投資にはさまざまな方法がありますが、多くの人におすすめできるのが株式投資です。株式投資の仕組みやおすすめの証券会社、注文の流れや税金の話など、株式投資を始める人が知っておきたい基本を解説していきましょう。
株式投資とは?初心者に株式投資がおすすめな理由
Q:なぜ株式投資が初心者におすすめなの?
A:投資リスクをローリスクからハイリスクまで幅広くコントロールできるためです。
株式投資とは?
株式投資はギャンブルとは異なり、投資する企業の成長を期待するものです。
株式投資とは、投資した企業の成長から得られるパイの分け前を元にして自身の資産を増やすための、資産運用の手段です。
引用:丸三証券
企業の株式を購入して株主になることは企業の応援になり、企業の社会貢献の後押しになります。株主は、株式の値上がりによる売買差益や配当といった利益を得ることができます。
株式投資はうまく運用できれば資産を増やすことが可能です。将来のマイホーム購入や子供の進学などのイベントの資金、老後資金の形成のために株式投資を利用できます。
「投資」と「投機・ギャンブル」との違い
投機、ギャンブル、投資は似たもののように思われるかもしれませんが、投機やギャンブルと投資とは異なるものです。
投機とは?
価格が上がるか下がるかの動きを予測して、差益を狙って売買すること。
株式取引でも、短期での値動きを利用して利益を狙うことは投機だといえます。
ギャンブルとは?
お金をかけて勝者に資金が配分されるもの。運営団体が利益を得るため、損をする可能性が高い傾向です。ギャンブルには競馬や宝くじなどがあります。
投資とは? 投資は価値を生む資産を購入して、その価値から得られる利益を期待して長期的に保有することです。投資対象の資産には、株式、投資信託、不動産などがあります。
投資は、資産を保有した後に利益を生むのをじっくり待つところが、投機やギャンブルと異なるポイントです。
株式投資は初心者から経験者までおすすめの投資方法
個人が利用できる投資で一般的なものは株式投資、為替取引(FXや外貨預金)、暗号資産(仮想通貨)、不動産投資、債券、先物取引、投資信託などがあります。
初心者が投資を始める際に利用しやすい投資方法を考えてみましょう。
投資方法と初心者の利用
投資方法 | 説明 | 初心者の利用 |
---|---|---|
株式投資 | 企業の株式を購入して売買差益や配当金を狙う | ◎ 投資期間や投資リスクをコントロールし易い |
為替取引 | 外貨預金やFX(外国為替証拠金取引)が一般的 日本円と米ドルなど「異なる通貨」を交換して、為替レートの変動により損益が生じる |
〇 どちらかというと短期投資向き |
暗号資産 | ビットコインなどを売買して、レートの変動により利益を狙う | 〇 長期投資の実績が十分でなくボラティリティが大きい |
不動産投資 | アパートやマンションへの投資が一般的 大きな資金が必要なことが多い |
△ まとまった資金が必要 |
債券 | 債券は国や企業などが投資家から資金を借りるために発行するもの 国債は国が、社債は企業が発行するもので、利子を得られて、満期になればお金が戻る |
〇 堅実な投資向き |
先物取引 | 特定の商品に対して、将来の定められた期日に、決められた価格での売買を約束する取引 対象商品には、原油や穀物、株価指数(日経平均株価等)などがある |
△ 約10万円以上の資金が必要 |
投資信託 | 投資家から集めた資金を、運用の専門家が株式・債券などに投資して運用する金融商品 | ◎ 投資する銘柄を任せられる |
初心者の利用が「◎」の評価は株式投資と投資信託です。株式投資と投資信託を比較すると、株式投資は投資信託より超短期での取引にも対応でき、株式投資のほうが投資を楽しみながら学ぶことができるといえます。
さらに株式投資は、投資リスクをローリスクからハイリスクまで幅広くコントロールできるため、初心者から経験者までおすすめできる投資方法です。
株式投資の3つのメリット
Q:株式投資のメリットは何ですか?
