孫正義が人の提案を絶対に断らない理由 常識を覆す「DCAP」とは?

2019.9.4
BUSINESS
(写真=glen photo/Shutterstock.com)
(写真=glen photo/Shutterstock.com)
(本記事は、サチン・チョードリー氏の著書『「運がいい人」になるための小さな習慣 世界の成功者が実践するたった1分のルール』=アスコム出版、2019年6月3日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

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迷ったときはすべて「YES」と答える

上司や先輩から何か課題を与えられたとき、それが難易度の高いものであったり、未知のものであったりすると、人は最初に不安をおぼえます。

だからといって、そこで「でも」や「しかし」といった逆説を口にしたところで、何も生まれません。それよりも、すべてのことについて、「まずやってみる」というスタンスを持つことが重要です。

上司や先輩から新しいプロジェクトに関する相談を受けたり、何か頼まれごとをしたりしたときは、あなたもまず、「できます」と答える習慣をつけてみてください。

ユーザーを感動させた孫正義の「やりましょう」

数年前、ソフトバンクの孫正義さんが、ツイッターのフォロワーたちから寄せられるリクエストやアイデアについて、その場で「やりましょう」と応えて話題を集めました。

フォロワーの側からすれば、日本を代表する大企業をユーザーからのリプライひとつで動かせるなんて、夢にも思っていなかったでしょう。しかし、実際に実現した事案は少なくありません。

孫さんの素晴らしいところは、これを直接的なマーケティングととらえた点にあります。あいだに代理店やコンサルタントを介することなく、エンドユーザーからダイレクトに寄せられた声なのですから、これを重視しない手はありません。

そこで、寄せられたリクエストに対して孫さんは、
  • 「やりましょう」
  • 「検討します」
  • 「できました」
という3つのレベルで回答を使い分けました。

リクエストの内容はさまざまで、スマホの筐体の下取り手続きの簡素化や、キャリアメールの機能拡張、各種プログラムへの資金支援など、多岐にわたります。

孫さんはその場で3つの回答で要望の内容を分類しただけでなく、それらについての進捗状況をインターネット上で公開しました。

自身、あるいは自社だけで対応しにくいアイデアについては、「検討します」といったんレスを返すこともありましたが、その流れを見ていると、これはあくまで「(実現の方法を)検討します」というニュアンスであることがわかります。

いまでもサイトで確認することができますが、最終的に「できました」と完了した案件は、じつに162件にも上っています(2019年4月時点)。

かつてこれほどの瞬発力と行動力を備えた経営者が日本にいたでしょうか?

これこそ、ジュガールに通ずる行動原理そのもの。スピーディーな行動が運を引き寄せるということを、トップクラスの経営者は皆、理解しているのです。

まずは「できます」と答える。方法は後から考えればいいのです。これは印僑たちと同じ、DCAPのサイクルです。

仮に結果がついてこなかったとしても、最初からやらないこととは、似ているようで大きな違いがあります。なぜなら、実際に動いてみたことで、何が足りないのか、何が障壁となるのか、具体的な情報が得られているからです。

この先、これが大きな武器に化けることがあるかもしれません。

それは間違いなく、次のステップへの糧になるでしょう。

「不可能であることがわかった」。これもひとつの前進のかたちです。

この習慣のまとめ

まず「YES」と答え方法は後で考えるそのスピード感が運を引き寄せる

大きなゴールを設定し「小さな一歩」を書き出す

「千里の道も一歩から」というように、どんな壮大な計画でも、最初は小さな一歩から始まるものです。

そう、最初はほんの一歩から。そう考えてみれば、いまの自分には不相応に思える大目標にも、立ち向かえる気になりませんか?

仕事でもプライベートでも、みなさんにはそれぞれ目標があるでしょう。まずはそれを具体的に思い浮かべてみてください。

「TOEICでスコア800点を目指したい」でも、「結婚して家庭を持ちたい」でも、どんなことでもかまいません。

大切なのは、そのためにどのような行動を起こすか、です。

英語力を高めたいのであれば、一日ひとつの単語をおぼえるという、小さな一歩からスタートしてもいいでしょう。これを確実にやり通せば、1年で365個の新しい単語をおぼえることができます。

一般的に日常会話に困らないレベルに達するには、2000語の語彙が必要とされていますが、すでに知っている単語も含めれば、これは意外と遠くない目標設定でしょう。

あるいは、結婚を望むのであれば、まずは相手となる異性と出会うために行動を起こさなければなりません。結婚相談所のホームページにアクセスしてみるのも、友人知人に「真剣に結婚を考えているんだけど、誰かいい人いない?」とメッセージを打つのも、ほんの1分でできることです。

その一歩を踏み出したとたんに物事が動き始め、「もっと早く動いていれば!」と後悔した経験が、あなたにもありませんか?

