首都圏の不動産投資の平均的利回りは何%?利回りを見るときのポイントも紹介

2019.8.12
INVESTMENT
(写真=PIXTA)
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ビジネスパーソンの副業としても人気のある不動産投資だが、気になるのが利回りだ。投資に対してどのくらいのリターンが得られるかの指標となる数値だが、表面利回り、実質利回りなどが存在する。それぞれの違いなど、不動産投資をこれからはじめる人が押さえておきたいポイントを解説する。

不動産投資における利回りとは?「表面利回り」と「実質利回り」の2種類が存在

不動産投資を行うときに注目されるのが利回り。まずは利回りの基本的知識から解説していこう。

収益物件を検討するときには、不動産会社から個別に提供される物件情報、あるいは収益不動産検索サイトの情報を参考にすることが多いだろう。その大半には利回りが表示されている。例えば、毎年100万円の家賃収入が得られる1000万円の物件でならば利回りは10%だ。

しかし、よく見ると情報によって「表面利回り」と書いてあったり、単に「利回り」と表示されていたりする。一口に利回りといっても「表面利回り」と「実質利回り」では意味合いが違ってくるため、表示されているのがどちらなのかを明確にすることが重要だ。

「表面利回り」と「実質利回り」の違いと計算方法を紹介

この「表面利回り」と「実質利回り」は何が違うのだろうか?
 
  物件A 物件B
価格 3000万円 5000万円
想定家賃月額 8万円 15万円
年間運用経費 55万円 120万円
購入時諸経費 50万円 145万円

上記のような物件AとBがあるとして、比較する形で見てみよう。

「表面利回り」はどの程度の家賃収入が得られるかの単純計算

「表面利回り」は、賃料収入を購入価格で割って算出する。年間の表面利回りを出すときの計算式は以下の通り。

・表面利回り=年間の賃料収入÷収益物件の購入価格
物件Aの表面利回り=8万円×12ヶ月÷3000万円=0.032(3.2%)
物件Bの表面利回り=15万円×12ヶ月÷5000万円=0.036(3.6%)

となり、物件Bの利回りの方が良い。

「実質利回り」は経費も想定に入れた収益率

「実質利回り」は、表面利回りに運用中の経費や購入時の諸経費を組み込んで算出する。年間の実質利回りを出すときの計算式は以下の通り。

・実質利回り=(年間の賃料収入-年間運用経費)÷(収益物件の購入価格+購入時諸経費)
運用経費とは「管理料」「募集手数料」「固定資産税等」「修繕費」「保険税金関連」のことで、諸経費とは「登記費用」「団体信用保険料(金融機関負担もあり)」「動産取得税」などだ。
 
物件Aの実質利回り=(8万円×12ヶ月−55万円)÷(3000万円+50万円)=0.013(1.3%)
物件Bの実質利回り=(15万円×12ヶ月-120万円)÷(5000万円+145万円)=0.011(1.1%)

となり、物件Aの方が利回りは高くなる。

ちなみに表面利回りは「ネット利回り」「粗利回り」と言われることもある。また、実質利回りは「グロス利回り」「純利回り」ともよばれる。

とくに指定がなく、単に「利回り」と表示されているのであれば、表面利回りというケースが多いが、しっかり確認したい。

2つの利回りの活用方法――表面利回りで物件を絞り込んで実質利回りで精査する

「表面利回り」と「実質利回り」の使い方も確認しておこう。

例えば、収益物件の購入を検討中に、複数の物件のざっくりとした収支感覚をつかみたいときには、「表面利回り」が便利で、候補物件が絞り込まれてきたら「実質利回り」を使って綿密な経営シミュレーションをするのが効率的だ。

初期の段階から実質利回りを使ってしまうと、運用コストや諸経費を細かく調べて反映させなければいけないから、その分の手間がかかってしまう。そのため、「実質利回り」を見るためにあたりをつけるという意味で「表面利回り」を使用するわけだ。