A:株式投資のメリットは、主に「利益」「株主優待」「社会貢献」の3つです。これらのメリットがあるために株式投資は人気の投資方法です。特に利益を得る可能性があるというメリットは大きいです。株主優待を楽しみながら株式投資することもできます。
株式投資の3つのメリットをそれぞれ紹介します。
株式投資の3つのメリット
- 利益により資産形成などが可能
- 株主優待で商品などをお得に楽しめる
- 好きな企業や将来性のある企業への支援により社会貢献になる
メリット1,利益により資産形成などが可能
株式投資で利益を得るには2つの方法があります。「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」です。
・キャピタルゲイン(売買差益)
株式投資にて、最も大きく利益を得る可能性があるのがキャピタルゲインです。キャピタルゲインは売買差益、売却益、値上がり益などと呼ばれることがあります。
キャピタルゲインとは、株式や債券など、保有している資産を売却することによって得られる売買差益のことです。
引用:SMBC日興証券
企業が成長すれば、その企業の株価は上昇する傾向があります。大きく成長すれば、株価が数倍になることも夢ではありません。
最近の大企業の例をみてみましょう。日本郵船<9101>は2020年前半に株価が2,000円を割り込んでいましたが、2021年9月には株価が一時1万円を超えるまでに上昇し、1年あまりで株価が5倍以上になりました。
・インカムゲイン(配当金)
企業によっては、株主に配当金(インカムゲイン)を支払うことがあります。
インカムゲインとは、株式や債券などの資産を保有中に得られる収益のことです。
引用:SMBC日興証券
配当金の頻度は年1回か2回の企業が多く、保有する株数に応じて支払われます。配当金額は企業の業績によって変動することがあります。
投資金額に対する年間の配当金の割合を「配当利回り」と言います。配当利回りは、企業によって大きな差があり、3%以上なら高配当だと言えるでしょう。
たとえば、10万円で購入した株式の年間配当金が3,000円なら、配当利回りは3%です。
メリット2, 株主優待で商品などをお得に楽しめる
株主優待とは?
企業が株主に自社商品やQUOカードなどを贈る制度のこと。
株主優待は、株主になっている企業の商品を実際に試すことができることなどから人気があり、株主優待目当てに投資をする人もいます。
人気の株主優待をいくつか紹介します。
- イオン……イオンオーナーズカードによるお買い物のキャッシュバックなど
- 吉野家……吉野家などで利用できるサービス券
- オリックス……カタログギフトやレンタカー割引など
株式投資で株主優待を得ることは、売買差益や配当金のメリットとは違う楽しさがあるかもしれません。
メリット3, 好きな企業や将来性のある企業への支援により社会貢献になる
株式投資は企業に出資することであり、企業の支援になります。
株式投資によって支援する企業は、自分が好きな企業や将来の成長が見込める企業などを選べます。投資する企業の社会貢献を応援することになるので、株式投資は社会貢献にもつながります。
社会への貢献という考えをもつことで、日々の株価の変動を気にしすぎることなく、長期的な視点で株式投資に向き合うこともできるでしょう。
株式投資が向いているのはどんな人?
Q:株式投資に向いているか、どのように確認すればよいですか?
A:株式投資の向き・不向きについて明確な区切りはありませんが、好みによりある程度は判断できます。たとえば、株式投資はギャンブルとは違いますので、ギャンブル好きでないほうが向いているといえます。
投資には様々な方法があり、それぞれの特徴があります。株式投資を始めるなら、その特徴に合うかどうかを確認してみましょう。投資金額とリスクの観点から株式投資に向いている人を考えてみます。
株式投資が向いている人
- 少額から投資を始めてみたい人
- リスク許容度の低い人
少額から投資を始めてみたい人
株式投資は少額から始めることが可能です。国内株式は通常単元(100株)単位で取引されますが、証券会社によっては単元未満の単位で取引できる「単元未満株」を利用できます。
単元未満株の呼び方は証券会社によって異なり、プチ株、ワン株、S株、いちかぶなどと呼ばれています。
単元未満株を利用すれば、数百円程度からの株式投資が可能です。
リスク許容度の低い人
投資方法によっては、リスクが高く投資した資金が急減することがあります。そのような高リスクの投資に抵抗がある人もいるでしょう。
株式投資ではリスクをある程度把握でき、投資に失敗しても損失を抑えることが可能です。
リスクを抑えるには、投資金額を少なくするか、大企業などの安定した会社に投資する方法があります。
株式投資の始め方 まずは証券会社選びから
Q:家の近くに対面証券の支店がありますが、ネット証券とどちらがいいですか?