できることを可視化すれば、足りないものが見えてくる

どうしても一歩を 躊躇してしまうときに効果的なのが、できることをリストアップすることです。

たとえば、大雑把に「お金持ちになりたい」という目標を立てた場合。どのような手段でお金を稼ぐのか、自分にできる可能性をリストアップしてみましょう。
  • 趣味を生かして副業を考える
  • 特技のプログラミングで独立する
  • 3000円から積立投資を始める
このなかで、もしあなたが副業を始めると決めたのであれば、今度はそのために必要なことを書き出していくのです。

自分の趣味や特技のなかで、他人から必要とされそうなものは何か?

それをマネタイズするためにはどうすればいいか?

そのプロセスを具体的にイメージしていくと、現時点でそれを実行するために何が足りていないのか、はっきりと認識することができるでしょう。

こうして具体的に書き出していくだけでも、目標に向けて少しだけ前進した気分になるはずです。
 
そしてじつは、この書き出すという行為もまた、小さな一歩です。

目標が大きければ大きいほど、そのために膨大な準備が必要になると思われがちですが、それは大きな誤解です。目標が大きいからこそ、一刻も早く行動を始めるべき。大きな一歩よりも、小さな一歩。スタートが早ければ、それだけ目標に早く近づくことができるのです。

この習慣のまとめ

千里の道も一歩から目標が大きいほど小さくスピーディーな一歩を

ひとつに集中せず「いい話」にはすぐに飛びつく

よく聞かれるのが、「サチンさんはうまくいくビジネスとそうでないビジネスを、どう判断しているのですか?」ということです。

セミナー事業、食品事業、英語教育事業、投資事業など、多種多様なビジネスを展開していると、日常の何気ない一コマのなかに思わぬ事業の種を見つけることがあります。 

そうした種のなかから将来伸びそうなものを選んで資金を投じるのですが、正直なところ、私のなかにも明確な基準はありません。

あえて言えば、自分の判断を信じ、「すぐに飛びつく」ことでしょうか。そしてその際に、ほかに進めているプロジェクトがあっても躊躇しないことです。

思いついた瞬間に「これはいける!」と確信し、投資を決め、大きな事業の柱に育ったものが、ざっと数え上げただけでもたくさんあります。

「日本企業のインド進出を支援する国際コンサルタント業務」「インドの人脈を生かしたIT系エンジニアの派遣業」「インド国内で営んでいる飲食事業」……。

なかでも判断のスピードがものを言ったのがIT系エンジニアの派遣業です。

本書の冒頭にも書きましたが、私は来日当初、電話回線の営業をする一介のサラリーマンでした。

そこで結果を出し、次なる新天地を求めて起業したのが旅行会社。インド周辺へのツアー商品が目玉で、これが実業家としての私のスタート地点です。

そんな起業直後で慌ただしく動いていたある日、私のもとに一本の電話がかかってきました。

電話の主はヘッドハンティングを生業とするヤングエグゼクティブで、大手の人材派遣会社の幹部として私を引き抜きたいというのです。

自分の会社を起こしたばかりですから、もちろんこのお誘いは丁重にお断りすることになるのですが、私はこの人物との対話から、あるヒントを得ました。

ピンチを救った人材派遣業

彼はなぜ私を引き抜こうとしたのか。それは当時の背景として、世界中でインド人のITエンジニアが求められていたからです。

聞けば、こうした人材派遣業では、フィックスした人材が受け取る年俸の30%が仲介料になるといいます。つまり、年俸1000万円の人材をアサインできれば、仲介料は300万円。

ここで、私はピンときました。

特別な設備投資が不要で、人材を仲介するだけでこれほどの売り上げが確保できるなら、自分で人材派遣業を立ち上げるのが、最も旨味があるのではないか。

当然、私にはインド人に対する知見やネットワークがありますし、企画力や交渉力にも自信があります。うまくすれば、インド人エンジニアと日本企業の双方に利があるビジネスに育てられるかもしれません。

「これはいける!」。そう直感した私は、旅行会社を設立したばかりであるにもかかわらず、すぐにインド人ITエンジニア専門の派遣会社を設立したのです。

さっそく母国インドから人材を募り、日本の転職フェアにマッチングの場を求めて業務を開始。思惑はずばりと当たりました。

おそらくは日本初のインド人ITエンジニア専門派遣会社は、設立したその月のうちに3人の有能な人材をアサインし、年俸1000万円の3割を3人分、つまり900万円を売り上げることができたのです。

