オイシックスCXOが貫き続けた「お客様のために」——オイシックス・ラ・大地 CXO 白石夏輝

2019.9.9
BUSINESS
(画像=ONEPAIR)
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白石 夏輝
オイシックス・ラ・大地株式会社 CXO 兼 Oisix EC事業本部 副本部長
マーケター

有機野菜など安全性に配慮した食品の宅配サービスを行なうオイシックス・ラ・大地株式会社で、 初のCXO(カスタマーエクスペリエンスオフィサー)として、オイシックスの顧客サービス全般を統括する白石夏輝氏。

大学時代にインターンとしてオイシックスで1年3ヵ月働いた後に入社。たったの4年でCXOに就任しました。 まさにエースの名にふさわしい活躍の裏には、「お客様のために」という白石氏が貫き続けてきた信念があります。 数値目標のためだけの施策ではなく、真にお客様のことを考えて取り組み続けてきた白石氏の、 原体験からCXOまでの道のり、そして現在にいたるまでのお話を伺いました。

たまたま自分は日本に生まれただけ。それならビジネスで困っている人たちを助けたい

—— ある媒体で「本当はやりたいのに、何かの理由で諦めてしまうことをなくしていきたい」と発言されていましたが、そんなふうに思うきっかけは何だったのですか。

きっかけは、高校時代に NHK のドキュメンタリー番組で、アフリカの子どもたちが路上の泥水を飲んだり、ゴミを漁ったりする貧困の様子にショックを受けたことです。そこから同じ時代に生きているのに日本に暮らす自分との、この差は何だろうと突き詰めて考えるようになりました。

たまたま生まれた場所が違うだけで、未来の可能性はこんなにも違うものなのか。自分では抗えないものによって、やりたいことを制限されたり、諦めないといけないなんて……その事実にものすごく気持ち悪さを感じました。 そんな時、ケニア・ナッツ・カンパニーの佐藤芳之さんのドキュメンタリーを見ました。彼は、ケニアの名産品であるマカダミアナッツを生産・加工し、世界中へ輸出する会社を立ち上げます。社員には現地の人を採用し、現金収入を得られる持続可能なビジネスのしくみをつくって、最終的にタダ同然で現地の人に会社を譲渡するんです。

ケニアのかなりの人がこの会社に勤めていて、みんな「佐藤は私たちのヒーローだ」と口々に言うんです。その様子を見て、すごくかっこいいと思いましたし、自分もそんなふうにビジネスで困っている人たちを助けたいと思うようになりました。

画像=ONEPAIR
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—— アフリカの貧困問題を解消する佐藤さんに憧れて、ビジネスで社会課題を解決したいとずっと思っておられたんですね。そこからオイシックスを就職先に選んだのは、どのようにつながっているのでしょうか。

オイシックスでインターンをしている時に、オイシックスのサービスはまさに社会課題を解決しているなと思ったんです。

インターンの時、先輩と 2 人で、オフラインのプロモーション事業を立ち上げることになりました。きっかけは、ある時、先輩が公園でベビーカーを押しているお母さんに、いきなり声をかけてオイシックスを紹介したら、まさかの入会してくれたんですね。そこで「この方法はいけるんじゃないか」となったことでした。

だけど、僕は根っからの人見知りで、初対面の人にいきなり話しかけるだけでも緊張するのに、入会をしてもらうとか絶対無理とこっそり思っていました。スポーツジムや TSUTAYA にいらっしゃっていて、オイシックスを欲しいとも思ってもない人たちに、声をかけるなんて……本当に嫌だなと。

ところが、いざやってみると、意外とお客様と話すのが楽しく思えたんです。さらに、そこでわかったのは本当にお客様が本当に困っているという事実でした。ある日、Oisix を使ってくれている方がブースに足を運んでくれたのですが、自分は「小さい子どもがいるから買い物が大変だったけど、Oisix のおかげで本当に助かっている」と伝えてくれました。

そのとき、「ああ、自分が関わっているサービスは、こんなに役に立っているんだな」と実感しました。僕はこれがやりたかったんだと。正直、インターンをする前は、会社のミッションに共感したとか、そういうのはまったくありませんでした(笑)。でも、その現場に実際に困っている人がいて、確実にその人たちに貢献するビジネスをやっている。それが入社の理由だったんですね。

「お客様の暮らしが豊かになっているか?」が良い顧客体験かどうかの分かれ道

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—— インターン時代にオイシックスのサービスが社会貢献していると実感して、入社を決意されました。そのように社会貢献につながるサービスをしたいと考えている白石さんにとって「良い顧客体験」とはどんなものでしょうか。

概念的にいうと「サービスを受ける前より後の方が、自分の暮らしが豊かになっている」ことが良い顧客体験だと思っています。人がサービスにお金や時間を投資するのは、今の自分にないものを求めているからであって、それが実際に叶うのが良い顧客体験だと思います。

提供する側としては、お客様が期待する部分は期待どおりに、さらに時には嬉しい驚きがあるような体験を創れるのが理想ですね。

—— なぜ、そういう定義をもつようになったのでしょうか。何かご自身の体験に関係はありますか。

僕自身がそういう視点でサービスを利用しているからだと思います。 暮らしを豊かにするサービスというのは、日々新しいものが生まれてきます。受ける側の課題も刻々と変わっていき、それに合わせて必要となるサービスも変化しています。

たとえば、僕は最近子どもが生まれたことで生活が大きく変わり、抱える課題も変化しました。これまでの家事に育児が加わり、家の中でのタスク量自体が爆発的に増えたことで、家事の省力化のために乾燥機付き洗濯機や、ダイソンのような家電を新たに購入したり、子育ての隙間時間を作ってくれるキッズチャンネルのあるアマゾンプライムビデオや Netflix なども以前よりも頻繁に利用するようになったりました。このように、私たちは日々さまざまなサービスに触れながらその都度、自分の抱える課題の解決や、今の自分にはない生活や価値を享受しています。提供側としても、そういった体験を提供していきたいと思っています。