A:対面証券とネット証券には大きな違いがあります。対面証券は、投資の助言などを得ることが可能ですが、手数料が高い傾向にあります。ネット証券は、投資情報を自分で調べる必要がありますが、手数料が安いのが特徴です。対面証券とネット証券は好みで決めていいですが、手数料を考えるとネット証券の利用がおすすめです。
株式投資を始めるには証券会社に口座を開設する必要があります。どの証券会社に口座を開設するかを決めましょう。
初めての株式投資ならネット証券に口座を開設するのがおすすめです。ネット証券は手数料が安く、オンライン(ネット)で取引しやすいからです。
株式投資におすすめのネット証券
株式投資におすすめのネット証券として5社を紹介します。ネット証券5社の現物株式・単元未満株の取引手数料とポイント制度を比較したのが次の表です。
おすすめネット証券5社の株式投資比較
比較項目 | SBI証券 | 楽天証券 | 松井証券 | マネックス証券 | LINE証券 |
---|---|---|---|---|---|
現物株式 取引手数料の例 (税込) |
1日合計100万円まで無料(アクティブプラン)*1 | 1日合計100万円まで無料(いちにち定額コース)*1 | 1日合計50万円まで無料 *1*2 | 1日合計10万円まで500円(一日定額手数料コース) | 1約定10万円まで99円 |
単元未満株 サービス名 |
S株 | なし(換金のみ可能) | 単元未満株(売却のみ可能) | ワン株 | いちかぶ |
単元未満株 取引手数料 (税込) |
買付:実質無料 売却:約定代金の0.55% (最低55円) |
換金:330円/件 | 売却:約定代金の0.55%(最低手数料なし) | 買付:無料 売却:約定代金の0.55% (最低52円) |
約定代金の0.2%~1.0% |
単元未満株 リアルタイム取引 |
不可 | 不可 | 不可 | 不可 | 可能 |
ポイント制度 | ・Tポイント ・Pontaポイント |
・楽天ポイント ・楽天証券ポイント |
・松井証券ポイント | ・マネックスポイント | ・LINEポイント |
ポイントでの株式投資 | 不可 | 可能 | 不可 | 手数料への充当が可能 | 可能 |
※SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券、LINE証券の公式サイトを参照して筆者作成
*1 1日合計とは1日の約定代金の合計金額
*2 松井証券は25歳以下の株式取引手数料が約定代金にかかわらず無料
上記表の内容から現物株式と単元未満株について、◎、〇、△に評価します。
おすすめネット証券5社の株式投資評価
比較項目 | SBI証券 | 楽天証券 | 松井証券 | マネックス証券 | LINE証券 |
---|---|---|---|---|---|
現物株式 評価 |
◎ | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
単元未満株 評価 |
◎ | △ | △ | ◎ | ◎ |
※評価内容:◎特におすすめ、〇おすすめ、△おすすめできない
現物株式で特におすすめなのはSBI証券と楽天証券、松井証券です。SBI証券と楽天証券は1日の約定代金合計100万円まで、松井証券は50万円まで手数料無料で取引できます。
単元未満株は、SBI証券とマネックス証券は手数料が最安レベルで、LINE証券は単元未満株のリアルタイム取引が可能なため特におすすめです。楽天証券と松井証券は単元未満株を購入できないため注意してください。
株式投資におすすめのネット証券5社のサービスを詳しくみていきましょう。
・SBI証券……取引手数料などで業界をリードする大手ネット証券
SBI証券は、充実の商品ラインナップや低い取引手数料などが特徴で、総合力ではネット証券トップレベルといえます。
現物株式の手数料は、1日の約定代金合計で手数料が決まる「アクティブプラン」なら1日100万円まで手数料無料での取引が可能です。
単元未満株は買付手数料がキャッシュバックにより実質無料になり、手数料無料で購入できます。
