株主優待とは、企業が自社に投資してくれている投資家に対してお礼の意味合いも込めて贈るプレゼントのようなものだ。

株主優待の内容には、金券、割引券、食事券、施設利用券から飲食品など様々だ。この株主優待は企業がどんな優待にするかを決めて実施するものだが、時にその優待が以下3パターンのように変更となる場合がある。

(1)優待内容の追加 
(2)優待内容の拡充 
(3)優待内容の改悪

優待内容の変更にもよるが、優待内容を追加して豪華にしたり、利回りを高くするような拡充は投資家から高く評価され、株価は上昇する傾向がある。逆に優待の使い勝手を悪くしたり、利回りを低くしてしまう改悪は、株価が大きく下がることがある。そこでここ1年で株主優待の変更があった企業を9社まとめてみよう。 

1. 優待内容の追加(ゴルフドゥ・まんだらけ)

これまでの優待内容に別の優待が追加される場合をいう。 

○ゴルフドゥ <3032>

もともとゴルフの商品割引券のみであったが、化粧品(ルアンルアンコスメセット通常価格5486円)が年2回追加されるようになった。これによって優待利回りが大きく上昇し、株価は3営業日連続のストップ高となった。いまだ株価は500円台の為、利回りは20%を超える超高利回りの銘柄である。ストップ高の影響による株価の乱高下が落ち着いた頃が狙い目である。 

○まんだらけ <2652>

もともとは年2回、雑誌が4回にわたって送られてくるという優待であったのが、商品券が追加された。必要投資金額が少ない上、1年以上持つと100株当たり2000円の商品券が5000円に大幅にアップすることから優待投資家からの支持を集めた。 

2. 優待内容の拡充(アクトコール・ヤマウラ・大戸屋)

これまでの優待内容(利回りや使い勝手など)がより魅力的になる場合をいう。 

○アクトコール <6064>

アクトコールの優待拡充は少々変則的だ。もともと優待が導入されて日が浅いが、それに伴い株価を2分割することを発表した。2分割する前でも利回りは高い優待として注目されていたが、優待投資家の注目点は、分割後の優待内容がどうなるか、という点だった。

もともと100株あたり6000円相当のカフェ食事券もしくは3000円相当のクオカードだったものを、2分割後に100株で2000円相当のカフェ食事券もしくは1000円相当のクオカードに変更。ただし、200株保有(分割前の状態でそのまま株を持ち続けるなら)ならば8000円相当のカフェ食事券もしくは4000円相当のクオカードが配布されることになった。

分割後にそのまま株を持ち続けるなら拡充、半分売却してしまうなら改悪という非常に変則的な拡充の仕方だ。ただ、100株相当でも利回りが高いので優待投資家からは高く評価されたようである。 

○ヤマウラ <1780>

同じ金額の優待をもらうのに株数が少なくてもよくなった。1000株で6000円相当の商品だったのが、300株で3000円相当の商品2つになった。同じ金額の優待に対し、必要投資金額がより低くなるのも、優待拡充ではよくある形で、今後投資家の買いが集まってくることが予想される。 

○大戸屋 <2705>

100株以上で2500円の商品券およびお米2キロだったものを、1年以上保有すると3000円の商品券およびお米2キロへと変更した。拡充にはこのような、長期で株を保有したり、株数を増やすことで優待価値を増やすものがある。単純に優待価値を増やす場合に比べてインパクトは少ないものの、長期優遇は長期投資家を増やす効果があるので、優待投資家から評価される場合も多いようだ。 

3. 優待内容の改悪(ヴィレヴァン・ハーバー研究所・全国保証・ライドオンエクスプレス)

これまでの優待内容(利回りや使い勝手など)がより低下する場合をいう。 

○ヴィレッジヴァンガード <2769>

もともと1万1000円相当の商品券を制限なく使用できたが、改悪後は1万円の商品券を2000円ごとに1000円使用可能という制限がついたものに変更。

優待をすべて使い切るには、追加で1万1000円を支払う必要が生じるため優待投資家から嫌気されて、株価はその後下落の一途をたどっている。ヴィレッジヴァンガードの場合、そもそも業績が悪く、優待目当ての投資家の買いが多かったため改悪のインパクトは大きかったようだ。 

○ハーバー研究所 <4925>

1万円相当の割引券を制限なく使用できたが、改悪後は2000円ごとに1000円使用可能という制限が付いた。先ほどのヴィレッジヴァンガードの例とそっくりだが、特筆すべきは改悪後の株価下落のパターンの仕方も、ヴィレッジヴァンガードにそっくりな点だ。

ただし、ヴィレッジヴァンガードとは異なり、ハーバー研究所は業績が良いため、下落が止まった後は買い戻しが進み、現在は株価下落前の水準まで株価が盛り返している。業績が悪くない場合には、株価の改悪は、絶好の買い場になる好例だといえる。 

○全国保証 <7164>

もともと、5000円のクオカードか、5000円相当の特産品の選択であったが、1年間保有しないと優待をもらえなくなった。代わりに、1年未満だと3000円相当のクオカードとなった。全国保証の場合には優待改悪による影響はほとんどなく、株価は堅調に推移していた。もともと優待銘柄というよりは、好業績を見据えた成長株としての側面が高かったため、優待改悪による影響は限定的だったといえる。 

○ライドオンエクスプレス <6082>

ライドンエクスプレスは最近、5000円の食事券を2500円へと改悪した。実はこれには背景がある。ライドオンは以前、株式を2分割しているのだが、その時に優待を据え置いた経緯がある。つまり企業側が、優待を据え置いても業績は好調だと判断したうえで、分割にともない優待を拡充していたのである。

しかし、分割後に優待目的に株を購入した投資家にとっては文字通り、大改悪になってしまった残念な例といえる。さきほどのアクトコールの例でも分割に伴った優待の措置を取り上げたが、本来であれば分割に比例させた優待価値の減少が正しいあり方といえそうだ。 

成果を上げるには「変更への気配り」が必要

ここまで見てきたように優待の変更にはいろいろな形がある。優待変更は、変更されたらそれで終わりでなく、その後の株価の値動きにも強い影響を与える。優待投資をする上では、変更にもしっかりと気を配っておくこと。それが優待投資の成果を上げるための重要な要素である。

文・谷山歩(たにやま あゆみ)/ZUU online

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