現実の収支とかけ離れた「ダミー利回り」に注意

利回りにはその他にも「想定利回り」と「現行利回り」と呼ばれる種類もある。これを理解しないと利回りの低い物件をつかんでしまうこともあるので注意したい。

例えば、収益物件検索サイトなどリサーチしていると、「想定利回り●%」のような表現がよくある。これを見て「利回りが高い物件だ」と判断してはいけない。なぜなら想定利回りはあくまでも入居者がいる(一棟ものなら満室)と仮定した上で算出したものだからである。

そのため「想定利回り20%」と打ち出しているのに、現況が空室だらけで実際には「利回り10%以下」といった可能性もあるのだ。また、想定利回りの中には賃料を過去の高かったときのデータで計算しているものもある。

想定利回りは見せかけの「ダミー利回り」とも呼べるようなケースもあるということを覚えておこう。利回りはあくまでも直近の賃料をベースにした「現行利回り」で判断すべきだ。
  • 想定利回り=満室時の賃料×12ヵ月÷購入価格
  • 現行利回り=直近の賃料×12ヵ月÷購入価格 で算出することができる。
ただ収益物件検索サイトなどでは、この部分があいまいに表示されていることもある。明確でない場合は
 
・表示されているのは現行利回りか?
・表示されているのが想定利回りならば、現行利回りはどれくらいか?
・現行利回りは直近、例えば数ヵ月~1年内などの賃料で計算されたものか?

などを不動産会社に問い合わせるときに次のような内容を確認するとよいだろう。

首都圏の平均的利回りは5~6%台

2018年8月時点で、野村不動産アーバンネットが運営するノムコム・プロ掲載物件の平均的な利回りは以下の通り(ノムコム・プロ「収益物件の表面利回り推移」より)。
  • 区分マンション 約5.3%
  • 一棟マンション 約6.3%
  • 売りアパート 約6.8%
利回りが高い順に、売りアパート>一棟マンション>区分マンション、となっている。

利回りは空室リスクなどに大きく影響される

上記の5~6%台という利回りを見て「低すぎるのでは?」と感じた方もいるかもしれない。とくに売りアパートは収益物件検索サイトなどでリサーチをすると利回り10%超の物件もよくあるからだ。これはデータ参照先のノムコム・プロが首都圏の好立地物件を中心に扱っているためであると考えられる。

一般的に利回りはリスクの高いエリアでは高くなる一方、リスクの低いエリアでは低くなる。つまり利回りは首都圏では低く、地方都市で高い傾向がある。これは利回りが空室リスクや賃料相場に影響される性格を持つからだ。そのため、とくに人口減少が顕著な地方都市の利回りは高くなる傾向が強い。

このように利回りはエリアによって異なるため、同じエリアの収益物件の利回りを比較することがポイントだ。東京都心部と地方都市の利回りを比べて高い低いという比較はそもそも意味をなさない。

不動産投資では手元資金にレバレッジをかけた利回りが得られる

参考までに投資信託との利回りも比較してみよう。千葉銀行のアセットクラス別の投資信託の利回りは次の通りだ。
 
アセットクラス 税引き後の平均利回り
国内株式 1.17%
先進国株式 2.19%
新興国株式 3.10%
米国株式 3.26%
全世界株式 3.05%

収益物件のカテゴリーやローンの返済期間などの条件によって、利回りがこれを上回るケースもあれば逆もあるだろう。いずれにしてもここで意識したいのは、不動産投資の場合は手元資金にレバレッジをかけた上で利回りが得られるという点である。

例えば、投資信託の場合は手元資金200万円でファンドを購入し、利回りが2%なら4万円になる。これに対して、不動産投資の場合は、手元資金200万円を頭金にして2,000万円の融資を受ければ、利回り2%で40万円になる。

つまり、同じ利回りでも手元資金にレバレッジを効かせることによってリターンが大きく変わってくるのだ。

現在の利回りだけでなく将来の経営環境を意識した投資を

不動産投資における利回りはあくまでも目安。収益物件の利回りは過去から現在までの収支しか現していないからだ。

過去・現在の収支だけに基づいて、不動産投資の経営計画を立ててしまうと失敗の可能性も高まる。不動産投資は年単位、数十年単位で行うのが基本だからだ。現在の利回りだけでなく、エリア内の人口推移データなどに基づいた「将来の経営環境」を意識して計画を立てるのが肝心だ。

文・本間貴志(不動産・税務ライター)
 

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