・楽天証券……楽天ポイントで株式投資できる人気の大手ネット証券
楽天証券は、SBI証券に匹敵する人気の大手ネット証券です。
現物株式の取引手数料は、SBI証券と同じく1日の約定代金合計100万円まで無料です。
単元未満株は換金のみ可能で手数料が割高なことから、単元未満株は楽天証券以外で取引するのが望ましいでしょう。
楽天証券はポイント投資が魅力的で、楽天ポイントを国内株の現物取引の購入代金などに利用できます。
・松井証券……インターネット取引に強い老舗証券会社
松井証券は100年を超える歴史がありながら、ネットでの取引に強みをもつ証券会社です。PCやスマホのツールやサポートの評価が高いのが特徴です。
現物株式は、1日の約定代金合計50万円まで手数料無料で取引できます。25歳以下なら約定代金にかかわらず取引手数料が無料です。
単元未満株は最低手数料がないメリットがありますが、買付には対応しておらず売却しかできません。
・マネックス証券……便利なツールが充実するネット証券
マネックス証券は、ロボアドバイザーの「マネックスアドバイザー」などの便利なツールが充実している証券会社です。
現物株式の手数料は、「取引毎手数料」と「一日定額手数料」の2つのコースから選べますが、どちらも手数料無料には対応していません。
単元未満株は、買付手数料が無料のため売却手数料のみの負担で取引できます。
・LINE証券……いちかぶのリアルタイム取引とLINEポイントでの投資が可能
LINE証券はスマホでの取引に特化した証券会社で、初心者でも操作しやすいユーザーインターフェースを提供しています。
現物株式の手数料は、約定ごとに負担します。約定ごとの取引手数料ではネット証券最安レベルです。
いちかぶ(単元未満株)は、東証の時間内なら0.2%~0.5%(銘柄により異なる)の取引コストの負担で取引できます。日本の多くの大企業は0.2%の取引コストであり、単元未満株の取引コストはネット証券最安レベルだといえるでしょう。
LINE証券の強みは、いちかぶのリアルタイム取引が可能なことと、LINEポイントで株式投資できることです。
株式投資の注文の流れ
Q.株の注文はどのように行えばいいですか?
A.一般的な流れとしては、銘柄を選んだあと「買い/売り」を選び株数を指定します。その後、注文方法を選び執行条件を指定して注文が実行されます。取引口座も選択します。
株式の注文はプロのトレーダーでも「買い」「売り」や「株数」「価格」を間違うことがあります。注文の間違いは思わぬ損失をまねくことがありますので、慎重におこないましょう。
株の注文の流れを紹介していきます。
銘柄を選ぶ
取引する株の銘柄を選びます。銘柄の選び方はファンダメンタル(ファンダメンタルズ)分析やテクニカル分析などがあります。分析方法は後述します。
買い/売りを選ぶ
株の買いと売りのどちらかを選びます。信用取引の場合は、保有していない株も売ることができますので、買いのつもりが売りで注文を出してしまうことがあります。間違わないように気を付けましょう。
株数を指定する
売買する株数を指定します。国内株の現物取引なら100株単位が一般的です。単元未満株なら1株単位で指定できるのが一般的です。
注文方法を選ぶ
注文方法として、指値注文、成行注文などを選びます。指値注文の場合には、希望する売買価格を指定します。
注文の執行条件を指定する
注文の執行条件として、指値注文の有効期限や成行注文の「寄付」「引け」などを指定します。
寄付とは?
前場と後場の最初の取引のこと
引けとは?
前場と後場の最後の取引のこと
寄付や引けを指定すれば、そのタイミングで成行注文が実行されます。
口座を選択する
「特定口座」「一般口座」「NISA口座」(一般NISAの口座を開設している場合)から取引する口座を選択します。
特定口座:証券会社が年間の譲渡損益を計算して「年間取引報告書」を作成してくれる口座
一般口座:自分で年間の譲渡損益を計算する口座
NISA口座:一定の金額と期間まで非課税で投資できる口座
株式投資の3つの注文方法
Q:初めての注文では、指値注文と成行注文のどちらの利用がおすすめですか?
