プライオリティ・パスは、世界の空港ラウンジを無料で利用できるサービスで、クレジットカードに付帯することも多い。しかしクレジットカードの種類が多く、プライオリティ・パス自体にもグレードがあるため、どう選べばいいかわからない人もいるだろう。

ここでは、プライオリティ・パスとは何か、空港ラウンジを無料で利用できるプレステージプラン付き全23種の個人向けカードと、特におすすめのカードの特徴を紹介していく。

目次
1,プライオリティ・パスとは?――世界1,300ヵ所以上の空港ラウンジが無料
2,プライオリティ・パス付きクレジットカードの3つのメリット
3,プライオリティ・パス付き個人向けカード全23種を比較
4,おすすめクレジットカード5種の特徴を解説
5,プライオリティ・パス付きクレジットカードの3つのデメリット
6,自身の旅のスタイルに合わせたカード選びを

1,プライオリティ・パスとは?――世界1,300ヵ所以上の空港ラウンジが無料

プラチナなど、ハイグレードクレジットカードの無料特典として付帯することの多いプライオリティ・パス。これは一体どういうものか?まずはその概要から説明していこう。

空港ラウンジサービスとは?

空港ラウンジとは、通常の待合室とは違い、より快適なイスでくつろぎながらドリンクや軽食などを楽しめる有料スペースのことで、通常は充電用コンセントや無料Wi-Fiなども提供されている。グレードの高いラウンジでは、アルコール飲料や調理して間もない温かい軽食、シャワー室、会議室などが設けられているところもある。

飛行機の出発までの待ち時間や乗継便の時間調整を快適にしてくれるサービスだが、出発までの待ち時間が長くなることが多い海外便を利用する際は、特に便利だ。海外での乗り継ぎでは何時間も待たなければならないこともあり、そのようなときに空港ラウンジは非常に重宝する。

プライオリティ・パスは空港ラウンジ利用ができるサービス

空港ラウンジサービスは、空の旅を快適にしてくれる。特に海外での乗り継ぎ時などに重宝するが、頻繁に利用する人にとっては毎回かかる料金が負担になる。そこで活躍するのが、所定の年会費を支払うと世界各地の空港ラウンジを何回でも使えるようになるプライオリティ・パスのサービスだ。

プライオリティ・パスのラウンジネットワークは世界148ヵ国、600を超える都市の1,300ヵ所以上の空港ラウンジを網羅しており、現在もなお対象ラウンジは増え続けているという。会員資格の種類にもよるが、それだけの空港ラウンジをすべて何回でも利用できることがプライオリティ・パスのサービスの根幹であり、最大の魅力だ。

プライオリティ・パス会員には、世界中の空港のレストランやショップ、スパなどで利用できる800以上の割引優待も提供される。優待は、プライオリティ・パス専用アプリで確認・利用することができる。

プライオリティ・パス会員資格は3種 最高グレードは年429ドルも!

プライオリティ・パスの会員資格には、以下の3つのグレードがある。

会員資格 スタンダード スタンダード・
プラス
プレステージ
年会費 99米ドル 299米ドル 429米ドル
会員のラウンジ
利用料
32米ドル 10回まで無料
それ以降32米ドル
無料
同伴者のラウンジ
利用料
32米ドル 32米ドル 32米ドル

表を見るとわかるが、年会費を支払えばラウンジ料金が何回でも無料になるのは年会費が最も高いプレステージ会員のみだ。「スタンダード」会員は毎回利用料金がかかり、「スタンダード・プラス」会員は年間10回まで無料になる。海外旅行が多い人ならプレステージ会員になりたいところだが、429米ドル(1ドル=108円のレートで約4万6,300円)の年会費は安くない。

そこでおすすめしたいのが、プライオリティ・パスのプレステージ会員資格が付帯するクレジットカードを取得することだ。正確に言うと、「プライオリティ・パスに無料で入会できる特典が付帯するクレジットカード」ということになる。そのようなカードの中には、プライオリティ・パスのプレステージ会員よりも年会費が安いものもあるので、プライオリティ・パスを安く利用できる手段の一つと言える。

2,プライオリティ・パス付きクレジットカードの3つのメリット なぜカードの付帯サービスのほうがお得なのか?

