「ワークマン」の株価は今後も上昇するのか?3年で株価5倍の快進撃企業の秘密

2020.1.23
BUSINESS
(写真=Fotos593/Shutterstock.com)
(写真=Fotos593/Shutterstock.com)
ワークマンの快進撃が止まらない。2020年3月期第二四半期のチェーン全店売上高は553億3,800万円と、前年同期比+32.2%という驚異的な成長を記録。作業着ブランドとして定着してきた同社の近年の成長には、何が隠されているのだろうか。

ワークマンの成長過程と歴史 売上高は3倍、営業利益は5倍に!

ワークマンの近年の成長は「ポスト・ユニクロ」ともてはやされるほど、各所で話題になっている。売上高は過去20年で約3倍、営業利益は約5倍になった。まさに話題沸騰のワークマンだが、同社のここまでの歴史はどのようなものだったのだろうか。

ワークマンの歴史 群馬県発祥の上場企業、90%以上がフランチャイズ

ワークマンの設立は1982年。群馬県伊勢崎市に本社を置き、作業服および作業用品の専門小売業としてスタートした。その後、関東を中心に次々と新店舗を構え、設立10年を待たずして東北に進出。その後も、北陸、近畿、中国、四国と勢いよく店舗を増やし、2004年にジャスダック証券取引所に上場した。

上場後も勢いは止まらず、東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い現東京証券取引所JASDAQに上場。2013年には全国700店舗を超える規模にまで成長している。2018年からは新業態となる「WORKMAN Plus」の出店を開始。現在の店舗数は848店舗 (2020年3月期第二四半期時点) にまで至る。

ワークマンはフランチャイズ経営を中心とした新規店舗開拓を行っており、現在ワークマン全店舗の実に93.8%がフランチャイズ店だ。

<ワークマンの年表>
2018年 新業態「WORKMAN Plus」出店
2017年 800店舗達成
2013年 オンラインストア開始
東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、
東京証券取引所JASDAQに上場
2004年 12月ジャスダック証券取引所に上場
2002年 500店舗達成
1997年 日本証券業協会に株式を店頭登録(現JASDAQ)
300店舗達成
1991年 ワークマン東京本部ビル完成(東京都台東区)と同時に東京本部を移転
1988年 東京都台東区にワークマン東京本部を開設
100店舗達成
1986年 群馬県伊勢崎市柴町に本部を移転
1982年 株式会社ワークマン設立
流通センターを群馬県高崎市に開設
※ワークマン公式サイトを元に筆者作成

ワークマンの売上高は?9年連続で成長

店舗展開だけでなく、業績も圧巻だ。以下はワークマンの1997年から2019年の売上高・営業利益の推移である。

<ワークマンの1997年3月期~2019年3月期の売上高・営業利益推移>
※ワークマン公式サイトを元に筆者作成

2011年以降、現在に至るまで9年連続で売上高、営業利益ともに対前年比を下回ったことが一度もない。中でも特に2018年以降の伸びが目立っている。

ワークマンの業績が好調なのは、営業利益率が高いことにも起因している。2020年3月期第二四半期の営業利益率は20.6%と、ユニクロの国内事業の16.5%(2020年2月期第1四半期)を上回る。実にユニクロよりも高い営業利益率を誇る経営に成功しているわけだ。

ワークマンの株価の推移 2年で約5倍へ

2019年3月期の営業総収入は669億6,900万円と、前年比19.3%の急成長。追随して株価もここ2年で5倍以上に急伸している。以下はワークマンの2017年1月から2019年12月の株価の推移だ。

<ワークマンの2017年1月~2019年12月の株価推移>
※公式サイトを元に筆者作成

小売業界、特にアパレル業界では閉店や業績不振が相次ぐ中、まさに「独走状態」の経営を実現している。

急成長を成し遂げた3つの理由 PB商品、インフルエンサー活用、データ経営

そのような近年のワークマンの快進撃の理由は何なのだろうか。そこには同社の経営戦略上の3つの理由があったと考えられる。

急成長の理由1,PB(プライベートブランド)を主力としたヒット商品の開発

まず掲げられるのは、「PB(プライベートブランド)を主力としたヒット商品の開発」だ。2018年、ワークマンは新たに「高機能・低価格」をコンセプトとした「WORKMAN Plus」を新規に出店した。

従来のワークマンが作業着、安全靴、防水着などの作業者向けを中心としていたのに対し、「WORKMAN Plus」はアウトドア、スポーツ、レインウエアなどに注力。タウンユースや女性向けなどにターゲット層の拡大を図った。現在、ワークマン全848店舗のうち、「WORKMAN Plus」は69店舗。今期に入ってからの新規出店11店舗は全て「WORKMAN Plus」という注力の仕方。

