投資信託を年利ランキング上位というだけで選ぶのは危険!年利の高い投資信託の注意点と正しい選び方を解説

2019.10.19
INVESTMENT
(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
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投資信託を選ぶとき、「何%増えるか」にばかり注目していないだろうか。年利だけ見て投資信託を選ぶのは、オッズだけで馬券を買うのと同じであまりいい結果につながらない。その理由と、年利とともにチェックすべきポイントについて解説する。

投資信託の年利ランキング上位のファンドとは

投資信託の年利はどのくらい期待できるものだろうか。投資信託の格付け機関であるモーニングスターのホームページでランキングが閲覧できる。以下は1年間のトータルリターンが高い順にファンドを並べたものである(2019年9月30日時点)。
  1. トルコ債券オープン(毎月決算)H無……45.02%
  2. UBS 世界公共インフラ債券リラ(毎月)……41.32%
  3. BR・ゴールド・メタル・オープンAコース……41.30%
  4. ハイブリッド証券ファンド(リラ)……38.98%
  5. 日興ピムコ・Hインカム・S毎(リラ)……37.39%
  6. トルコ・ボンド・オープン(毎月決算型)……37.02%
  7. (通貨選択S) 新興国債券<リラ>(毎月)……36.15%
  8. BR・ゴールド・メタル・オープンBコース……35.26%
  9. Rogge世界ハイブリッド証券Fリラ(毎月)……34.29%
  10. エマージング・ボンド・F・リラコース(毎月)……33.95%
トータルリターンとは、投資信託から得られる利益を投資元本で割った数字だ。利益には分配金によるインカムゲインと、取得時と譲渡時の基準価額の変動による差額利益であるキャピタルゲインの2種類がある。投資信託のインカムゲインだけを示すのが「分配金利回り」、キャピタルゲインだけを示すのが「基準価額の騰落率」、両者を合計したのがトータルリターンだ。

トータルリターンが1年で30%だとすると、100万円を投資したら翌年には130万円になる。そんなファンドならぜひ買いたいところだが、短期的な利回りだけに注目して投資信託を選ぶことはおすすめできない。

年利の高い投資信託の4つの落とし穴

リターンの数字だけで投資信託を評価することには以下のような問題がある。

リターンの高い投資信託はリスクも高い

先ほどのランキングを見ても分かるように、利回りが極端に高い投資信託は新興国株式や特定の分野に特化したものや為替ヘッジを行うものなど、ハイリスクなファンドが多い。ハイリスクゆえのハイリターンなのだ。リスク承知での選択なら構わないが、短期的な年利に目がくらむのは良くない。投資信託は「いつもその水準の利回りが継続して期待できる」ことが重要なのだ。

購入手数料や信託報酬が高い

ハイリスク商品は基本的に手数料が高いものが多い。たとえばランキングにある「BR・ゴールド・メタル・オープンAコース」の購入時手数料は3.3%、信託報酬は2.23%と、投資信託としてはかなりの高水準だ。

金融庁が長期安定投資を支援する制度である「つみたてNISA」の対象商品の基準は、「購入時手数料なし」、「信託報酬は国内資産で0.5%以下、海外資産で0.75%以下」と定められている。購入時手数料が2%、信託報酬が1%を超える商品は手数料が高めと考えていい。

基準価額が下落すると利回りが高く見える

投資信託のリターンは一定期間の利益をそのときの基準価額で割った数値なので、たまたまそのとき基準価額が下がっていると、利益が減っていてもリターンが高く見える。利回りを見る場合は利益が出ていてリターンが高いのか、基準価額が下落してリターンが大きく見えるだけなのか見極める必要がある。

高い分配金を払うファンドには「タコ足型」も

分配金が多いとリターンも高く見えるが、運用益だけでなく原資を取り崩して高い分配金を支払うタイプの投資信託は正しいリターンを表しているとはいえない。このような特別分配金(元本払戻金)を支払うタイプの投資信託は、自分の足を食べてしまうタコになぞらえて「タコ足ファンド」などと呼ばれている。退職後に資産を取り崩して生活する手法としては使えるが、今後の長期的な資産形成を考えている場合にはそぐわない。

投資信託を選ぶときに年利以外に注目したい3つのポイント

では投資信託を選ぶ場合、年利以外にどのような点に注目すればいいのだろうか。

リスクとリターンのバランスが分かる「シャープレシオ」

リスクに対してどれだけのリターンを得られたかを表す指標を「シャープレシオ」という。これは、リスクがゼロと仮定した安全資産から得られる収益をどれだけ上回ったかによって計算される。数字が大きいほど、「効率良く運用できている」、「リスクに見合うリターンを得られている」ことを表している。ここでいうリスクとは、損をする確率ではなくリターンの振れ幅を示す。「読めない」度合いがリスクなのだ。

たとえば次のような2つの投資信託があったとする。
  • Aファンド(リターン:10.1%、リスク:10%)
  • Bファンド(リターン:19.1%、リスク:20%)
    ※安全資産のリターンは0.1%と仮定
リターンだけならBが優れているが、シャープレシオにするとAが1.0、Bが0.95となる。AのほうがBより投資効率が良いといえるのだ。

リターンは短期だけでなく長期でも比較する

冒頭で紹介した投資信託の年利ランキングは、対象となる期間によって順位が大きく変わる。1年間のトータルリターンではトルコ債券関連の商品が軒並み上位を占めていたが、10年間で見ると国内小型株のほうがリターンは良いという結果になる。

常に国内小型株の10年リターンが好成績なわけではないが、投資信託のパフォーマンスはどの期間で見るかによって全く異なった結果になることは頭に入れておきたい。理想としては10年間で大きなブレがなく安定的に収益を上げているファンドが好ましい。

「純資産額」は大きくて増加傾向なものを

年利がいくら良くても、純資産額が極端に小さい、または減少が続いている投資信託は警戒する必要があるだろう。純資産額はファンドの規模を表すもので、大きいほど安定性があるといえる。純資産額が増加傾向なら人気が上昇していることを表す。分類や投資対象が同じファンドでどれにするか迷った場合、純資産額の大きなものを選ぶといいだろう。

投資信託は年利・リスク・コストのバランスを見て選ぶ

少しでも年利の高い投資信託を選びたいが、できるだけリスクは取りたくない、手間をかけずに資産を増やしたいと考えている人は多いだろう。その場合はリターンとリスクのバランスが取れていて、規模が大きく安定性があり、コストのかからないファンドが向いている。安全性重視であれば国際債券か国内REIT、市場と連動した低コストなインデックス型などはどうだろうか。いずれにしても、投資信託を人気ランキングやリターンランキングの上位から何となく選ぶのはやめておきたい。

文・篠田わかな(フリーライター、ファイナンシャル・プランナー)
 

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