部下のモチベーションが3倍上がる声かけのコツ

2019.10.6
BUSINESS
(写真=Flamingo Images/Shutterstock.com)
(写真=Flamingo Images/Shutterstock.com)
(本記事は、平賀 充記氏の著書『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』=アスコム出版、2019年6月3日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

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(4)部下のモチベーションが3倍上がる声かけのコツ(本記事)

3rdSTEPやる気を引き出すコミュニケーション

最後のステップは、ズバリ若者の動機づけです。

正直、若者にやる気を出してもらえるなら苦労はないというか、これまでのステップも全てそのためのものといえるのですが、あえてここでは「職場に居場所を感じてもらうこと」と「仕事に対するやる気を出してもらうこと」を区別しています。なぜなら、居心地はいいけど仕事はつまらないという若者もいますし、モチベーションを高めるコミュニケーションは、よりテクニカルで難しいものだからです。

そもそもの話から始めると、モチベーションの源泉がオトナ世代と若者とでは結構違います。具体的に言うと外発的動機と内発的動機の違いです。

ここまでも何度か述べてきましたが、オトナは外発的動機である程度はモチベーションを保つことができました。職場で目標が設定されて、リーダーの管理のもとで、「仕事だからやるしかない」といって働く構図です。その代わり、愚直に指示に従って目標を達成すれば、それ相応の見返りがありました。それが終身雇用であり、出世であり、賃上げであり、ボーナスであり退職金です。結局、外発的動機が「これも将来のためだ」という内発的動機に転換されていたわけです。

ところが若者はそれだけではモチベートされません。終身雇用や出世といった見返りを期待していないし、求めてもいないからです。そんな彼らに上意下達で目標を与えてガチガチに管理しても、その先に喜びがないので「やらされ感」しかありません。

ではどうすれば若者をやる気にさせられるのでしょうか。内発的動機づけの条件を簡単に整理すると、次のようになります。

「目標を与える」のではなく「目的を共有」して、自分が役に立っていることを感じながら、やりたいことをリーダーがフォローしてやらせてくれること。

「そんな仕事あるか!」という怒りは一度胸に納めてください。彼らにとって仕事は「やれば報われるもの」ではなくなっているので、オトナとは違った感覚があって当然なのです。

そして、チームの作り方もやる気を引き出すのに大きく影響します。ヨコ社会で「プロジェクト型」のつながりに慣れた若者は、「役割分担できる上司」を求めています。

あるアパレルブランドの女性マネージャー(38歳)は、こんなことを言っていました。

「私の成功体験を見せるだけだと、皆が同じようにできるわけではないので、最初はうまくいきませんでした。そこで全員の強みと弱みを洗い出してみたら、お互いの強みがバラバラで、役割分担してフォローし合うチームという形ができました。そうするとみんなが自分の貢献を実感できるようになったし、アウトプットにもつながりました」

本来、組織での仕事というのは、このような役割分担が理想的。ところが、つい自分の成功体験をベースに役割分担してしまう。「なんで自分が若い頃にやってたことが部下にはできないんだ」と悩むリーダーもいますが、若者は自分の能力や特性をチームに活かしたいのであって、上司の縮小コピーになりたいわけではありません。働きかけるポイントがずれているのです。

私が若者にインタビューしたとき、言われたら燃える一言として「他のやつには頼めない。君にやってほしい」「まずは好きなようにやってみろよ」「俺がフォローするから安心しろ」に票が集まりました。若者は安心して頑張れるチームを強く望んでいます。一度上下関係を忘れて、フラットなチームのプロジェクトとして捉え直してみると、仕事も楽になり、若者もモチベーション高く働けるようになるかもしれません。
 

「8割テンプレ・2割余白」で考えさせる

若者は基本的に、仕事は任されるほうがやりがいがあると考えています。しかしオトナにとってわかりにくいのは、「すぐに答えをほしがる」ことと「単純作業はやりたくない」という二面性を感じるところでしょう。任されたいのか指示してほしいのか、どっちなんだ? という声をよく耳にします。

結論から言うと、両方必要です。ただし「10割言われた通りにしろ」はNG。感覚的には「8割テンプレ・2割余白」あたりがベストです。

どういうことかというと、まず型を教えてあげることはマストです。書類のテンプレや雛形のようなことですね。そして、それを完全流用すれば間違いはないし、ちょっと自分なりに工夫しても大外れにはならないよ、と示しておきます。そこが2割の余白です。若者は無駄なやり直しが大嫌いなので、答えを示しつつ工夫する余地も与えるというフォローが必要になります。

SNS村社会での若者には「守破離」の感覚が備わっていると言われます。例えばあるコミュニティに属すとき、最初は「型」にはまろうとするそうです。例えば、自撮りが流行だとすれば、自分も自撮りでアップします。これが守破離の守。そしていったん型にはまってから、ちょっとだけ独自の使い方を開発します。これが守破離の破。それが広まってブームになると、自分がコミュニティを立上げる。これが守破離の離。

要するに、彼らがほしがっている答えというのは、ベースの「型」なのです。言う通りにしろと命令されたいわけではありません。難しく考える前に「8割テンプレ」は提供してしまいましょう。2割の余白が、若者にとっては貴重なアイデンティティの発露。どう使って型を破るかは若者次第です。さらにそこからイノベーションが生まれたら、それはまさに離の境地。オトナにとっても儲けものです。