「わざわざクレジットカードを所有しなくても、プライオリティ・パスの会員になればいいのでは……」と考える人もいるだろう。しかし、クレジットカードの特典でプライオリティ・パス会員になるほうが、メリットが大きいのだ。

メリット1,プライオリティ・パスをより安く持つことができる

前述のとおり、プレステージ会員の年会費よりも年会費が安いクレジットカードは少なくない。

プレステージ会員の年会費よりも年会費が高いカードももちろんあるが、それらはプライオリティ・パス以外にもさまざまな特典が充実しており、総合的に考えるとプライオリティ・パスをよりリーズナブルな費用で持てることになる。カードによっては同伴者も無料になるものもあり、プライオリティ・パスに直接入会するよりも便利でお得に利用できる。

メリット2,各種付帯サービスで海外旅行が快適になる

一般的にプライオリティ・パスが付帯するクレジットカードでは、海外旅行を快適にしてくれるさまざまな特典やサービス、優待も利用できる。

たとえば、空港・自宅間の手荷物宅配優待、空港クローク優待、海外用Wi-Fi・携帯電話レンタル優待、空港送迎ハイヤー優待などがある。空港外では、ホテルやレンタカーなどの優待を受けられることも多い。 それらを有効活用すれば、旅のクオリティは段違いに向上するはずだ。

メリット3,国内空港ラウンジサービスも利用できる

空港での待ち時間を快適に過ごせるプライオリティ・パスだが、基本的に国際線を対象としており、日本における対象空港は成田空港のみとなっている。つまり、国内線では基本的に使えないサービスなのだ。

しかし、プライオリティ・パスが付帯するクレジットカードには、ほぼ例外なく国内空港ラウンジサービスが付いており、国内の主要空港のラウンジも無料で利用できる。海外だけでなく国内の空港ラウンジもカバーしたいなら、プライオリティ・パス付帯のクレジットカードを持つのがベストチョイスと言えるだろう。

3,プライオリティ・パス付きクレジットカード全23種を一覧で比較!

ここまでプライオリティ・パスの特徴と、クレジットカードで会員になるメリットを見てきた。ここからは、プライオリティ・パスのプレステージ会員資格に無料で申し込めるクレジットカード全23種を比較してみよう(※筆者調べ)。

なお、ここでは法人カードやビジネスカード、地方銀行発行カード、カード会社公式サイトに詳細が記されていないカードは取り上げない。

また、クレジットカードの中にはプライオリティ・パスの「スタンダード」会員資格に無料で申し込めるものもあるが、その場合は毎回利用料金がかかるので除外した。ただし、「ANA アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード」は、「スタンダード」会員の利用料金をカード会社が負担する形であり、実質的にプレステージ会員資格と同等のサービスなので、この一覧に含めた。

同伴者料金が有料の場合は32米ドルか27米ドル、あるいは2,200円(税込)か3,300円(税込)と、カード会社によって異なる。

カード名

年会費
(税込)

通常還元率 家族会員登録 同伴者無料

アメリカン・
エキスプレス・
プラチナ・カード

14万3,000円 最大3% 1名まで無料
ANAアメリカン・
エキスプレス・
プレミアム・カード
16万5,000円 1% 1名まで無料
JCBプラチナ 2万7,500円 0.5% 不可
JCBゴールド・
ザ・プレミア
※招待制
1万6,500円 0.5% 不可
ANA JCBカード
プレミアム
7万7,000円 1.3%
※マイル還元率
不可
JAL・JCBカード
プラチナ
3万4,100円 1%
※マイル還元率
不可
三井住友カード
プラチナ
※プライオリティ・
パスは選択制
5万5,000円 0.5%
ANA VISAプラチナ
プレミアムカード
8万8,000円 1.5%
※マイル還元率
TRUST CLUB
プラチナ Visaカード
3万8,500円 1% 不可
MUFGカード・
プラチナ・
アメリカン・
エキスプレス・カード
2万2,000円 0.5%
海外1%
JAL アメリカン・
エキスプレス・
カード プラチナ
3万4,100円 1%
※マイル還元率
セゾンプラチナ・
アメリカン・
エキスプレス・カード
2万2,000円 0.75%
海外1%
不可
セゾンプラチナ・
ビジネス・
アメリカン・
エキスプレス・カード
2万2,000円 0.5%
海外1%
不可
ザ・プラチナ
出光 セゾン・
アメリカン・
エキスプレス・カード
2万2,000円 1% 不可
みずほセゾンプラチナ・
アメリカン・
エキスプレス・カード
2万2,000円 1% 不可
楽天ブラックカード
※招待制
3万3,000円 1% 不可 2名まで無料
楽天プレミアムカード 1万1,000円 1% 不可
エポスプラチナカード 3万円 0.5% 不可

