衣料品通販サイト大手のZOZOが発表した最新決算で、四半期の営業利益が前年同期比42.0%減と、大幅減益となったことが明らかになった。株価も大幅に下落し、一時は時価総額がピーク時の3分の1まで落ち込んだ。創業者である前澤氏が離れたZOZOの収益力は低下したのだろうか。

ZOZO、第3四半期単独での営業利益は42.0%減

ZOZOの第3四半期単独の営業利益は前年同期比42.0%減となり、四半期単独ベースで2桁増が続いていた商品取扱高の伸び率も0.3%増にまで下がった。

しかし、第3四半期までの連結業績(2019年4~12月)は決して悪すぎる数字とは言えない。純利益は前年同期比で10.9%減の121億7,200万円となったが、売上高は同2.4%増の918億8,700万円と伸びている。

2020年3月期の通期の連結業績予想は、売上高が前期比14.9%増の1,360億円、純利益が同40.8%増の225億円。この数字は下方修正されず、据え置きされている。しかし第3四半期の不調から、今期の業績を心配する株主も少なくないようだ。

株価が大幅下落、時価総額はピークの1兆5,000万円から一時5,000億円を割り込む

ZOZOの第3四半期決算の発表は、2020年1月31日の金曜日だった。その発表内容を受け、週明けの2月3日の株価は大きく下落。1月31日の終値は1株1,823円だったが2月3日の終値は1,582円、1日で241円安となった。

時価総額のピークは、2018年7月の1兆5,000万円台。それが、一時的ではあるが5,000億円を割り込んだのだ。その後株価は決算発表前の水準まで戻ったが、今回の大幅下落はZOZO株の今後に一抹の不安を与えるものとなった。

「営業利益42.0%減」という数字は、四半期単独のものだ。これが一時的なものであれば、ZOZOに対する過度な不安を持つ必要はないだろう。

主な減益要因は、暖冬となったことで冬物が売れなかったことや、増税の影響が出たことだ。そのほか、ゴルフツアーなどのプロモーション費用がかさんだことなどが挙げられる。しかし、これらは本業の収益力が落ちていることを示しているわけではない。  

今後の戦略はPayPayモールへの出店、MSP事業の展開などで自信

前述した減益を受け、決算発表では具体的にどのような現状分析がされ、今後の方針が語られたのだろうか。

決算資料を読み解いていくと、2019年12月にヤフーが運営する「PayPayモール」にZOZOTOWNを出店し、新たな顧客層の拡大に努めていることがわかる。また同月に中国版ZOZOTOWNの提供を開始したことも、同社の今後の事業を予測していく上でのポイントになるだろう。

ZOZOは昨年4月、MSP(マルチサイズプラットフォーム)事業について発表した。身長と体重を選択するだけで、理想のサイズが見つかるというサービスだ。すでに受注予約を開始し、出荷も始まっているという。MSP事業については、伊藤正裕取締役兼COO(最高執行責任者)が記者とのやり取りの中で「来年度に向けての勝ちパターンも見えてきておりますので、さらにブラッシュアップしてまいります」と強気の発言をしている。

新社長・澤田氏の今後の舵取りに注目

2019年9月、ZOZOの社長が創業者の前澤友作氏から現在の澤田氏に変わった。短期間で確固たる地位を築いた創業者からのバトンタッチであり、澤田氏が今後どのような戦略を取っていくのか、多くの株主が注目している。ZOZOが第3四半期の減益をどのように回復させるのか、目が離せない。
 

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
 

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