国を挙げて取り組んでいるキャッシュレス化。商品やサービスの利用時に発行されるポイントの付与率や還元率だけでなく、そのポイントの使い勝手が気になる人も多いだろう。昨今は、ポイントを元手(原資)に株や投資信託など金融商品を購入できるサービスも増えてきた。「投資ってどうやるの?」「興味はあるけど損したくない」……そんな方のために、ファイナンシャルプランナーの野原亮氏が、誰でも手軽にできる「0円投資」の方法を紹介する。

※本稿は『貯金がなくても資産を増やせる「0円投資」』(野原 亮・著)をもとに再編集しています。

「0円投資」ってどういうもの?

みなさんは、「0円投資」という言葉を耳にされたことはあるでしょうか。

日常生活の各サービス利用で付与(または還元)されたポイントを使って株や投資信託(投信)などの金融商品を購入したり、ポイントを現金に交換してネットバンク等に送金した分を元手に投資する方法です。現金の持ち出しがなく、元手実質0円で投資できるため、「0円投資」と呼ばれています。

誰でも手軽に資産形成を始められますが、一見複雑なゲームのように感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ポイントが付与されるルールを知り、それに従って日常生活の中で、キャシュレス決済(※)を利用した「ポイ活(ポイント獲得活動)」を習慣化してしまえば、特に抵抗なく実践できるはずです。

※キャシュレス決済……クレジットカード(クレカ)決済や、PayPayや楽天ペイなどに代表されるコード決済(QRコードやバーコードを使った決済)のこと ただし、「ポイ活するぞ!」と意気込むあまり、1ポイントでも多く獲得しようと、貴重な時間をそればかりに費やしてしまったり、ポイントのために高額な商品を買い続けるというのでは本末転倒です。

また、あまり細かくやりすぎても面倒くさくなるだけかと思いますので、日常生活の中で無理のない範囲内で、自分のペースで継続していくとよいでしょう。

私がおすすめする「0円投資」は、より賢く効率的にポイントを貯めることで、家計の貯蓄残高をストレスなく増やしていくことを目的としていますから、「ポイントが付与される、ちょっと楽しい生活」というくらいの意味合いで受け止めていただければと思います。

資産運用のリアルなお試し体験

0円投資をするには、主に2つのアプローチがあります。まず、楽天ポイントやTポイントなどで貯めた「ポイントで直接投資する」。そして、「ポイントを現金に交換し、ネットバンク等に送金した分を元手として投資する」という方法です。

幸い、いまはたった100円分のポイントがあれば、投資ができる時代です。0円投資は、言うなれば「シミュレーションゲーム」のようなもの。 説明書に書いてあるようなルールに基づいて、限られた自己資源(ポイントや時間など)の中でなんとかやりくりします。さらに、それを適切に管理しながら投資し、資産運用をしていくのです。

最初は、小さく始めてみてください。いままで経験したことのない未知の体験をするわけですから、少しドキドキする気持ちもあるでしょう。でも、ちょっとずつ慣れていけば大丈夫。最初にちょっとしたルールとコツをつかんでしまえば、あとは楽チンです。

大切なのは「額」ではなく、「率」に目を向けること。投資額や利益額を気にするのではなく、投資効率や利益率を上げていく意識をもつことです。慣れてくれば、積み立て資金を増やしたり、NISA(ニーサ=少額投資非課税制度)を始めてみてもよいでしょう。

本格的な投資を始めるまでの一連の流れは、以下のようなイメージです。

●レベル1 事前体験:0円投資による資産運用のリアルなお試し体験
●レベル2 少額投資:積み立て資金を増やし、「つみたてNISA」や「NISA」を積極的に活用する
●レベル3 本格投資:個別の株式投資などをやってみる

0円投資は「資産運用のリアルなお試し体験」なので、シミュレーションゲームをプレイするようなレベルアップ感を得られることで、初めての人でも投資を継続しやすくなります。

さらに、そのコツコツ貯めた資産が少しずつ大きくなっていくことで、投資する楽しさとともに、自分自身の知識・経験も大きくなっていくはずです。