証券会社の社員といえば高給なイメージがある職業の1つだ。しかし、実際にはどのくらい給料をもらっているのだろうか。そこで今回は、1つの参考指標として上場証券会社の平均年間給与を調べ、ランキング化してみることにした。

上場証券会社の年収ランキング 上位は平均年収1,000万円超

 上場証券会社の有価証券報告書から各社の平均年間給与を調査しランキング化したところ、下記の企業がトップ10となった。
 

平均年間給与ランキング
順位 企業名 従業員数 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
第1位 野村ホールディングス(株) 132人 42.4歳 4.0年 1,455万2千円
第2位 (株)ジャフコ 104人 43.3歳 17.3年 1,246万1千円
第3位 (株)岡三証券グループ 13人 53.0歳 4.2年 1,179万3千円
第4位 (株)マーキュリアインベストメント 40人 42.0歳 2.9年 1,167万9千円
第5位 (株)大和証券グループ本社 3人 41.9歳 15.0年 1,045万1千円
第6位 (株)ジャパンインベストメントアドバイザー 89人 46.3歳 1.9年 958万6千円
第7位 日本アジア投資(株) 23人 46.7歳 12.2年 940万1千円
第8位 Oak キャピタル(株) 22人 45.8歳 7.0年 915万9千円
第9位 極東証券(株) 219人 44.0歳 17.3年 902万9千円
第10位 (株)あかつき本社 7人 37.8歳 8.8年 836万9千円

※yahoo!ファイナンスの証券業銘柄を基に抽出
※各社の有価証券報告書(従業員の状況)を基に著者が作成
 (2019年6月1日時点での有価証券報告書を参照)

全体的に高額な数字が並んでいるが、中でも上位5社は平均年間給与が1,000万円を超えているのが特徴的だ。

第1位……野村ホールディングス(東証1部)

上場証券会社の平均年間給与トップに輝いたのは、証券業界を代表する老舗企業、野村ホールディングスだ。野村ホールディングスは、国内証券会社で最大手の野村證券をはじめ、野村アセットマネジメントや野村信託銀行などといった野村グループの株式を持つ持株会社である。

その平均年間給与は1,455万2千円と2位のジャフコより200万円以上も多い金額になっている。トップセールスマンで年収1,000万円以上というわけではなく、平均年収が1,000万円を大きく超えるというから驚きだ。

第2位……ジャフコ(東証1部)

ジャフコは国内最大級のベンチャーキャピタルだ。ファンドの運用を通じたベンチャー投資とバイアウト投資に注力している。1973年創業とベンチャーキャピタルの中でも長い歴史を持つ。

平均年間給与が1,246万1,000円と高いこと以外にも、平均勤続年数が17.3年と上記ランキング中では1番長いことも特筆すべき点だ。

第3位……岡三証券グループ(東証1部)

岡三証券グループは岡三証券、岡三オンライン証券などを傘下に置く金融持株会社だ。主として金融商品取引業を中核とする営業活動に注力し、証券ビジネス、アセットマネジメントビジネス、サポートビジネスを展開している。

平均年間給与は1,179万3,000円と高水準なだけでなく、平均年齢が53.0歳と上記ランキング中では1番高い。

第4位……マーキュリアインベストメント(東証1部)

マーキュリアインベストメントは国内外投資家から資金を集めファンド(投資事業組合など)を通じて運用を行う事業や、自己資金の運用を行う事業を主たる業務にしている。

2017年12月期の決算時点では平均年間給与1,822万9千円と非常に高い給与水準であったが、2018年12月期では1,167万9,000円に下がっている。もちろん、それでも高いのは言うまでもない。

第5位……大和証券グループ本社(東証1部)

大和証券グループ本社は大和証券、大和投資信託委託、大和総研などを傘下に置く持株会社である。上場証券会社の中では野村ホールディングスに次ぐ業界2位の売上高を誇る。

大和証券グループ本社だけの専属従業員は3人だけだが、大和証券株式会社との兼務者は619人おり、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与はそれぞれ大和証券株式会社との兼務者を含めた数値となっている。

第6位……ジャパンインベストメントアドバイザー(マザーズ)

ジャパンインベストメントアドバイザーはオペレーティング・リース事業を中心に、M&Aアドバイザリー事業、環境エネルギー事業、不動産投資事業などを合わせて金融ソリューション事業およびメディア関連事業を展開している。

同社の平均年間給与は958万6,000円だ。第6位以下は平均年間給与1,000万円以下となるが、それでも世間一般で見たら十分高給といえる水準だろう。

第7位……日本アジア投資(東証1部)

日本アジア投資は成長力豊かな企業や再生可能エネルギーなどのプロジェクトに投資する投資会社だ。投資先は日本とアジアで、ファンド(投資事業組合など)と自己資金を通じて投資を行う。略称は英文社名の頭文字をとりJAIC(ジャイク)という。平均年間給与は940万1,000円だ。

第8位……Oak キャピタル(東証2部)

Oakキャピタルは独立系投資銀行として国内外の上場会社向け財務強化を目的としたエクイティファイナンスの引き受けや成長支援投資、会社再生投資などの投資銀行業務を行っている会社だ。2019年には東岳証券(現スターリング証券)を買収するなど事業を拡大している。平均年間給与は915万9,000円だ。

第9位……極東証券(東証1部)

極東証券は日本橋に本社を構える中堅証券会社である。多彩な商品ラインナップを用意しているが、特に債券に強みを持っているの特徴的だ。対面営業に特化した営業に力を入れており、東京、神奈川、愛知、大阪に店舗を構えている。平均年間給与は902万9,000円、従業員数は上記ランキング中最多の219人だ。

第10位 あかつき本社(東証2部)

あかつき本社はあかつき証券をはじめとする「証券関連事業」と、EWアセットマネジメントやトータルエステートをはじめとする「不動産関連事業」の2事業を軸に展開している企業グループだ。平均年間給与は836万9,000円となっている。

証券会社の年収は平均よりも高めの水準

上記のランキングでは記載しきれなかったが、調査した上場証券会社41社のうち24社が平均年間給与700万円を超えていた。2017年の民間企業の平均年収が432万円であることを考えると、世間一般的には高給な部類に入るだろう。

証券会社の社員は高給であるというイメージは間違ってはいない。しかし、証券会社の業務は結果が求められる厳しい仕事であることも周知の事実だ。大変な仕事に耐え、出世競争を勝ち抜いてこそ得られる対価であることは想像に難しくない。

文・春美 悠(ファイナンシャル・プランナー)
 

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