昨年4月、スペイン北西部・アストゥリアス州にあるラ・クエスタ洞窟で見つかった古代ローマ時代のコイン。
これが、マドリード自治大学(AUM)の研究により、腹をすかせたアナグマによって掘り当てられたものと判明しました。
合計で209枚のコインが出土し、スペイン北部で見つかったローマ時代の硬貨としては「史上最大の宝の山」と報じられています。
研究は、昨年12月に学術誌『Journal of Prehistory and Archaeology』に掲載されました。
エサを探していたのに、出て来たのはコイン
コインは、地元住民のロバート・ガルシア(Robert Garcia)氏により、洞窟内にあるアナグマの巣穴付近で発見されました。
それを考古学者のアルフォンソ・ファンジュール(Alfonso Fanjul)氏に連絡し、発掘チームが追加調査を実施。
結果、全部で209枚のコインが回収されました。
ファンジュール氏は、CNNの取材に対し、「現場に到着してみると、アナグマの巣につながる穴と、その周囲の地面にたくさんの硬貨が落ちていた」と話しています。
また、アナグマにより掘り当てられたコインは、全部で90枚以上だったという。
調査の結果、コインは、昨年1月にスペインを襲った暴風雪の間に、エサを探していたアナグマが掘り出した可能性が高いと判明しました。
アナグマは木の実や昆虫をエサとしますが、残念ながら出て来たのは彼らにとって何の価値もないコインだったため、その場に放置されたものと考えられます。
異民族から守るためにコインを隠したか
コインの年代は3〜5世紀頃で、一部はマルクス・アウレリウス・カルス(在位282〜283年)の時代に、一部はウァレンティニアヌス3世(在位425〜55年)の時代に鋳造されたものでした。
今日のトルコにあったアンティオキアやコンスタンティノープル、あるいはギリシャのテッサロニキといった地中海の北部および東部で作られ、ローマやフランスで流通したコインであることが分かっています。
また、少なくとも1枚はロンドンのものが含まれていました。
コインが洞窟内に埋められた背景には、異民族に対する情勢不安が関係しているという。
研究チームは特に、5世紀にスペイン北西部へ侵攻したスエビ(Suebi)族が原因ではないかと見ています。
スエビ族は強力な歩兵と待ち伏せ戦術で知られるゲルマン系の民族であり、彼らの侵攻に備えて、洞窟に避難した地元民がコインを隠したと考えられています。
回収されたコインは今後、洗浄・修復作業を完了したのち、アストゥリアス考古学博物館に保管される予定です。
さらに今年は、ラ・クエスタ洞窟での発掘調査がすでに決定しているとのこと。
ファンジュール氏はCNNに対し、「今回見つかったコインは一部に過ぎず、まだまだ多くの掘り出し物があるでしょう」と話しています。
その際には、アナグマに手伝ってもらうといいかもしれませんね。
提供元・ナゾロジー
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