マツダの最新決算では「売上高」「営業利益」「経常利益」が三拍子そろって前年同期比で減少となった。2020年3月期の通期業績の見通しも下方修正し、投資家からも厳しい目が向けられる。何がマツダの業績を悪化させているのか。決算資料を深読みしていこう。

2020年3月期の上期決算の数字は売上高も利益も減少

マツダの2020年3月期の上期(2019年4~9月)決算によると、売上高は前年同期比1.3%減の1兆7,065億7,400万円、営業利益は同13.5%減の258億1,100万円、経常利益は同36.4%減の340億2,100万円とそれぞれ減少しており、第2四半期の純利益も同30.3%減の166億1,700万円まで落ち込んでいる。

こうした結果を受け、通期の連結業績予想における売上高・営業利益・経常利益のほか、純利益も下方修正するに至っている。

具体的には、売上高は前回発表時点から2,000億円減となる3兆5,000億円(前期実績3兆5,641億7,200万円)、営業利益は500億円減となる600億円(同823億700万円)、経常利益は550億円減となる700億円(同1,160億8,200万円)とし、通期の純利益も370億円減となる430億円(同631億5,500万円)という見通しに下方修正した。

グローバル販売台数が減少、為替の影響も大きく

売上高減少の要因は、グローバル販売台数が振るわなかったことだ。特に二桁減となった中国における落ち込みは痛手だ。ASEAN(東南アジア諸国連合)市場でも好調な成果を残すことができなかった。

決算資料によると、グローバル販売台数は前年同期比8.2%減の73万1,000台。国・地域別でみると、日本が前年同期比4.4%減の9万8,000台、北米が同8.9%減の20万2,000台、欧州が同1.0%増の13万6,000台、中国が同18.0%減の10万9,000台となっている。

ただ、今決算における営業利益の約40億円の減少に関しては、為替の影響が大きかったことを留意しておきたい。

営業利益の増減要因に目をやると、販売費用の抑制や単価改善などの効果によって約300億円の増益要因を確保したものの、為替の影響による375億円の減益要因が生まれている。誤解を恐れず言えば、為替次第で今回のマツダの決算における営業利益の数字は大きく変わっただろう。

CASE対応に注力、技術開発や実証に積極姿勢

ただ為替のせいだけにもしていられない。いま自動車業界では「CASE」(コネクテッド/自動運転/シェアリング/電動化)時代への対応が求められている。そのため、どの企業も研究開発費を捻出する必要に迫られていると言える。レートの変動に負けない強い経営基盤を作らなければ、こうした対応も後手になりかねない。

現に決算発表会における今後の取り組みに関する説明でも「CASE時代を乗り切る」という言葉が使われており、いまのところ順調に推移している技術開発や商品化計画を継続していく意欲が語られた。自動運転に関して言えば、今年マツダは自動車工業会が実施する自動運転の大規模実証に参加する予定だ。

シェアリング事業への参画も検討し、地方での乗り合いサービスの実証実験にもすでに取り組んでいる。また、東京モーターショー2019で発表した新型EV(電気自動車)にも注目が集まっているようだ。

グローバルでの業績の向上には期待感も

マツダの利益はここ数年縮小傾向にあるものの、グローバル販売台数や売上高は中期的な右肩上がりを実現している。世界規模でのブランド力は確実に向上していると言え、今期の通期決算ではそれほど飛躍できなかったが、CASE対応のいかんによってはさらに業績を向上させることは十分に期待できる。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
 

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