※1部
ラウンジで
1名まで無料

セディナプラチナカード 3万3,000円 0.5% 不可
ミライノ カード
PLATINUM
2万7,500円 1% 不可
ラグジュアリーカード
Titanium
5万5,000円 1%
ラグジュアリーカード
Black
11万円 1.25%
ラグジュアリーカード
Gold
22万円 1.5%

4,プライオリティ・パス付きクレジットカードおすすめ5種の特徴を解説――最大9名分が無料になるカードも

紹介した23種のカードのうち、プライオリティ・パス特典が目的の場合におすすめの5枚のクレジットカードについて、それぞれ解説しよう。

おすすめ1,年会費が安い「JCBゴールド・ザ・プレミア」――1万1,000円でプライオリティ・パス会員に

「JCBゴールド・ザ・プレミア」は、「JCBゴールドカード」を2年連続で年間100万円(税込)以上利用していると招待されるカード。年会費は1万6,500円(税込)だが、年間100万円以上(税込)の利用があればゴールド年会費と同じ1万1,000円(税込)になる。つまり、年間わずか1万1,000円の負担で、プライオリティ・パスのプレステージ会員資格が得られるのだ。

「楽天プレミアムカード」も年会費が同じ1万1,000円(税込)なので、楽天市場の利用が多い人は、楽天グループ利用分でポイントアップするこちらのカードを選んでもいいだろう。

おすすめ2,海外旅行保険が充実した「ラグジュアリーカードGold」――最高1億円の補償

プラチナカードの中には海外旅行傷害保険が最高1億円に設定されているものがいくつかあるが、この「ラグジュアリーカードGold」は最高1億2,000万円とさらに高く設定されている。

その分年会費も22万円(税込)とかなり高額だが、プライオリティ・パスのほか、ポイント還元率1.5%、Mastercard最上位ステータス「ワールドエリート」適用、最高級ホテルでの優待、レストランへのリムジン送迎など、ハイステータスかつハイスペックな内容になっている。

おすすめ3,同伴者2名まで無料になる「楽天ブラックカード」――インビが届いたらぜひ検討を

同伴者はラウンジ利用料金が有料というカードが多い中、「楽天ブラックカード」では同伴者2名までラウンジ利用料金が無料になる。しかも年会費は3万3,000円(税込)と、プライオリティ・パスのプレステージ会員の年会費よりも安い。

招待制のカードなので誰もが申し込めるわけではないが、「楽天ゴールドカード」や「楽天プレミアムカード」などを利用していて、インビテーション(招待)が届いたなら、ぜひ検討してほしい。

おすすめ4,最大9名まで無料になる「ANAアメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード」

「楽天ブラックカード」では本人を含め最大3名のラウンジ利用料金が無料になるが、たとえば4人家族で利用すると1人分は有料になってしまう。

そのような状況が想定される場合におすすめなのが、家族カードを無料で作れ、家族会員も無料でプライオリティ・パスのプレステージ会員資格を取得できる「ANAアメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード」だ。

このカードでは、同伴者1名までラウンジ利用料金が無料になる。たとえば夫が本会員で、妻が家族会員、子どもが2人いるケースでは、その4名分がすべて無料になる。しかも、家族カードは4枚まで無料で作れるので、本会員+家族カード会員4名+各カードの同伴者無料対象分5名という構成なら、合計9名まで無料でラウンジを利用できることになる。これなら、大人数の旅行でも活用できるだろう。

