投資初心者が知っておきたい「信用取引」とは?メリット・デメリットを紹介

2019.6.10
INVESTMENT
(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)
(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)
信用取引は委託保証金を差し入れて行う資金効率がよい金融商品の一つだ。信用取引は現物取引とどこが違うのか?危険だと考えられがちだがその理由は何だろうか。逆にどのようなメリットがあるのか?個人投資家の間で、信用取引が注目を集める理由も含めて紹介しよう。

信用取引は株式投資の一種

「現物取引」は株式の現物を自己資金で売買する取引手法であるのに対して、「信用取引」は現物株式や現金を担保にして、証券会社から現金や株式を借りて取引する手法で、これもれっきとした株式投資の手法の一つだ。

信用取引の主な利用者は個人投資家が93%を占める。個人による売買のうち62%が信用取引であり、残りの38%が現金取引となっている(2016年1月発行 東京証券取引所「信用取引制度の概要」より)。つまり信用取引は個人投資家にとって非常に身近な取引手法であるのだ。

信用取引の3つのメリット レバレッジ、売りからのスタートなど

信用取引が個人投資家に浸透しているのは現物取引にはないメリットがあるからだ。

メリット1 レバレッジを生かした資金効率の良い取引 

信用取引の最大のメリットであり現物取引との決定的な違いは、テコの原理を利用したレバレッジ効果を生かした取引ができることだ。信用取引では現金や株式を借りて売買できるため、自己資金が少なくても大きな金額の取引ができる。

簡単な例を挙げると、100万円の信用取引をしたいのであれば、その30%以上(最低30万円)を委託保証金として証券会社に差し入ればいい。

投資に使える現金が少ない場合でも、証券会社で保有している株式や投資信託を代用有価証券として委託保証金に充てられるので、証券口座に眠っている株式・投信を有効活用できる。

メリット2 信用取引なら「売り」から始められる

現物取引では株式を保有していなければ売ることはできないが、信用取引では証券会社から借りた株式を売ることから取引を始められる。「信用売り」「空売り」と呼ばれるこの手法は、株価が今後、下落局面にあるときに売り、下がりきった段階で買い戻すことで利益を出すことも可能だ。

また保有する株式の株価が今後下落すると見込まれるが、売りたくない、さらには含み損もできる限り抑えたいという場合には、信用売り後に底値近辺で返済買いをすることで含み損をカバーできる。

このテクニックは「売りヘッジ」や「つなぎ売り」と呼ばれ、価格変動リスクを最小限に抑えながら、株主優待の権利を失わずにすむ。株主優待銘柄を購入するなら、今後ぜひともマスターしたいテクニックだ。

株価が下落局面にあると、現物取引では売り抜けや損切り(損が拡大しないように見切りをつけて売却すること)のタイミングや、塩漬け(大幅な損が出ているため、売却を当面見送っている状態)にすべきかの判断が難しい。

そんな場合に株価下落によるリスクヘッジを積極的にとれるのが信用取引だと考えればよいだろう。

メリット3 同じ保証金で1日に何度も取引可能

信用取引の反対売買などで返済した委託保証金は、同日中、他の銘柄の信用取引に何度も利用できる。そのため、委託保証金として最低額の30万円を用意すれば、1日のうちに数回信用取引を繰り返すと数百万円もの取引が可能になるので資金効率が非常によい。

信用取引のデメリット・危険性は?手元資金以上の損失発生の可能性など

信用取引はテクニック次第で株価下落リスクをヘッジできる、または大きな利益が出る可能性がある反面、十分に考慮すべき損失リスクや、現物取引にはないコストが発生する。一般的に信用取引が危険と考えられているのはそういったデメリットがあるためだ。

手元資金以上の損失が発生するリスク

信用取引のレバレッジは3.3倍であるため、自己資金の3.3倍の取引が可能だ。裏を返せば損失も3.3倍になる点に十分注意しなければならない。

たとえば現物取引で30万円の自己資金で株価1,000円の銘柄を300株購入した場合、株価が500円に下落すると損失額は15万円である。

一方、信用取引では委託保証金30万円で株価1,000円の銘柄を1,000株信用買いした場合、株価が同じく500円に下落すれば損失額は50万円となり、自己資金を大幅に上回る損失が発生する。

信用売りについても同様で、株価が下落相場になることを見込んで信用売りをしても、実際の相場が急騰してしまった場合には、取引額をはるかに超える返済買いを強いられるリスクもあるのだ。

現物取引にはないコストや追証に注意

信用取引では現物取引同様に約定代金に対して取引手数料がかかる。加えて現金や株式を証券会社から借りて行う取引であるため、信用買いでは貸し付けを受けた資金の金利がかかる。また信用売りでは売却する株式の貸株料を証券会社に払わなければいけない。

株価の変動によって信用取引の含み損が増大し、
  • 差し入れていた委託保証金額を上回る損失が出た
  • 委託保証金として差し入れた代用有価証券が値下がりして、証券会社ごとに定められた最低保証金維持率を下回った
上記のいずれかの場合は取引を継続するために「追証」(追加保証金)が必要になることもある。

無闇に恐れるのではなく、余裕ある取引と自分なりのルール設定を

信用取引は投資機会が増えて状況次第でハイリターンを期待できるが、ハイリスクであることも考慮にいれておく必要がある。現物取引にはない信用取引の魅力を生かすには、価格下落リスクを想定した余裕のある取引を行い、不要なコストを削減できるように日頃から心掛けることが重要だ。

たとえば委託保証金率の30%ギリギリではなく、相場下落による追証の発生を避けるために多めに用意するといった余裕のあるポジションを建てることが大事だ。

信用取引は資金と株式を借りる取引であることを踏まえて損しているときは損切りも大事。信用取引を行うにあたってはデメリットも理解しておく必要があるだろう。

文・近藤真理(フリーライター)
 

【関連記事 PR】
【初心者向け】ネット証券おすすめランキング
ネット証券比較――手数料、ツール、シェア数ランキング
ネット証券会社比較 手数料の安い4社
証券会社のネット口座開設数ランキング1位は?上位5社
ネット証券会社のシェアランキング1位はSBI証券

PREV 投資初心者が知っておきたい「FX」のメリットとデメリット
NEXT 証券会社の売上規模ランキングTOP10 野村ホールディングス、SBIホールディングス……

READ MORE...