高い壁を乗り越えられたのは、ただただ諦めずに「お客様のために」を貫いたから

—— 入社後、プロモーションチームに配属されてから、苦しかった時期はありましたか。

どんな施策を打っても成果が上がらなかった時期があります。 ちょうどプロモーションチームでマネージャーになった時だったのですが、目の前の数字の達成に意識がいき過ぎて、お客様から離れてしまいました。単発セールだとかテクニカルな手法をとれば、利用者数を一時的に増やすことは可能です。でも、長い目でみてお客様のためになっているか、と言うとそうではない。「お客様のために」ではなく「(利用者)数を増やすために」が先に立つから、どこかお客様に嘘をついているような気がしたし、一緒にやっているメンバーもハッピーではないし、「困っている人を助けたい、役に立ちたい」という僕自身の信念にも嘘をついている状態でした。

かといって自分の信念に従った「役に立つ」施策を考えても、はずしてしまって成果がでない。数字も上げられないし、マネージャーとしての責務も果たせておらずで、なんだか“もやっと”した時期がありましたね。

画像=ONEPAIR
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—— テクニカルに走れば数字は出るけれど自分の信念を曲げたような気持ちになる。かといって自分の信念に従っても数字が出ない。そんな時期をどうやって乗り越えられたんですか。

非常にシンプルですが、結果が出るまで決して諦めなかったんです。オイシックスの Web サイトをどう改善すれば、お客様は思わず買ってみたくなるだろうか、どのようなトライアルセットだと1番満足してもらえるだろうかと、チームメンバーと一緒に諦めずに考え続けました。たとえば、野菜の写真を原体から調理後の写真にした方が直感的においしそう!と思ってもらえるのでは?とか、普段は作れなかったものが作れるようなレシピを同梱しようとか。

そうしたら、少しずつ効果が出始めました。途中ずいぶん長い間、上司にはいい報告はできませんでしたが、お客様のために、と信じたことを続けていけば必ず結果はついてくるということを体験できました。これは自分にとって大きな出来事でしたね。

—— 先程のお話の中で「嘘をつく」という言葉がありました。信念と違うことをやるのは、嘘をついているという気持ちが強くなるのでしょうか。

そうですね。いざ会社に入ってみると自分の保身に走ってしまっていたんですよね。良い成果を上げて、自分がよく見られたいと思ってしまった。それをやったときに、もちろん結果も出ないし、なんだか自分に嘘をついているような虚しさが残ったんです。

それで、ふと我に返った時に「自分は何のために仕事をしているんだろう」と思ったんです。高校時代にアフリカの貧困や佐藤さんのことを知って、ビジネスで社会課題をなんとかしたいと思って、そのために大学も経営学部を目指したし、就職先も社会課題に向き合っている会社を選んだのに……。何をやっているんだろうと。

以来、誰かの笑顔のために、自分が自信を持って届けることだけをやっていこうと強く思いました。そこから意思決定や施策の優先順位がガラリと変わりました。数字を達成するためだけの施策を企画するのではなく、いま一番困っているのは誰か、その人達をどうやったらもっとハッピーにできるのか、を考えるようになりました。

いくら使ってくれる人が増えても、サービスが改善されなければ「不幸せな人」を増やしているだけ

—— プロモーションチームのマネージャーから現在の CXO になったきっかけは何だったのですか。

たくさんの方に Oisix を使っていただく中で、Oisix が期待に応えられず退会されるお客様もいます。「使いづらい」「価格が高い」「送料が高い」など、そうしたお客様の声を聞いているうちに、サービスを変えないと、いくら利用者を増やしても不幸せな人を生むだけだと思ったんです。それに、入会者数をいくら増やしても解約していく方が多くては、最終的にお客様は増えません。

だからサービスを作る側にまわりたいと上司に申し出て、チャンスをもらったんです。そのチームで、コツコツといろんな体験を改善していくうちに、時代的にも「顧客体験」の重要性が問われるようになってきて、Oisix でも全社戦略としてカスタマーエクスペリエンス(以下、CX)に本格的に取り組むことになりました。そこで CX を推進する役割が必要だとなり、僕が手を上げて CXO になったんです。

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—— CXO として、より責任は増していると思います。その中で目指している夢や理想について教えてください。

いま Oisix では、ミールキット を利用してくださる方が年々増えてきています。忙しい女性たちが、時間がなくても家族にちゃんとしたものを食べさせたい、という想いから Oisix をご利用してくださっているんです。僕も子どもができたことで、今お客様として使ってくださっている方々の毎日は本当に大変なんだなと実感しています。

特に、女性は時短勤務になって収入が減ったり、その上育児も家事も負担が寄りがちだったりで、とにかく毎日が忙しい。外食できる回数も減り毎日の献立も似たりよったり、日々の食事がどうしても作業的なつまらないものになってしまいがちです。 食べるのも作るのも好きだった方でも、忙しい時は自分の食事は「レンジでチンでいいや」となって、うっぷんが溜まってしまいます。本来、食事は楽しいものであるはずなのに……。 そんな状況にある方々に、オイシックスのサービスで「食事って楽しいよね」という感覚を取り戻してもらいたいんです。美味しいものを好きな人と一緒に食べる喜び、今まで作れなかったものが作れる楽しさとか、こんな感覚を、とにかく時間がなくて困っている人や、料理な苦手で困っている人などたくさんの方に感じてもらえるといいなと思っています。

提供元・ONEPAIR

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