ただし、これは家族カードを作ることが前提なので、1人暮らしの人や、ビジネス目的の海外渡航がメインで同行者と一緒にラウンジを利用したい場合は、「楽天ブラックカード」のほうが使い勝手がいいだろう。

おすすめ5,最高の空港ラウンジ体験ができる「アメリカン・エキスプレス・プラチナ・カード」

このカードも家族カードを4枚まで無料で作れ、家族会員も無料でプライオリティ・パスのプレステージ会員資格を取得でき、それぞれ同伴者1名まで無料でラウンジを利用できる。つまり、こちらも最大9名まで空港ラウンジが無料になるわけだ。

このカードではプライオリティ・パスのほか、6つの空港ラウンジプログラム「センチュリオン・ラウンジ」「インターナショナル・アメリカン・エキスプレス・ラウンジ」「デルタ・スカイクラブ」「エスケープ・ラウンジUS」「エアスペース」「プラザ・プレミアム・エアポート・ラウンジ」を利用できる。

特別感があるのが、アメリカン・エキスプレスが北米の空港を中心に展開する12ヵ所の「センチュリオン・ラウンジ」だ。同伴者2名まで無料で利用でき、ラウンジ内では有名シェフ考案の料理やカクテル、シャワー設備やスパのサービスが提供されるなど、最高クラスのサービスを受けることができる。

5,プライオリティ・パス付きクレジットカードの3つの注意点・デメリット――審査がハードルに

最後に、プライオリティ・パス付きのクレジットカードのデメリット・注意点を確認しておこう。

デメリット1,カード入会時の審査が厳しい

プライオリティ・パスが付帯するクレジットカードの多くはプラチナランク以上であり、それに応じて審査も厳しくなる。カードによって必要とされる条件は異なるが、一般的に年収400万円以上は必要で、カードによっては700万円以上、あるいはそれ以上の年収を求められる。

デメリット2,年会費は高め

プライオリティ・パス付きのカードの年会費は2万円以上のものがほとんどで、クレジットカードの年会費としては高額と言える。それでもプレステージ会員の年会費よりは安いことは確かだが、プライオリティ・パスを主な目的としてカードを取得する場合、海外旅行が少ない年はカード年会費が割高に感じられるかもしれない。

クレジットカードを介さずプライオリティ・パスに直接入会する場合は、利用しない年は会員にならなければいい。しかし、クレジットカードの場合は安易に退会することはできないため、海外への渡航が少ない年は高くついてしまうかもしれない。

デメリット3,同伴者がいる場合に余計な出費がかかることも

前述のとおり、プライオリティ・パス付帯のクレジットカードには同伴者が無料になるものがある。しかし、無料になる範囲を超える人数の同伴者がいる場合や、同伴者が無料にならないカードでは、当然ながら同伴者の利用料金が発生する。

同伴者の利用料金は、プライオリティ・パス付帯クレジットカードでまとめて決済する必要がある。その分は後で同伴者に支払ってもらうことになるが、関係性によっては結局カードの所有者が負担するケースもあるだろう。そのため、同伴者がいる場合はプライオリティ・パスを利用しないという選択をする人もいるかもしれない。

また、プライオリティ・パスに申し込めるのは本会員のみというカードも多く、その場合は同伴者の料金を支払ってラウンジを利用するか、あるいはまったく利用しないという二者択一を迫られることになる。家族や友人と一緒に海外に行く場合、このように気軽にサービスを利用できないこともあるのはデメリットと言えるだろう。

6,自身の旅のスタイルに合わせたカード選びを

海外旅行の多い人にとって、プライオリティ・パスは間違いなく空の旅を快適にしてくれるツールになるだろう。このサービスが付帯するクレジットカードの年会費はさまざまだが、それぞれにプライオリティ・パス以外の特徴もあるため、一概にどれがいいとは言えない。

海外旅行での利用に限定したとしても、旅のスタイルによって便利なサービスは異なるので、年会費とのバランスも考えつつ、自身に合ったカードをじっくり検討してほしい。

 

執筆・モリソウイチロウ(ライター)

「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。  

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