「人生の3大支出は?」と聞かれて、パッと答えられるだろうか。正解は「住宅資金」「教育資金」「老後資金」だ。特に老後に必要な資金は平均寿命の延びとともに上昇しているため 、最低どのくらいの金額が必要なのか把握しておきたいところだ。
生涯収入から逆算し、3大支出の金額の計画を立てよう
社会生活を送る上で重要なのは、収入と支出のバランスを取ることだ。収入がかなり多くても支出が多ければ生活は苦しくなっていくし、収入が少なくても支出を抑えれば生活していける 。
将来を考えるのであれば、自分がこれから稼げるであろう収入の金額を予測し、その上でどのようなことにどのくらいの支出するのかを、あらかじめ決めておきたい(もちろん計画が狂うこともあるが)。
とはいえ、日々の生活ではさまざまなことにお金を使うため、それらのすべてについて計画を立てるのは現実的ではない。そこで、まずは冒頭で触れた人生の3大支出について考えてみ よう。
住宅資金
住宅資金については、住宅を購入する場合と住宅を賃貸する場合に分けて考えるべきだ。
住宅を購入する場合の金額 は、独立行政法人「住宅金融支援機構」のデータが参考になる。以下の表は、2020年度に住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」を利用した人の各不動産の平均購入資金だ。
不動産区分 | 全国平均 | 首都圏 |
---|---|---|
新築/マンション | 4,545万円 | 4,993万円 |
新築/土地付注文住宅 | 4,397万円 | 5,162万円 |
新築/注文住宅 | 3,534万円 | 3,808万円 |
新築/建売住宅 | 3,495万円 | 3,922万円 |
中古/マンション | 2,971万円 | 3,246万円 |
中古/戸建 | 2,480万円 | 3,025万円 |
実際には住宅の購入費のほかに修繕費や固定資産税などもかかるが、上記の表を参考に自分であればどの不動産に手が届くか、考えてみてほしい。ちなみに賃貸住宅に住み続ける場合は、単純にどのくらいの家賃の物件に何年住むかと考えていけば計算できる。
教育資金
子どもを育てる場合は、当然教育資金がかかる。文部科学省が2019年12月に発表した「平成30年度子供の学習費調査の結果について」によると、「幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の学習費総額」は以下のとおりだ。
ケース | 幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高等学校 (全日制) |
総額 |
---|---|---|---|---|---|
ケース1 | 公立 | 公立 | 公立 | 公立 | 541万円 |
ケース2 | 私立 | 公立 | 公立 | 公立 | 635万円 |
ケース3 | 私立 | 公立 | 公立 | 私立 | 788万円 |
ケース4 | 私立 | 私立 | 私立 | 私立 | 1,830万円 |
幼稚園から高等学校まですべて「公立」に通った場合は学習費だけで541万円、すべて「私立」に通った場合は学習費だけで1,830万円もかかる。
このほかにも通学費用を含めてさまざまなお金がかかり、育てる子どもが増えれば支出は増える。子どもが大学に通う場合は、このほかに大学の入学金や授業料、場合によっては仕送りの費用も必要になる。
老後資金
最後に老後資金について考えてみよう。
公益財団法人「生命保険文化センター」によれば、夫婦2人で老後生活を送る場合、最低日常生活費(①)は平均で月額22万1,000円かかり、ゆとりある生活を送る場合(②)は平均で月額36万1,000円かかるという。
リタイア後25年間生きる場合、必要な合計金額は①と②でそれぞれ以下のようになる。
①22万1,000円×12ヵ月×25年=6,630万円
②36万1,000円×12ヵ月×25年=1億830万円
ここから退職金や年金で受け取る金額を差し引けば、必要な老後の資金を算出できる。
投資で資産を増やすという発想も重要
この記事では、人生の3大支出について解説した。重要なのは、住宅資金や教育資金、老後資金がどのくらいかかるのかを知った上で、自分の生涯年収を踏まえて支出を抑えることだ。
一方で、資産を増やすという視点も重要だ。給与所得だけに頼るのではなく、投資によって資産を増やすことができれば、老後の暮らしに対する安心感が高まる。
資産運用の方法には株式や債券、投資信託、不動産、仮想通貨などがあるが、投資する資産の分散や投資時期の分散などによって、リスクを抑えることが重要だ。日本においてはNISAやiDeCoといった税制優遇が魅力の制度もあるので、賢く利用したい。
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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