中でもPB(プライベートブランド)製品の開発に注力しており、主力3ブランドは以下の3つだ。
  • アウトドア向けアイテム「FieldCore」
  • スポーツウエア「Find-Out」
  • レインウエア「AEGIS」
これらのブランドを中心に全947アイテムのPBを展開。その売上高は242億円と、前年同期比68%増という驚異的な実績を誇っている。

PBといえば、「ヒートテック」など数々のヒットPB商品を打ち出してきた国内リテールの巨頭ユニクロを思い出す人もいるかもしれない。PB製品には「自社ユーザーの生の声を取り入れた商品を、高品質な開発と低価格で販売できる」という強みがある。小売業界の勝ちパターンである「PB商品開発」への注力を、ワークマンも積極的に取り入れた形だ。

急成長の理由2,インフルエンサーマーケティングの導入

また、「斬新かつ最先端のマーケティング手法」も見逃すことはできない。2019年秋冬新製品発表会では、「過酷ファッションショー」と称して、自社の強みである高機能ウエアの性能をアピール。マスコミ59社、インフルエンサー60名が来場するなど、人気を博した。

そのほかにも、従来の広告手法にとどまらず、メディア・ブロガーなどを対象とした製品発表会などを実施。著名インフルエンサーとのコラボ商品企画を実施するなど、小売業界の中でもホームセンター・作業着系では珍しく「インフルエンサーマーケティング」の手法を取り入れた。

ツイッターやインスタグラムの自社アカウントも開設し、ユーザーと積極的なコミュニケーションを図るなどして若年層、特に女性ユーザーへのリーチに成功しているといえよう。

急成長の理由3,データに基づいた高精度な需要予測の実現

そして、ワークマンの急成長経営を影で支える最も重要な戦略の一つは「データ経営」にあるだろう。実は、小売業界の経営を左右する最も重要な指標の一つが「需要予測」にある。

アパレルメーカーでは商品発売の数ヵ月前、場合によっては1年も前から商品企画を開始し、製造に当たっている。このような生産体制であると足元の需要動向と生産現場の計画とに差異が生じやすい。需要予測が実際の売れ行きと大幅に異なると、大量の在庫を抱えることになる。いかに売れる商品を見極め、いかに正確な需要予測を計画するかというのが大事になってくるわけだ。

ワークマンでは、この業界全体の経営課題ともいうべき問題にいち早く着目し、需要予測発注システムを全国369店舗で導入した。このシステムでは、店舗ごとの顧客販売データや在庫データを基に、トレンドや売れ行き、在庫予測などを高い精度で分析することができる。データに裏付けされた的確な商品開発と最適な生産計画、物流コントロールを実現することで、徹底的なコスト削減を行った。

さらに、新商品発売の初年度には約10万点の商品をテスト販売した上で売れ行きなどを測定し、生産計画に反映させているという。こうした徹底的な需要予測への投資は、ユニクロを始めとする国内衣料品リテールを見てもワークマンの他に類を見ない。

今後の成長のカギは「新規出店戦略」か?

今後もワークマンは、「WORKMAN Plus」を主力としてPB商品開発の強化やマーケティングへの注力、そして積極的な店舗戦略をとる構えだ。2020年3月期の計画では、50店舗の新規出店、既存119店舗の改装を行うという。

またECサービスの拡大の一環として、web上で商品を購入し店舗で受け取るサービス「C&C (クリック&コレクト)」の構想を打ち出し、2020年3月にもローンチする予定。「C&C」のメリットは消費者の送料負担がない点や、自分の好きな時間に商品の受け取りができる点、商品をその場で確認し返品することも可能な点などが挙げられる。

現在、ワークマンの店舗は都心部にはほぼ一つもないが、「C&C」の実現のためには都市型店舗は欠かせない。なぜならば都心部では坪単価が高く、フランチャイズではオーナーの家賃負担が増加してしまうからだ。土地の高価な都心部において大規模な店舗経営を行うためには、フランチャイズに頼らない直営店での出店を考える必要も出てくるだろう。

ワークマンはブームにとどまらず成長できるのか

今期の業績進捗について、代表取締役社長の小濱英之氏は「順調に推移しています」と淡々と語る一方で、「全社一丸となって、9期連続の過去最高益達成を目指して参ります」と力強いメッセージを残している。ワークマンが今後都心部への店舗展開を成功できれば、同社の成長はさらに期待できそうだ。

文・森 琢麻(M&Aコンサルタント)
 

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