若者はお客様のためなら頑張れる

若者は「利他の精神」をナチュラルに持っています。SNSで多様な価値観や働き方を目にしてきた彼らにとって、仕事は単なる食い扶持ではなく、何かのために役立つべきことになっています。それが結局、世の中に必要とされている自分として跳ね返ってきて、社会欲求や承認欲求を満たすことになるわけです。とにかく稼げる仕事よりも、社会の役に立つ「ソーシャルグッド」。これがモチベーションになります。

営業職に就いている若者を見ていると、この感覚がよくわかります。ちょっと次の二択を見てください。

(1)150万円の広告枠を、200万円の枠にスペックアップして提案して、費用対効果を最大化できるよう努力する。
(2)150万円の広告枠があっても、相応の効果が出せるかわからないので125万円に値引きする。

あなたは、どちらがビジネスとして正しい姿勢だと思うでしょうか? 

若者は2を選ぶ傾向が強いように思います。そのほうが相手に対して誠実だし、値引きして喜んでくれたらそれが満足なのです。

そんな彼らに「とにかく200万のスペックで提案を考え直せ」と言うと、「なんで無理やり高いものを売りつけないといけないのだ」と反発を招きます。そんなときには「お客様にフォーカス」してコミュニケーションをとりましょう。お客様が望んでいることを実現するために、150万円の枠で十分なのか、不足なのか。頭ごなしの200万ではなく。意味を語る。そこではじめて、会社の論理ではなく顧客目線の論理なんだと、彼らは納得し、やる気を出してくれるのです。

「フィードバック」はわかりやすく

ある人材コンサル系の営業課長(男性・38歳)のエピソードを紹介します。

彼は、「お客様からのメールは30分以内に返信すること」と職場の若者に指導していたのですが、それが実行されないことに悩んでいました。お客様視点に立って、その重要性を説いていたのにです。なんとなく職場には腹落ちしてない空気も漂っていました。

あるとき、彼は課会で『サザエさん』に登場する「三河屋のサブちゃん」を引き合いに出して語りました。サブちゃんは磯野家の家族構成はもちろん、波平さんやマスオさんのお酒の好みや、カツオくんやワカメちゃんの運動会の日程までしっかりと把握しています。なのでそのときにあった適切な商品を選ぶこともできます。しかも「そろそろお醤油が切れる頃ではないですか?」と、商品が品切れするタイミングまで熟知しており、お客様がそろそろほしいと思う絶妙なタイミングで声掛けします。めちゃめちゃ気が利く御用聞きです。彼は、「みんな、サブちゃんみたいに気が利く営業マンになりたくないか?」と問いかけたのです。

これで、彼の部下の目の色が変わったとのこと。その後はメールの遅延もなくなりました。また若者がちょっとでもいい動きをすると「サブッてるね」とすかさず褒め、今ではメンバーの「サブッてるポイント」をカウントし、壁に張り出しています。

先ほど、お客様のためなら頑張れるソーシャルグッドな若者に、意味から語ろうと提案しました。彼の事例は、その上級編といえます。彼は「サブちゃん」を使って仕事の意味やビジョンをうまく共有し、若者のやる気を引き出しました。それだけでなく、その方針を可視化してフィードバックしています。

若者の日々の仕事ぶりへのレスポンスは極めて重要。ちゃんとフィードバックしてあげることは、彼らのモチベーションに大きく影響しますし、成長にも寄与します。

「ダメなら辞められても仕方ない」という線を引こう

最後の最後に爆弾発言。

「ダメなら辞められても仕方ない」という開き直りも持っておきましょう。「え? じゃあ、ここまでのコミュニケーションメソッドって何だったの?」と、椅子から転げ落ちそうになった方もいるかもしれません。しかし、この開き直りは「オトナの御守り」です。なんでもかんでも若者の感覚に合わせればいいというのは間違いですし、意図するところでもありません。オトナがある程度SNS村社会の思考を理解して歩み寄っていくことは必要なことですが、それは若者の言いなりになることとは違います。いくら「テンプレがほしい」と言われても、「ここで与えてはいけない」とあなたが思うのであれば、与えるべきではないのです。

結局、それで若者が突然辞めるとしたら元も子もないと思うかもしれませんが、「ここまで歩み寄ってダメなら辞めてもらっても構わない」という線引きが必要だと思います。当たり前ですが、若者を辞めさせないために働いているわけではないのですから。

マネジメント層の人たちからよく聞くのは「辞めてほしくないやつほど急に辞める」という話です。裏を返せば、「辞めても構わないやつほど残る」。つまり、ぶら下がり社員も多いということに他なりません。

オトナは、可能な限り若者をケアし、育てていく責務を負っています。ここは前提として間違えてはいけないところです。ただし、やるべきことをやったうえで、なお若者が「辞める」と言うならば、それをいつまでも気に病んでいても仕方がありません。そういう気持ちの切り替えが、オトナにとっては大切なのではないでしょうか。
 
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平賀充記
ツナグ働き方研究所所長。株式会社ツナググループ・ホールディングスエグゼクティブ・フェロー。1963年長崎県生まれ。同志社大学卒業。1988年、株式会社リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。人事部門で新卒採用を担当後、リクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を務め、2009年にダイバーシティ転職サイト「はたらいく」を立上げ。2012年、リクルート分社化で株式会社リクルートジョブズ、メディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年に同社を退職、株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。
 

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