デルタが成田から撤退 空の玄関をめぐり進むすみ分け

2019.11.7
BUSINESS
(画像=Khun Ta / Shutterstock.com)
(画像=Khun Ta / Shutterstock.com)
アメリカのデルタ航空が成田空港から撤退し、2020年から日米路線を羽田空港に集約する方針を明らかにしました。デルタは羽田と米空港との間で7路線を確保し、米系航空会社としては最も多くの路線を持つことになります。

東京の都市競争力の課題となっている国際的な空港アクセスの改善も含めて、羽田空港と成田空港との間で、すみ分けを考える時期が来ているのかもしれません。

デルタ航空は、羽田への路線集約によって、世界で最も重要な市場の一つである東京において、競争力のある包括的なアクセスを提供できるようになるとしています。都心に素早く移動できるようになることは、顧客にとってプラスになるとの考えです。

一方で、デルタ航空は成田―シンガポールと成田―マニラの2路線を廃止すると決めました。これに伴い、新たに仁川―マニラを結ぶ路線を2020年3月に開設します。

首都圏の「空の玄関は」羽田と成田

首都圏の「空の玄関」といえば、羽田空港と成田空港です。羽田は年間の利用者数が約8,700万人と世界でも有数の空港で、都心にも近く、24時間稼働しています。一方、成田は都心へのアクセスには多少時間がかかりますが、格安航空会社(LCC)の乗り入れも多く、貨物の取扱量でも国内トップクラスです。

羽田が戦後、米国から返還されたのが1952年。日本人による海外渡航が自由化された1964年に浜松町と羽田を結ぶモノレールが開通しました。同年には東京五輪も開催されて日本は高度成長の時代を突き進みます。日本が経済発展を遂げるなかで航空需要も増加。これを受けて1978年に成田空港が開港します。

首都圏にある羽田と成田の関係でいくと、羽田を国内線、成田を国際線の基幹空港として運用するという「内際分離」と呼ぶ原則がありました。羽田では順調に滑走路の整備が進み、国内線旅客数で1998年に年間5,000万人、2002年には年間6,000万人を達成します。

一方、成田は2002年に2本目の滑走路が暫定ながら供用開始。2004年に年間の利用者数が3,000万人を突破し、2008年には海外の格安航空会社(LCC)が就航します。そして、2009年に2本目の滑走路が2,500メートルに延伸されて、本格的に利用できるようになりました。

羽田の再国際化で利用客の「取り合い」も

しかし、沖合へ展開が進んだ羽田で2010年に4本目の滑走路が完成。増便に対応できるようになったことで羽田に国際定期便が再就航しました。都心を夜に出て、深夜に出発する便でビジネスに向かったり、観光を楽しめるように。このことで羽田と成田が利用客を取り合う構図ができてしまったのです。

羽田は2014年、国際線ターミナルを拡張し、国際線の発着枠が年間3万回増加したことで、それまでのアジア近距離路線に加えて、欧州や北米、東南アジアを結ぶ路線が拡充されました。一方の成田はLCC専用の第3ターミナルを開設したり、午後11時から翌午前6時とされてきたカーフュー(離着陸制限時間)の緩和を進めたりなど力を蓄えてきました。

利用客数でみると、羽田空港の2018年の乗降客数は約8,700万人と過去最多を記録しました。約8,700万人の内訳は、国内線が約6,900万人、国際線は約1,800万人となっています。一方、成田空港の2018年の利用者数は前年比5%増の約4,260万人。5年連続で開港以来の最高値を更新しました。国際線の旅客数は約3,535万人となり、初めて3,500万人を突破しました。

国際的な競争力ではアジアのライバルに遅れも

しかし、国際的な競争力という点では、羽田も成田も他国のライバル空港に後れを取っているのが現状です。例えば、航空情報企業のOAGが世界各地の主要な空港を対象にして、乗り入れる定期便のうち乗り継ぎができる国際線の割合を比較した「メガハブ国際指数」で、アジアで最も良い評価を得たのはシンガポールのチャンギ空港でした。しかし、それでも、全体の順位では8番目。東アジアで最上位だったのは香港国際空港の13位。デルタが成田からの撤退を機にマニラ便を開設する仁川も15位。羽田空港は21位に過ぎませんでした。

アジアの主要空港との競争が激しくなる中、羽田も新ルートの採用により、2020年から昼間の発着を年間3.9万回増やすなどの取り組みを進めています。しかし、羽田単独での対応には限界もあるでしょう。

「首都圏空港」の機能強化として、羽田と成田のすみ分けも検討されるべきかもしれません。都心からのアクセスが良く、24時間稼働している羽田は、ビジネス需要の取り込みや乗り継ぎの利便性をアピールします。一方の成田は、LCCや貨物便へのニーズに対応するといったような役割分担が考えられるかもしれません。

日本政府は2020年に訪日外国人旅行客を4,000万人呼び込むことを目指しています。そのためには、首都圏の空の玄関である羽田と成田の成長も欠かせないといえるでしょう。

文・J PRIME編集部/提供元・J PRIME

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