2019年の終わりにかけて、大手ネット証券で相次いで投資信託の手数料無料化が発表された。投資家には非常に良いニュースであると同時に、投資信託の選び方が大きく変わる可能性もある。手数料無料化で注意したいポイントを5つ紹介しよう。

投資信託の買付手数料が5大ネット証券で全て無料に

5大ネット証券と呼ばれるSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券の5社では、2019年の年末に相次いで投資信託の手数料無料化を発表した。各社とも取扱う国内公募投資信託全ての買付手数料が無料となった。

投資信託の手数料無料化はあくまでも「買付手数料」のみ

各社から発表された投資信託の手数料無料化は、「買付手数料の無料化」に絞った話である。投資信託の手数料は次の3つに大別される。

(1)買付時……買付手数料
(2)運用中……信託報酬など
(3)売却時……信託財産留保額など

このなかで無料化の対象となるのは、(1)買い付け時の買付手数料である。投資信託の買付手数料は販売会社が設定できるという原則がある。今回は販売会社の判断でこの部分を無料化にしたのだ。

したがって(2)信託報酬などの運用中に発生するコストは従来通りかかる。また(3)売却時の信託財産留保額などのコストもファンドによってはかかるため注意が必要だ。

投資信託の買付手数料無料化で投資信託の運用効率が良くなる

先に述べた信託報酬などのコストはかかるとはいえ、投信信託の買付手数料無料化が投資家に大きなメリットをもたらすことに間違いはない。

仮に100万円を投資する場合、3%の買付手数料がかかる投資信託であれば、手数料が3万円差し引かれ運用は97万円からスタートする。

この買付手数料が無料となった場合、100万円から運用がスタートできる。投資信託の運用開始時から3万円の差が付くのである。

投資信託の手数料無料化で注意したい5つのポイント

大手ネット証券が相次いで始めた買付手数料の無料化のメリットは大きい反面、注意点もある。注意すべきポイントは次の5つだ。

投資信託の手数料無料化による注意点(1)……信託報酬は無料にならない

前段でも説明したが、投資信託の手数料無料化は「買付手数料」のみであり、信託報酬などのコストは従来通り掛かる。

投資信託の買付手数料は買い付け時に直接かかるコストのため、イメージが湧きやすい。一方の信託報酬は運用期間中に発生している間接コストのため、投資信託に慣れていなければ、イメージが湧きづらいかもしれない。

手数料無料化という言葉に踊らされず、間接コストに対する意識を強く持つことが重要だ。

投資信託の手数料無料化による注意点(2)……信託報酬の手数料比較がより重要に

投資信託の比較ではコスト比較がポイントだ。買付手数料が無料である場合、間接コストである信託報酬の手数料比較がより重要になる。

間接コストである信託報酬の差は分りづらいが、年間いくらくらいかかるのかをイメージする必要がある。仮に年間の差はわずかでも、運用期間が長くなり積み重なれば大きな差となる可能性もある。

投資信託の手数料無料化による注意点(3)……運用資産残高の少ないファンドは要注意

投資信託の買付手数料が無料化されることにより、顧客は信託報酬を基準とした投資信託選びをより強めていくだろう。既に一部のインデックスファンドでは信託報酬の引き下げ競争のような様相を呈している。今後もインデックスファンドを中心に信託報酬の見直しが続く可能性もある。

投資信託の運用会社の視点に立てば、信託報酬を削減するためにより社内コストの削減を求められる。そうなると運用資産残高の少ないファンドを繰上償還し、経営資源を運用資産残高の多いファンドに振り向けるという動きも考えられる。

2019年12月時点での国内の公募投資信託は6,000本を超える(※投資信託協会・数字で見る投資信託より)。投資信託の手数料無料化がこうした集約の動きを引き起こす可能性もあるため、運用資産残高の少ないファンドには一層の注意を払いたい。

投資信託の手数料無料化による注意点(4)……アクティブファンドは買いやすい反面コストには要注意

投資信託の買付手数料が無料となることで、最も影響を受けるのがアクティブファンドだろう。商品性での差別化が難しいインデックスファンドでは、既に買付手数料が無料となっている商品も多い。

一方のアクティブファンドでは投資対象や投資手法など、コスト以外の比較要素が多いため、買付手数料がかかるケースが多い。今回、買付手数料が無料化すればアクティブファンドが買いやすいという利点はある。

ただしアクティブファンドの信託報酬には十分に気を付けたい。アクティブファンドは商品を並べて比較することが難しい。買付手数料が無料化したことで、信託報酬率の高いアクティブファンドを多く買えば、結果としてコストの増加にもつながりかねない。

アクティブファンドの適正な信託報酬率の比較は難しいが、国内株式型の場合は年率1.2%程度をひとつの基準とすればよい。そのうえでベンチマークに対する運用実績や類似商品の信託報酬率などから判断したい。

投資信託の手数料無料化による注意点(5)……対面証券や銀行への広がりは未知数

現在、投資信託の買付手数料の無料化に動いているのはネット証券が中心である。対面証券や銀行など、従来通りの買付手数料を取っている金融機関も多くある。

対面証券や銀行では店舗の維持などのコストもかかるため、投資信託の買付手数料無料化の流れが広がるかは不透明な状況だ。取引金融機関の手数料体系を確認し、無料だと勘違いして手数料を取られたというケースがないように注意したい。

文・樋口壮一(金融ライター)

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