NISAでは1年ごとに金融機関の乗りかえが可能だ。手続きには時間はかかるが手間はそれほどではない。例えば銀行から証券会社にNISA口座を乗りかえたい場合は、どのような手順なのだろうか。NISAの金融機関変更のメリットや注意事項とともに解説する。

NISA口座のある銀行や証券会社を変更することで生まれるメリット

ある銀行の調査によると、NISA口座を開設した金融機関を選んだ理由として「いつも利用している金融機関だから」「NISA口座開設のキャンペーンがあったから」といった回答が多かった。NISAにおけるサービス内容を確認せずになじみの金融機関を選んだ結果、利用する中でさまざまな不満を抱えている人もいるだろう。金融機関を変更することで生まれるメリットは以下のようなものが考えられる。

メリット1……購入できる商品の選択肢が広がる

金融機関によってNISAの対象商品には幅がある。調べてみて良いと思った金融商品の扱いがないことが分かると落胆も大きいだろう。投資初心者だと証券会社より銀行になじみがある人が多いだろうが、銀行のNISA口座で購入できるのは基本的に株式投資信託のみだ。

証券会社では株式、投資信託、REITなどさまざまな金融商品を購入できるが、外国株や海外ETFなどはあまり扱っていない場合もある。一般的に銀行や対面型の証券会社よりネット証券のほうが、取扱商品は幅広い傾向にある。

メリット2……売買手数料や振込手数料を下げられる

金融商品を取引する際の売買手数料は金融機関によってかなりの差がある。高い手数料を払う価値があるサービスが受けられるなら良いが、そうでないならば乗りかえを検討しても良いだろう。

また、最近ではNISA口座開設者に対して振込手数料やATM手数料を無料にする特典を付ける銀行も出てきている。

メリット3……金利優遇やポイントサービスが受けられる

一部の銀行や証券会社では、NISA口座を開設した人を対象に預金金利や住宅ローン金利を優遇するサービスをおこなっている。例えば三井住友信託銀行ではNISA口座またはジュニア口座を申し込むと住宅ローン金利が最大0.02%引き下げられる。楽天証券では口座開設や取引をするだけで、自社グループのポイントサービスである楽天ポイントがたまるプログラムが用意されている。

NISAでは1年に1回に限り銀行や証券会社の変更ができる

NISAでは年単位(1月1日~12月31日)で他の金融機関への変更が認められている。変更したい年の前年の10月1日から当年の9月30日までに手続きを完了すれば、当年中に新しい金融機関でNISAを始められる。

注意しなくてはいけないのが、「NISAの投資枠をわずかでも使うとその年は変更できない」という点だ。変更前の金融機関で1回でも買い付けをおこなうと、その年は金融機関の変更はできないことになる。保有を継続するのは構わないが、新たに金融商品を買ってしまうと乗りかえは翌年まで持ち越しだ。

また、変更手続きをした後は変更前のNISA口座で金融商品を買付できないので注意したい。

NISA口座を銀行から証券会社に変更する場合の手続き

NISA口座の金融機関を変更したい場合はどのような手続きを踏めばいいのだろうか。ここでは銀行から証券会社に変更する場合の例を提示する。

変更前の銀行での手続き

(1)変更前の銀行で「金融商品取引業者等変更届出書」を申請(NISA口座に資産の預けがない場合は「非課税口座廃止届出書」)
(2)(1)に必要事項を記入して変更前の銀行に提出
(3)「非課税管理勘定廃止通知書」が郵送で届く(「非課税口座廃止届出書」を提出した場合は「非課税口座廃止通知書」)

基本的な手続きはどこでも同じだが、変更前のNISA口座の金融商品を保有しているか否かによって提出する書類が変わる点に注意したい。金融機関によるが、申請書は郵送またはダウンロードで取得できる。

変更後の証券会社での手続き

(1)NISA口座開設を申し込む(申し込む証券会社に口座がない場合は併せて開設が必要)
(2)変更後の証券会社から「非課税口座開設届出書」が届く
(3)記入した「非課税口座開設届出書」と、変更前の銀行から送られた「非課税管理勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を提出する
(4) NISA口座開設完了のお知らせが届く

以前はNISA口座開設には申し込みから2~3週間ほどかかっていたが、2019年1月以降は税務署の審査が口座開設後になったため大きく短縮された。しかし、金融機関によってはまだ時間がかかるケースもあるようだ。「非課税管理勘定廃止通知書」や「非課税口座廃止通知書」の発行も郵送であることを考えると、手続き全体として1ヵ月ほど見積っておくと安心だろう。

その年中に変更したい場合は9月30日までに手続きが完了している必要があるので、逆算して早めに申請するようにしよう。

つみたてNISAでも銀行や証券会社の変更は可能

つみたてNISAでも同様に金融機関の変更を行うことができる。金融機関を変更する際、一般NISAからつみたてNISA、またはつみたてNISAから一般NISAいずれも選択可能だ。ただしジュニアNISAは金融機関の変更はできない。どうしても乗りかえたければ変更前の口座を廃止する必要があるが、廃止すると過去にさかのぼって利益に課税されるので注意したい。

文・篠田わかな(フリーライター、ファイナンシャル・プランナー)

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