーのコピー
変更手順をパターン別に解説するので、自身の状況と照らし合わせて確認してほしい。
パターン1……一般NISAで今年の買付なし・同じ金融機関でつみたてNISAに変更
手続きは、このパターンが最も簡単だ。その年に一般NISAでの買付がなく、同じ金融機関でつみたてNISAに変更する場合は、「つみたてNISAへの変更届出書」を提出すればいい。
なお、2017年9月30日までにマイナンバーを金融機関に届出していなければ、そのコピーの提出も必要だ。
パターン2……一般NISAで今年の買付なし・別の金融機関でつみたてNISAに変更
別の金融機関につみたてNISA口座を開設する手続きは、一般NISA口座のある金融機関にマイナンバーを届出したかどうかによって変わる。
一般NISA口座のある金融機関に、2017年9月30日までにマイナンバーの届出をしていない人は、一般NISA口座を持っていない人と同様の扱いになる。そのため、つみたてNISAを開設する金融機関に「つみたてNISAの口座開設届出書」と「マイナンバーのコピー」を提出するだけで済む。
一般NISA口座のある金融機関に2017年9月30日までにマイナンバーの届出をした人は、現在の金融機関に「金融機関の変更届出書」を提出し、「勘定廃止の証明書」を入手する必要がある。その後、つみたてNISA口座を開設する金融機関に「勘定廃止の証明書」「つみたてNISAの口座開設届出書」「マイナンバーのコピー」の3点を提出する必要がある。
このパターンでは、マイナンバーの届出をしたかどうかによって手続きが変わるため、間違えないよう金融機関に確認することをおすすめする。
パターン3……一般NISAで今年の買付あり
その年に一度でも一般NISA口座で買付履歴のある人は、当年中の変更はできない。一般NISA口座の保有商品をすべて売却し残高がゼロの場合も、買付履歴があるため変更できない。その場合は当年の一般NISA口座の投資枠をできるだけ利用し、翌年の買付分からつみたてNISAに口座変更するといいだろう。
ただし、一般NISAで買付があっても翌年の口座変更のために手続きをしておくことはできる。翌年1月分からつみたてNISAの投資枠をフルに活用したい人は、事前に金融機関に申し出ておこう。
つみたてNISA口座に変更する時の注意点
つみたてNISAへの口座変更には、注意点もあるため事前に確認しておこう。
つみたてNISAで買付けできるタイミングは口座変更手続きの時期で異なる
口座変更手続きの時期によって、つみたてNISAで買付けを開始できるタイミングは変わる。1~9月に口座変更手続きをした場合は、年内につみたてNISA口座で買付けができる。10~12月に手続きすると、買付けを開始できるのは翌年1月以降だ。タイミングによって買付開始時期が変わるため、気をつけたい。
口座変更しても保有商品は移管できない
つみたてNISAに口座変更しても、一般NISAで保有する商品までは移管できない。変更できるのは、あくまでも利用する口座区分のみだ。では一般NISAの保有商品はどうなるのだろうか。
つみたてNISAに口座を変更しても、一般NISA口座がなくなるわけではない。例えば2018年に一般NISAでA商品を買い付け、2019年からつみたてNISAに変更した場合、A商品は一般NISAの5年間の非課税期間を引き続き利用できる。つまり一般NISAに保有商品がある状態でつみたてNISAに口座変更すると、一般NISAで新たな買付けはできないが5年以内の売却益には課税されないのだ。
NISAでは、「一般」と「つみたて」の口座区分変更や金融機関の変更はできるが、保有商品自体は別のNISA口座に移管させることができないことを認識しておこう。
一般NISAからつみたてNISAへの口座変更は慎重に
NISA口座は運用益が非課税なので、できる限り活用したい。ただし「一般」と「つみたて」のどちらか1口座しか利用できず、それぞれ購入できる商品と非課税期間が異なる。口座変更にあたっては、自身の資産運用方針に合っているかを検討したうえで実行したい。また口座は1年単位でしか変更できないため、判断と手続きは慎重に行ってほしい。
出典:金融庁『つみたてNISAの概要』
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