男性だから昇進しやすい・女性だから昇進しにくいというのは本当なのだろうか。性別以外に理由があるのではないか。

最新の調査からは、男性の方が昇給や昇進の交渉に積極的なこと、男性は野心家で女性は受け身の傾向が強いことなどが明らかになっている。

パーソナル・ブランディングの先駆者が教える「昇進に重要な9つの要素」と、仕事に対する男女の温度差を示した調査結果を比較すると、真相がみえてくるかもしれない。

野心がなければ昇進できない?

CNNの調査によると 、S&P500企業の女性エクゼクティブは全体のわずか16.5%、CEOは5%しかいない。フォーブスが女性向け企業情報・評価サイト「Fairygodboss」などと提携し、400人の男女を対象に調査を実施した結果 、性別による仕事への温度差が明らかになった。

仕事への満足度・不満度を1~5で示す質問で、5(非常に満足している)を選んだ割合は女性が32%、男性が25%だったが、4(かなり満足している)を選んだ割合は男性が44%、女性が35%だった。3(満足でも不満でもない)は男性が24%、女性が23%と大差ない。

昇給や昇進の交渉の経験がある男性は67%だが、女性は54%にとどまる。

女性は現状に限りなく満足する傾向が強く、男性はある程度満足していても「もっと高みを目指したい」という野心家が多いのだろうか。確かに、強い野心を周囲にアピールすることで昇進のチャンスを手にした成功者は多い。野心を露骨にさらけだすだけで実力がともなわないのであれば、昇進は夢の夢だろうが、現状に甘んじていては進歩は難しい。そう考えると、男性が昇進しやすいのも納得できる。

男女の所得格差の受け止め方にも温度差あり?

男女の温度差は、所得格差の受けとめ方でさらに浮彫りになる。「同じ仕事をしている職場仲間の給与が、自分よりも高いと分かったことがある」 と答えた割合は、男性が49%、女性が55%。

それに対して31%の男性が「自分も昇給を交渉した」のに対し、同じ行動をとった女性は21%。男性が「交渉すれば自分にも昇給のチャンスがある」と直球勝負にでる傾向が強いのに対し、女性は「交渉してもあまりチャンスがない」と受け身に徹しやすい。

代わりに「マネージャーや人事に相談した」「転職を考えた」女性は各20%。昇給交渉・上司への相談・転職という選択肢は女性にとってそれほど大差ないものと思われる。一方男性で上司に相談したのは17%、転職は15%だ。

また、男性の上司は男性社員を、女性の上司は女性社員を昇進させる傾向が強いことも分かっている。男性の上司から昇給を受けた男性は52%、女性は30%。女性の上司から昇給を受けた男性は19%、女性は33%だった。

男性は「人間関係よりキャリア優先」、女性はその逆?

男性が女性より昇進しやすい理由のひとつとして、「男性はキャリアを、女性は家庭や私生活を優先する差」が挙げられる。調査結果をみる限り、単なる先入観ではないようだ。 回答者が結婚または交際をしている割合は男性が73%、女性が65%。「(夫婦・恋愛などの)人間関係よりキャリアを優先する」と答えた割合は、男性45%に、女性は37%だった。興味深いのは、「誰のキャリアを優先すべきか」という質問で、77%の男性が「自分」、65%の女性が「相手」と答えた点だ。相手のキャリアを優先する男性は23%、自分のキャリアを優先する女性は35%しかいない。

男女ともに「自分が一家の大黒柱だから」というのが、自分のキャリアが優先されるべきと思っている最大の理由だが、男性は第2の理由として「妻・恋人が家庭や家事に専念したがっているから」と答え、女性は「自分の方が野心家だから」と答えている。

「昇進する人の9つの特徴」とは?

しかし性別への先入観やこだわりを捨て、個人として昇進に必要な重要素について学ぶことで、「昇進体質」を作り出せるかもしれない。

パーソナル・ブランディング(組織の中の個人としてアピールすることで、企業のプロモーションにつなげる戦略)の先駆者、ウィリアム・アルーダ氏はフォーブス2017年10月8日の記事 で、「昇進する人の9つの特徴」を挙げている。

彼によると、「自信にあふれている」「生涯学習し続ける」「やればできる精神がある」「森と木の両方をみる」「人間関係を築き、育む」「力強く認識できる、記憶に残るパーソナル・ブランディング力がある」「インプットとアドバイスを探しだす」「寛大」「目的駆動的」のどの要素が欠けても、昇進体質にはなれない。

2015年11月23日にEuropean Journal of Work and Organizational Psychologyに発表されたでも、支配力のある自信家の方が受け身型よりも昇給の機会に恵まれていると報告されている。この調査は375人の男女の性質と所得格差の関係を探ったもので、男性は自信家が多く、女性は協調性を重視する受け身型が多いことが、昇進や昇給に影響しているのではないか−−との結論に達している。

野心家は、生涯学習し続ける意欲ややればできる精神に富んでいる。知識や経験を積むことに積極的なので常にインプットやアドバイスを求めているし、目標を達成するための努力を惜しまない。こうした向上意欲がパーソナル・ブランディング力を高めてくれるだろう。細部から全体までを見渡す活眼と寛大さをもって、プラスに働く人間関係を育んでいく。

男性も女性も昇進体質を作り上げることで、大きなキャリアチャンスを得れるのではないだろうか。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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