そして、そのタイミングであの、「9・11同時多発テロ」が発生しました。

これにより、旅行会社の事業は大ピンチ。主力商品である旅行先のインドは、世界で3番目にイスラム教徒の多い国なので、これも当然でしょう。

私の会社もあっという間に売り上げが激減しましたが、幸いにして派遣事業で多額の利益が出ていたため、このピンチを乗り越えることができました。

もし、人材派遣のビジネスを思いついたときに、「まずは旅行事業を軌道に乗せてから準備をしよう」などと悠長に構えていたなら、テロと同時に私の会社は消し飛んでいたでしょう。

「いい!」と思ったらすぐに手を出し、他の事業と並行して進めていく。

まさしく、この判断が人生を左右する運の境目となったのです。

成功を求めるのであれば、フライングを恐れてはいけません。「幸運の女神には前髪しかない」と言ったのはレオナルド・ダ・ヴィンチですが、チャンスが通り過ぎた後に慌てて手を伸ばしても、つかむ後ろ髪はないのです。

この習慣のまとめ

ひとつに集中することもリスク「いい話」がきたら並行して進めるべし

ときには順番を飛び越え「直談判」する

日本人は「順番」を大切にします。

部長の前に課長、課長の前に係長。その順番を飛び越えるのはご法度です。

しかし、ときにはその順番を飛び越えることで運を呼ぶことがあるのです。

つい最近、日本人におなじみのカレーチェーン店『カレーハウスCoCo壱番屋』(以下、ココイチ)が、カレー発祥の地であるインド進出を狙っているとの話題が、ネット上をはじめいくつかのメディアで取り上げられました。

じつは、このココイチのインド進出は、私が何年か前から仕掛けていた事業のひとつです。

私はもともと、ココイチの大ファン。

辛さもソースもトッピングも選べる自由度に加えて、各シーズンにリリースされる季節限定商品がまたおいしい。とくに私が気に入っているのは「チキン煮込みカレー」の2辛、そしてゆで卵トッピングです。

週に何度も通ううちに、こう思うようになりました。

「これほどおいしいカレーなら、絶対にインドでもヒットするに違いない。これはビジネスとしても大きな可能性を秘めているはずだ」

ココイチの社長に電話で直談判

思いついたらすぐ行動するのはジュガールにも通じる考え方。その時点でできることは、ココイチのインド進出をお手伝いしたいと手を挙げることです。

そこで私はスマホを取り出して、ココイチを運営する株式会社壱番屋の代表番号を検索し、すぐに電話をかけました。

「インドの商工会議所の日本代表を務めているサチンと申します。浜島俊哉社長(当時)はいらっしゃいますか?」

思いつきからものの1分ほどでそう電話をかけ始めた私を見て、隣の秘書がびっくりした顔をしていたのをおぼえています。しかも相手はトップである社長。これがビジネスにおいて大切なスピード感なのです。

ただし、私もまったくの無策で行動しているわけではありません。

たとえば自分の会社ではなくインドの商工会議所を持ち出したのは、見知らぬ会社名を名乗ることに意味はなく、かえって警戒されてしまうと感じたからです。

あいにくこのとき、浜島社長は不在でしたが、後日あらためて「ぜひお会いしましょう」とのお返事をいただくことができました。

私は「この会社と一緒にビジネスをやりたい」と思ったら、ツテがなくてもすぐにその会社のトップに電話をします。

手紙やメールではなく、相手の声色から反応を読み取ることができる電話を使うのも、ひとつのポイントでしょう。

果たして、浜島社長は私の申し出を歓迎してくれました。

後で浜島社長から聞いたところによると、同時期にインド進出を進める複数の会社からコンタクトがあったとのこと。考えてみれば、あれだけおいしいカレーを展開しているのだから、ライバルがいるのは当然でしょう。

もしあのとき、私が浜島社長に直接コンタクトをとることを躊躇していたら、今日の関係は築けていなかったかもしれません。

重要なのはスピード。そのために最も早く結果が得られる方法を考え、必要な相手に直談判をすることが大切なのです。

この習慣のまとめ

決定責任者への直談判そのスピード感が物事を大きく動かす
 
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サチン・チョードリー
法人/個人向けの経営コンサルティング、講演・セミナー事業を行うAVS株式会社代表取締役会長。鳥取県の地域活性化をミッションとする株式会社ITTR代表取締役社長など、複数の会社を経営。上場企業を含む複数の企業コンサルタント、アドバイザーとして経営に参画。幼少時に外交官の父親に連れられて初来日、バブル期の東京で過ごす。帰国後も当時のきらびやかな印象が忘れられず、1996年に再来日。いまでは母国インドはもちろん、日本、アジアでも数多くの事業を成功に導く実業家。
 

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