A:不利な価格で取引されることがない指値注文の利用をおすすめします。指値注文は取引が成立しない場合がありますが、取引が成立しなければ次の取引を考えれば良いだけです。成行注文は、想定より不利な価格での取引の場合があります。初めての株の購入なら想定しない高値での購入リスクを避けるべきでしょう。
株式の注文方法は、大きく分けて「指値注文」と「成行注文」の2つがあります。また「逆指値注文」も便利な注文方法です。
指値注文と成行注文から比較していきましょう。
指値注文と成行注文のメリット・デメリットとおすすめの人
指値注文 | 成行注文 | |
---|---|---|
説明 | 希望の売買価格を指定する注文方法 | 希望の売買価格を指定しない注文方法 |
メリット | 希望価格より不利な価格での取引がない | すぐに取引が成立する |
デメリット | 取引が成立しない場合がある | 想定より不利な価格で取引が成立する場合がある |
おすすめの人 | 初心者から経験者 | 経験者 |
指値注文のメリットとデメリット
指値注文とは?
金額を指定する注文方法
指値注文は、売買する場合に「1,250円で100株買ってほしい」というように、金額を指定して注文を出す方法です。
引用:auカブコム証券
指値買い注文では株価が希望価格以下になれば取引が成立し、指値売り注文では株価が希望価格以上になれば取引が成立します。
たとえば、A社の株を指値1,000円で買い注文を出したとします。株価が1,000円以下になれば買い注文が約定(売買の成立)します。A社の株を指値1,000円で売り注文を出した場合には、株価が1,000円以上になれば売り注文が約定します。
・指値注文のメリット
指値注文のメリットは、希望価格よりも不利な価格での約定がないことです。
指値買い注文では、希望価格を超える価格では約定しません。つまり、希望価格より高く買うことはありません。
同様に指値売り注文では、希望価格を下回る価格では約定しないため、希望価格より低く売ることがありません。
指値注文は予想外に不利な価格での約定がないため、初心者でも利用しやすい注文方法です。株価がこの価格以下になったら買いたいという場合などに利用できます。
・指値注文のデメリット
指値注文のデメリットは、株価が希望価格に変動するまで約定しないことです。
たとえば、指値1,000円で買い注文を出したとします。株価が1,100円から1,010円まで下落した後に1,200円まで上昇しても、指値1,000円以下にならなければ株を買えません。
この例の場合、あともう少し株価が下がれば株を買えていましたが、残念ながら約定しませんでした。指値注文では、このように売買の機会を逃してしまうことがデメリットです。
成行注文のメリットとデメリット
成行注文とは?
金額を指定しない注文方法
成行注文は、売値や買値を指定せず、いくらでもいいのでその時点での株価で「買いたい」「売りたい」という場合に使います。
引用:auカブコム証券
成行注文とは、希望価格を指定せずに売買を注文する方法です。成行注文に対して一番有利な注文相手との取引が成立します。
たとえば、A社株の成行買い注文を出したとします。相手の売り注文が1,000円、1,010円、1,020円と並んでいる場合には、その時に最も安い1,000円の売り注文と売買が成立します。
A社株の成行売り注文を出した場合に、相手の買い注文が1,020円、1,010円、1,000円と並んでいる場合には、その時の最も高い1,020円の買い注文と売買が成立します。
・成行注文のメリット
成行注文のメリットは、発注から売買成立までが速いことと、指値注文よりも優先されるため、取引が成立しやすいことです。
成行注文はすぐに取引が成立しますので、取引の成立を逃すことがなくなります。
株価の値動きが早い場合でも、指値注文より確実に取引の成立を期待できます。株価が急落している場合なども、利益確定や損切りを素早くできます。
・成行注文のデメリット
成行注文のデメリットは、株価の値動きが早い場合に、想定よりも不利な価格で取引が成立する可能性があることです。
たとえば、1,000円前後で値動きが早い株を成行注文で買う場合を考えてみましょう。980円から,1020円の範囲で買いたいと考えて成行買い注文を出した際に、株価が急に上昇して1,050円で取引が成立すると、想定より高い価格で買うことになります。
このように成行注文は、自分の注文と同じようなタイミングで大量の注文が入ると、取引価格が一瞬で変わることがあります。思わぬ価格での取引成立の可能性を認識したうえで、成行注文を利用しましょう。
指値注文と成行注文はどのように使い分けるのがおすすめ?
