人生100年時代の新「パーソナルライフプラン」

2020.2.12
BUSINESS
(画像=THE21オンラインより引用)
(画像=THE21オンラインより引用)

従来のライフプランは役に立たない!

1973年、埼玉県生まれ。法政大学卒業後、大手信用金庫に勤務。ファイナンシャルプランナーとして「家計の見直し相談センター」相談員を務めた後、13年に「生活マネー相談室」を設立、これまでに延べ数千件超の家計相談に乗る。『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(プレジデント社)他著書多数。

超長寿時代を生きる磯野波平の老後とは!?

少子高齢社会を迎えた課題先進国の日本の家計には、様々な異変が起こりつつあります。

高所得者と低所得者の格差や貧困率の増加はすでに社会問題に。生活保護世帯数の増加も見逃せません。注目すべきは、生活保護の「受給開始理由」です。40年前に最も多かった理由が「傷病」だったのに対し、今は「貯蓄の減少」。つまり、貯蓄が尽きた高齢者の増加が背景にあるのです。現在、受給者の半数は高齢者であり、今後その割合はますます増えるでしょう。

会社員も安泰ではありません。給与の手取り額はこの十数年で年々減少しています。主な原因は、少子高齢化に対応するための社会保険料の増加です。現在、残った手取り額にも消費増税が追い打ちをかけようとしています。

これが、今の40代ビジネスパーソンの方々が置かれた状況です。そして未来においては、40代の方々自身が高齢者になります。そのとき、家計には何が起こるでしょうか。

ここで参考にしていただきたいのが左『磯野波平氏の老後シミュレーション』です。

波平氏が登場した昭和20年代の男性平均寿命は60歳。54歳で定年間近の波平氏はすでに老年期ですが、当時の定年および年金支給の開始年齢は55歳。数年後には大往生なので、老後資金を案じる必要はありませんでした。

対して今は、人生80年時代。定年後の人生が20年続く現状を前に老後不安が顕在化し、「現役の間に老後資金をできるだけ多く貯める」ことが必要不可欠となりました。

では、人生100年時代はどうなるでしょうか。定年が65歳もしくは70歳に伸びても、その先さらに30年。現役時代の資金だけで老後を賄うのは、明らかに不可能です。

これからは誰もが「細く長く働く」時代に

この事態に、私たちはどう対処すればよいでしょうか。家計を健全化する方法は、①収入を増やす②支出を減らす③運用で殖やす、の3つだけです。

第一に考えるべきは、①です。現役時代のストックを切り崩すのに限界がある以上、「働き続ける」ことでフローを維持することが最大の有効策。

長生きするということは、言い換えれば時間を味方にできるということです。一生働くという選択をする人が、今後は急増するでしょう。兼業や副業やワークシェアリングの他、個人事業に携わる人も増え、家計の多様化・複雑化が進むと思われます。

定年後は貯蓄を切り崩して生活するのではなく、誰もが年齢を問わず働くことで、収入と支出のフローを一定に維持し続ける。これが未来の家計像となるでしょう。

資産運用も有効な方法ですが、その前にすべきことがあります。それは、家計の見直しです。

本来、運用や投資は余裕資金で行なうべきもの。今必要な生活資金を充ててまですべきではありません。運用に乗り出す前にまず、「支出を見直す」というプロセスを入れるのが正しい順番です。

例えば、「月1万円」を年利2%の福利で30年間運用すると、494万円になります。

積み立てなければ360万円だったはずが134万円も増えるからお得、と感じるでしょうが、実は「月々の支出を1万3723円カット×30年」という方法でも、同じ金額が貯まります。リスクをとっている割に、貯蓄とあまり大差がないのですね。

ですからまずは、支出を見直すべき。それを怠って月々数千円を無駄遣いしていたら、せっかく運用で増やしてもプラスマイナスゼロになります。

「一生涯費目」に注目して月2万円の支出減を!

これからの10~15年間は、個々の家計が「フロー型」へとシフトする過渡期になります。この移行は金融機関や企業にも多大な影響を及ぼし、日本経済の仕組みが根底から変わる可能性もあります。

その大転換期において、従来の「ライフプラン」の立て方はもはや通用しません。20年後、30年後のライフイベントを細かく洗い出して「教育・住宅・老後」の3大資金を作る方法は、意味をなさなくなるでしょう。

教育費に関しては、教育の無償化が進展する可能性が高まる中、親の金銭的な責任は今ほど重いものではなくなると思われます。また、住宅資金も空き家問題がこれだけ大きくなっているのですから、賃貸の市場は伸びるはず。

そうすれば、持ち家にこだわる必要がなくなります。老後は、「現役/定年後」という枠組みがなくなることで、老後資金を貯める必要は低減します。

つまり「大きく貯めて備える」のではなく、「日々のお金の流れを健全化する」、つまり収支バランスの調整こそが最優先事項になるでしょう。

それを踏まえた新時代のライフプランとはどのようなものでしょうか。収入においても支出においても、キーワードは「満足度」です。

長く働いて収入を得るなら、「やりたいこと」でなくては続きません。ですから、自分が本来何をしたいのかを見極める視点が必要です。

自分のキャリアを振り返り、何に一番やりがいを感じてきたか、などの「棚卸し」をすることが「いつまでも働ける人」になる準備になります。

支出も同じく「満足度の高い使い道」の割合を増やすことが最優先です。モノのあふれる社会では、つい不要なものを買い込みがち。本当に欲しいものだけを選ぶ力を鍛えましょう。

着目ポイントは「一生涯費目」。固定費・変動費という従来の分け方ではなく、食費・住居費・被服費・通信費・趣味にかけるお金など、一生涯使い続ける費目をチェックし、自分に必要のない支出を極力減らしましょう。

人生が長くなればなるほど、この効果は増します。月2万円のカットも、40年続けば1千万円近くになります。

こうして働き方・使い方を日々整えていきましょう。それが、長い人生において安心と満足を得る秘訣なのです。

取材構成 林 加愛

八ツ井 慶子(やつい・けいこ)
ファイナンシャルプランナー
1973年、埼玉県生まれ。法政大学卒業後、大手信用金庫に勤務。ファイナンシャルプランナーとして「家計の見直し相談センター」相談員を務めた後、13年に「生活マネー相談室」を設立、これまでに延べ数千件超の家計相談に乗る。『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(プレジデント社)他著書多数。(『THE21オンライン』2019年11月15日 公開)

提供元・THE21オンライン

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