NISAで投資信託を購入するときに注意したい4つのデメリット

2019.7.5
INVESTMENT
(写真=Elnur/Shutterstock.com)
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NISAで投資信託を購入するメリットは金融機関の窓口やホームページでも多く紹介されている。一方でデメリットについては言及されるケースも少なく、あまり意識していないという人も多いだろう。投資においては、デメリットも考慮した上で投資判断を行うことが極めて重要だ。

投資におけるメリットとデメリットは表裏一体

NISAで投資信託を購入する事についてのメリットは概ね以下の通りだ。
  • 投資信託の枠組みを用いることで分散投資ができるため、リスクの低減を図れる
  • 専門家(ファンドマネージャー)が運用を行うため、手軽に様々な資産へ投資ができる
  • 購入した投資信託から得られる譲渡益に掛かる税金が最長5年間、非課税になる
  • 譲渡益だけでなく、分配金に掛かる税金も非課税になる
最初の2つは投資信託という商品特性についてのメリットであり、最後の2つは一般的なNISAのメリットだ。これらメリットの裏に隠されたデメリットについて説明していこう。

デメリット1……分散投資を行う投資信託の期待リターンは個別株より劣る

投資信託のメリットは何といっても分散投資である。一つの商品を購入することにより、複数の銘柄、複数の資産へまとめて投資を行える。これにより、リスクの低減効果がある一方で、期待リターンも低減する。個別株よりも期待リターンが小さいという点は、NISAで投資信託を購入する際のデメリットになるだろう。

リターンを追及するのであれば、相場予測を行ったうえで、銘柄や資産クラスを絞り投資を行う必要がある。Aという銘柄が大幅に値上がりした場合、その株式自体を購入している場合は、その値上がり益を全て享受することが可能だ。一方、投資信託のポートフォリオに占める銘柄Aの割合は多くても数%程度で、基準価額の変動はわずかだろう。

期間や市場に応じて期待リターンを調整していくことが重要

NISAは非課税期間が終了する5年以内に、非課税メリットを享受するだけの利益を生み出すことも大事だ。ただし投資信託という枠組みで分散投資を行っている場合、短期間で大幅な利益を生み出すのは難しい。期待リターンは株式よりも低めに見積もっておくべきだろう。

海外市場など、個別銘柄の売買が難しい市場では、投資信託という枠組みを活用して購入する必要があるため、商品やポートフォリオ全体で期待リターンを調整する視点が重要だ。

デメリット2…投資信託は専門家への手数料が発生する分、割高になる

投資信託は専門家であるファンドマネージャーが日々の運用を維持するため、信託報酬という手数料がかかる。この信託報酬により、投資信託はどうしても個別株投資と比べて割高となる。信託報酬は投資信託にとって永遠の課題であり、5年間で利益を出す必要があるNISAでは大きな足かせとなる。

投資信託には他にも買付時に発生する購入手数料、運用期間中に発生する信託報酬、売却時に発生する信託財産留保額や売却手数料が掛かる。近年は手数料低減の流れが顕著で、購入手数料や売却手数料、信託財産留保額などは掛からない商品も多い。一方で信託報酬については、引き下げの流れこそあるもののなくなることがないのが現状だ。

インデックスファンドと個別株投資の信託報酬が5%以上開くこともある

低コストのインデックスファンドであれば、信託報酬を年率0.2%未満に抑えた商品もある。5年間運用を行えば、掛かるコストは1%だ。アクティブファンドの場合、信託報酬を年率1%以上、取る商品も多い。仮に信託報酬が年率1%と仮定した場合、5年間で5%のコストとなる。信託報酬が年率1%を越える場合、5年間のコストはさらに大きくなる。

個別株投資では買付時と売却時に売買手数料が掛かるが、原則として売買手数料以外のコストは掛からない。ネット証券会社のNISA口座での売買であれば、取引手数料が無料になる場合も多い。手数料を取っている証券会社でも、ネットから注文を行えばその手数料は0.1%程度であるケースがほとんどだ。

NISAで5年間運用を行う場合、コストなしで購入できる個別株投資とインデックスファンドでは年率5%以上の差が開く場合もある。もちろん運用結果で埋めることはできるが、一定期間内に利益を出す必要があるNISAでは、信託報酬のコストを十分に考慮して投資判断を行うようにしたい。

デメリット3……NISAで損失が出た場合は利益がなかったものと見なされる

NISAでは利益に対する税金が非課税となるが、損失が出た場合は利益がなかったものと見なされ、他の投資利益との損益通算はできない。NISA口座で購入した商品で損失がでた場合、非課税メリットを享受できないだけでなく、損益通算にも活用できない純粋な損失となってしまう。

売却のタイミングには細心の注意を払い、利益確定をするように検討を行う必要がある。この点は投資信託に限らず、株式やETFなど、NISAで購入する全ての商品に共通する。

デメリット4……投資信託の特別分配金はNISAの非課税メリットが得られない

NISAでは、売却益に当たる譲渡益だけでなく、配当金や分配金に掛かる税金も非課税になる。これはNISAにとって非常に大きなメリットだ。5年間という期限内に利益を出さないといけないNISAにとって、売却タイミングというのは大きく頭を悩ます問題であろう。

配当金や分配金に掛かる税金も非課税となることで、これらを受け取ることは確定した利益の払い出しに繋がり、トータルでの利益を確保しやすくなるのである。ただしNISAで投資信託を購入した場合、特別分配金が払われると非課税メリットを余す事なく活用することが難しくなる。

特別分配金として払い戻された個別元本は値上がり益を享受できない

特別分配金は分配金の支払いを優先するあまり、利益部分ではなく元本を取り崩して支払われる分配金である。元本の取り崩しは利益ではないため、特別分配金はそもそも非課税となる。つまりNISAで分配金を受け取った場合でも、それが特別分配金であった場合には非課税メリットを享受できないのだ。

さらに問題なのが、特別分配金は個別元本の取り崩しに当たるため、特別分配金が支払われると、NISA口座で保有している商品から元本を一部回収した事となる。その後、投資信託が値上がりした場合でも、払い戻された特別分配金分は値上がり益を享受できない。

NISAでは毎月分配型の投資信託の購入は避けたほうが良い

そうした事態を避けるために、投資信託には分配金の再投資という方法がある。ただしこれもNISAでは非常に扱い辛い。NISA口座で分配金を再投資する場合、新たにNISAの枠を利用することになるが、その年の非課税投資枠を使い切ってしまっていれば、再投資できない。再投資前提で考える場合は、毎年の非課税投資枠を再投資金額分残しておかなくてはならないのである。

NISAで投資信託を購入した場合の注意点は、毎月分配型のように毎月定額の分配金を支払うことを主眼においた商品の購入を避けることだ。分配金の受け取りは確定した利益の払い出しに繋がる。極力分配回数の多い商品のほうが良いという場合には、債券や不動産(REIT)といった、定期的なインカムゲインが期待できる資産に投資する商品を選択すると良いだろう。こうした投資信託は、定期的なインカムゲインを分配金の原資として期待でるため、特別分配金の支払いが比較的起こり辛い。もちろん、ポートフォリオ内のインカムゲインに対して、過度な分配金を支払っていないかを確認する必要はある。

文・樋口壮一(金融ライター)
 

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