紹介したように、指値注文と成行注文はそれぞれメリットとデメリットがあります。それらを把握したうえでの使い分けを考えましょう。
指値注文は次のケースでの利用をおすすめします。
指値注文がおすすめのケース
- 通常の取引
- 希望価格で取引したい場合
- 取引まで時間を要しても取引価格を重視する場合
成行注文は次のケースでの利用がおすすめです。
成行注文がおすすめのケース
- 急いで買いたい場合
- 利益確定や損切りを急ぐ場合
- 確実な取引成立を重視する場合
指値注文と成行注文の使い分け方は、普段は指値注文を利用して、急ぎの場合などに成行注文を利用すると良いでしょう。
ただし、株取引の成立を急ぐ場合でも、相場急落などの際に慌てて取引すると失敗につながることがあります。急ぎの場合でも落ち着いて取引するように心がけましょう。
逆指値注文とは?
指値注文と成行注文に加えて、もうひとつ便利な注文方法「逆指値注文」を紹介します。
逆指値注文とは?
指定した金額よりも高く購入したい、指定した金額よりも安く売りたい場合に使う便利な注文方法。主に損切りの場合などで利用する
逆指値注文は指値注文とは逆に「〇〇円以上になったら買う」「〇〇円以下になったら売る」といった、指定の価格以上で買いたい場合や、指定の価格以下で売りたい場合の注文方法です。
引用:松井証券
指値注文と逆指値注文では、指値の意味が逆になります。買い注文の場合では、指値注文は「○○円以下で買う」と注文するのに対して、逆指値注文は「〇〇円以上になったら買う」と注文します。
指値注文と逆指値注文の比較
指値注文 | 逆指値注文 | |
---|---|---|
説明 | 希望の売買価格を指定する注文方法 | 指定する株価条件を満たしたら売買を開始する注文方法 |
買い注文 | ○○円以下で買う | 〇〇円以上になったら買う |
売り注文 | ○○円以上で売る | 〇〇円以下になったら売る |
逆指値注文のメリット・デメリットは指値注文と同様です。メリットは希望価格が優先され、デメリットは取引を逃すことです。
逆指値注文は、次のケースでの利用をおすすめします。
逆指値注文の利用がおすすめのケース
- 損切りの株価を決めておき、〇〇円以下になったら損切りのため売る場合
- 株価がレンジ相場を上抜けたら株価上昇が期待できると判断し、買う株価を決めておき、〇〇円以上になったら買う場合
レンジ相場とは?
株価が一定の変動幅のなかで上下を繰り返すこと。レンジ幅を抜けると相場が大きく動くことがあるため、投資タイミングの判断に利用することがある。
しばらく株価をチェックできない場合などに、逆指値注文を損切りするように出しておけば、いつの間にか株価が急落して大きな含み損を抱えることを回避できます。
たとえば、1,000円で購入した株が900円まで下がったら損切りするとします。「900円以下になったら売る」と逆指値注文を出しておけば、それより下落して大きな含み損を抱えることがありません。
株式投資での銘柄選びと売買タイミングの判断方法
Q:売買タイミング判断するために使うおすすめのツールは何ですか?
A:売買のタイミングを判断するためのツールは、証券会社が無料で提供するものから利用してみるのがおすすめです。証券会社以外が提供するフリーのツールはセキュリティ面の心配がありますし、有料のツールは十分に使えなければお金の無駄になります。証券会社の無料ツールを利用して、もし機能面などで物足りない場合には他のツールを検討しましょう。
株式投資では銘柄選びと売買のタイミングが重要です。それらを判断する方法とツールを紹介します。
株の銘柄や売買タイミングを判断するには、自分で分析する方法と専門家の意見を参考に判断する方法があります。
株の銘柄選び・売買タイミングの判断方法
- 自分で分析する
- 専門家の助言を有効に利用する
- 証券会社が提供するトレーディングツールを活用する
判断方法1,自分で分析する
株式投資で継続して成功するには、株式投資のスキル向上が大切です。スキル向上には、自分で分析して、分析結果から投資し、投資の結果から学ぶのが一般的です。
分析する方法は「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」があります。
相場の動向を予想するには、テクニカル分析とファンダメンタル分析を併用するのが一般的です。
・テクニカル分析……過去の値動きのチャートからパターンを分析する
テクニカル分析とは?
