米アップルが、過去最高益を叩き出した。純利益は四半期ベースで222億ドルまで伸び、売上高も過去最高。アップルが絶好調な理由はどこにあるのか。決算資料から読み解いていこう。

「アップル」の四半期純利益が過去最高の222億ドルに

アップルは、1月下旬に2020年度第1四半期(2019年10~12月)の業績を発表した。売上高は前年同期の843億1,000万ドル(約9兆2,500億円)から9%増え、918億1,900万ドル(約10兆円)となった。日本円にすると、ついに10兆円の大台に乗ったことになる。

売上高を「プロダクト」セグメントと「サービス」セグメントに分けて見てみよう。

プロダクトセグメントは、734億3,500万ドル(約8兆1,000億円)から791億400万ドル(8兆7,000億円)に増加。サービスセグメントは108億7,500万ドル(約1兆2,000億円)から127億1,500万ドル(約1兆4,000億円)に増えた。伸び率は、それぞれ前年同期比で7%増、9%増であり、サービス部門のほうが伸び率が大きかった。

純利益も、2019年度第1四半期の199億6,500万ドル(約2兆2,000億円)から11%増えて222億3,600万ドル(約2兆4,000億円)になった。1株当たりの利益は19%増の4.99ドルで、こちらも過去最高を記録している。

クックCEOが挙げた「2つの要因」 さらなる成長を見込む?

アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、今回の好調な決算の要因として、「iPhone 11とiPhone 11 Proモデルへの強い需要」と「サービス事業とウェアラブルの過去最高の売上」の2点を挙げている。

クックCEOによれば、2020年度第1四半期におけるアップル社デバイスの実稼働数は15億台を突破したという。「お客様の満足度、こだわり、忠誠心を表す強い証」とクックCEOは自信を見せており、この数字をさらに伸ばすことに意欲を示した。  

iPhoneは7%増、アップルウォッチも好調

プロダクトセグメントの売上高をさらに詳しく見ていくと、業績寄与度が高い商品・カテゴリが見えてくる。

売上高918億1,900万ドルのうち、占有率が最も大きいのは「iPhone」の559億5,700万ドル(約6兆1,000億円)。前年同期比では約7%増加しており、iPhone 11のヒットが主な要因だ。

次に多いのが「ウエアラブル・ホーム&アクセサリー」で、127億1,500万ドル(約1兆4,000億ドル)。伸び率は実に約37%であり、アップルウォッチが顧客に広く支持されたことがわかる。

前述のサービスセグメントの伸び(9%)にも注目したい。アップルはすでに「プロダクトからサービスへのシフト」を掲げており、App Storeによるアプリ販売や動画配信サービスのApple TVなどに今後さらに注力すると思われる。

ジョブズ型からの脱却でさらなる成長なるか

今回の好調の要因は、既存商品の刷新を繰り返すことで着実に売上を伸ばしていることだ。今後注目したいのは、サービス事業へのシフトがどこまで成果を上げられるかだろう。これは、プロダクトファーストを方針とするスティーブ・ジョブズからの脱却とも言え、クックCEOの経営手腕に多くの株主が注目している。

ただし日本市場では、この四半期の売上高は前年同期の69億1,000万ドル(約7,500億円)から62億2,300万ドル(約6,800億円)まで低下している。GAFAの一角としてますます存在感を高めるアップルだが、今後日本市場ではどのような戦略を展開していくのだろうか。目が離せない。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
 

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