iDeCoと住宅ローン控除、併用がデメリットとなるパターン

2019.1.5
FINANCE
(写真=Monthira/Shutterstock.com)
(写真=Monthira/Shutterstock.com)
個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の掛け金は所得控除、住宅ローン控除は税額控除で税が少なくなる。この2つは控除のしくみと計算の順番が異なるため、納税額が比較的少ない人や住宅ローン控除の金額が大きい人は、iDeCoでの所得控除がデメリットになることがある。

iDeCoの節税効果が住宅ローン減税の対象を減らしてしまう

iDeCoには税の優遇がある。運用益が出れば非課税となり受取時にも控除枠があるが、優遇の中でも大きな魅力は節税できることだろう。詳しくは後で述べるが、掛け金が所得控除の対象となることで所得税・住民税が軽減されるのだ。

一方、住宅ローンを返済中の人には住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)という税の軽減制度がある。これも所得税を減らすものだ。

この2つを併用しても制度上はまったく問題ないし、併用することでさらにお得になるケースもある。しかし、人によってはiDeCoに加入することで住宅ローン控除のメリットを弱めてしまうこともある。iDeCoの節税効果で所得税が少なくなると、住宅ローン控除の対象額も減ってしまうからだ。

iDeCoの掛け金拠出が節税になるのは所得控除

iDeCoの掛け金に応じて所得税が節税できるのは、所得控除という仕組があるからだ。これは、課税対象額を減らすものである。

所得税は、課税所得金額に税率をかけることで納税額が決まる。所得とは収入から経費などを引いたものであり、さらに所得からさまざまな理由で一定額を引いたものが課税所得だ。所得から課税所得を求める際に、一定額を差し引くことを所得控除という。

iDeCoの掛け金は所得控除の対象なので、課税所得金額を小さくする効果がある。掛け金の上限は人によって異なるが、もし20万円の掛け金を拠出していれば、20万円が課税対象から外れることになる。所得税率が20%の人であれば、20万円×20%=4万円所得税が少なくなるのだ。

また住民税でも同じように、課税所得金額に税率を掛けて納税額が決まる。住民税の税率は10%なので、iDeCoで20万円掛け金を拠出すると、20万円×10%=2万円節税できる。

住宅ローン減税は税額控除

住宅ローン控除とは、一定の要件を満たす場合に、住宅ローンの年末残高に応じて決まった額を所得税額から差し引くことができる制度だ。住宅ローン控除額として認められた金額を、一度計算された所得税の金額から直接差し引く。このように、税額そのものを減らすことを税額控除という。

住宅ローン控除として認められる金額は、住み始めた時期や住宅の品質、消費税がかかる取引かどうかなどによって異なる。例えば、2014年1月1日から2021年12月31日までに一般の住宅(特定住宅ではない)を消費税込みで購入した場合、10年の間は年末残高等×1%が40万円まで税額控除として認められる。

住宅ローン控除額が所得税よりも大きい場合、翌年度に繰り越すことはできないが、住民税から一定額まで税額控除できる。これも居住開始時期や消費税の有無により上限が異なるが、上記の例では所得税の課税総所得金額等の7%(上限13万6,500円まで)の控除が認められる。

所得控除計算後の課税額から税額控除を差し引く

所得控除と税額控除の関係を整理しておこう。所得から差し引くものが所得控除で、所得控除が多ければ課税所得が小さくなる。課税所得×税率=所得税額なので、所得控除で課税対象から外れた金額に税率を掛けた分だけ所得税額が軽減される。

税額控除は所得税額から直接差し引くものだ。先に所得控除を考慮して所得税額を計算し、その後に税額控除として認められた額を所得税額から引く。税額控除として認められた金額は、その全額が税金の軽減額となる。

デメリットが生じるケースとは

iDeCoの掛け金は所得控除、住宅ローン控除は税額控除だ。この違いによって、併用する際にデメリットが生じることがある。iDeCo掛け金で納税額が減った結果、住宅ローン控除で軽減されるはずだった税額が控除しきれなくなってしまうことがあるからだ。

前述のとおり、所得税率が20%の人がiDeCo掛け金を20万円拠出した場合、所得税額が4万円少なくなる。

この人に、住宅ローン控除で税額控除38万円が認められているとする。そしてiDeCoがなければ所得税が25万円だったとし、住民税でも住宅ローン控除が上限額の13万6,500円認められているとする。この場合、住宅ローン控除の38万円の枠が丸々使える。

この人がiDeCo掛け金で所得控除を受けると所得税は21万円となる。住宅ローン控除で所得税から引ききれなかった金額は17万円だ。これを住民税から税額控除しようにも上限は13万6,500円なので住宅ローン控除での非課税枠が3万3,500円分余ってしまう。

このように、所得控除を利用して納税額が少なくなったことで、税額控除の非課税枠を使いきれないというデメリットが生じる可能性がある。納税額が比較的少なかったり、住宅ローン控除額が多かったりして、納税額がゼロかそれに近い人はこのパターンになりやすいので要注意だ。

一方、デメリットが生じない人もいる。住宅ローン控除の税額控除額を使い切っても納税額が残る人であれば、非課税枠が余るデメリットは生じない。この場合は残った納税額をさらに減らすために、iDeCoで所得控除を狙う余地がある。

また、住民税に住宅ローン控除の税額控除の上限があるため、住宅ローン控除の非課税枠が余る上に住民税の納税額が残るケースもある。これもiDeCoを併用して住民税を抑えることができる。

住宅ローン控除額が少なくて納税額が残るケースもある。住宅ローン控除額は、居住開始年などによっては上限が20万円などの場合もあるし、ローンを順調に返済していって年末残高が減り、それに応じて控除額が少なくなることもある。

iDeCoでの所得控除がデメリットになるかどうかは、納税額(住宅ローン控除の対象となる上限額)と住宅ローン控除額による。これらの金額は人それぞれなので、個別に確認が必要だ。

iDeCoの節税効果が盛んに宣伝されるが、税の計算の仕組み上、住宅ローン控除を受けている人にとってはデメリットをもたらす可能性がある。税の計算の仕組みを知り、それぞれの節税効果を正確に理解して方針を決定しよう。

文・MONEY TIMES編集部
 

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