株価の過去の値動きをチャートにして、過去のパターンなどを把握することで、将来の株価の値動きを予想する分析方法。過去の株価チャートに現在と似たパターンがあれば、そのパターン後も同じような値動きになる可能性を考えて分析する。
テクニカル分析は、短期の値動きの分析で利用されることが多い手法です。短期投資での銘柄の選定や売買タイミングの判断によく利用されます。
テクニカル分析は主に「トレンド分析」と「オシレーター分析」の2種類に分けられます。トレンド分析とオシレーター分析の比較が次の表です。
トレンド分析とオシレーター分析の比較
トレンド分析 | オシレーター分析 | |
---|---|---|
説明 | 株価の「上昇トレンド」と「下降トレンド」を分析する | 株の「売られすぎ」や「買われすぎ」を分析する |
テクニカル指標 | ・移動平均線 ・ボリンジャーバンド ・一目均衡表 ・MACD など |
・RSI ・ストキャスティクス ・RCI ・サイコロジカル・ライン など |
テクニカル指標は数多くありますが、すべてを利用する必要はなく、いくつかを選んで使います。
トレンド分析では上昇トレンドか下降トレンドかを分析し、オシレーター分析では売られすぎか買われすぎかを分析します。
・ファンダメンタル分析……財務状況や業績などから企業の本質的価値を分析する
ファンダメンタル分析(ファンダメンタルズ分析)とは?
財務状況や業績のデータから、株式の市場価格と企業の本質的価値のギャップをもとに、将来の株価への影響を分析する方法。株式の市場価格が企業の本質的価値に対して割安と判断すれば、株を購入して株価の上昇を期待する。
企業の本質的価値が株価に反映されるまでに期間を要することがあり、ファンダメンタル分析は中長期での株式投資によく利用されるといえます。
ファンダメンタル分析に使用される代表的な指標には次のものがあります。
ファンダメンタル分析で利用される代表的な指標
指標 | 説明 |
---|---|
PER(株価収益率) | 株価が「1株あたり純利益」の何倍かを表す |
PBR(株価純資産倍率) | 株価が「1株あたり純利益」の何倍かを表す |
ROE(自己資本利益率) | 株主が拠出した自己資本でどれだけの利益を得たかを表す |
ファンダメンタル分析は、企業の財務状況や業績のデータをもとに長期的な視点で企業を分析します。
ファンダメンタル分析のメリットは、中長期での投資に適しているため、短期的な値動きに翻弄されなくなることです。
デメリットは、企業の本質的価値が株価に反映されるのに期間を要する可能性が高いことです。仮に分析結果が正しくない状態で投資すると、中長期で不適切な投資に資金が拘束されることになります。
判断方法2,専門家の助言を有効に利用する
株式投資では、投資の助言をしてくれる専門家の情報を参考にするのも良いでしょう。
たとえば証券会社からのメルマガなどによる銘柄分析を伴う銘柄紹介などがあります。証券会社のアナリストなどによる銘柄紹介は、企業を様々な視点から分析して、なぜその銘柄を紹介するのかを詳細に解説してくれます。それらの銘柄が紹介される理由を理解したうえで、銘柄選びの参考にしましょう。
注意点は、専門家の助言を鵜呑みにしないことです。鵜呑みにして投資した場合に失敗しても、自分の投資スキルの向上につながりません。
専門家の助言を投資判断の参考にするなら、銘柄の選定理由を十分に理解してから利用しましょう。
判断方法3,証券会社が提供するトレーディングツールを活用する
株式の売買タイミングの分析ではツールが重要です。使いやすさや分析に必要な機能を備えているかといった点を確認し、ツールを選びます。
証券会社が提供するツールのうち、ネット証券で人気のツール、HYPER SBI(SBI証券)、MARKETSPEED Ⅱ(楽天証券)、マネックストレーダー(マネックス証券)を紹介します。
ネット証券のおすすめツール
- HYPER SBI(SBI証券)
- MARKETSPEED Ⅱ(楽天証券)
- マネックストレーダー(マネックス証券)
・HYPER SBI(SBI証券)……無料化した高機能
HYPER SBIとは?
SBI証券のWindows PCで動作するトレーディングツール。2021年10月2日から無料で利用できるようになりました。高機能でスピード注文が特徴。
HYPER SBIには、テクニカル分析で必要なチャート機能やファンダメンタル分析に役立つニュースが充実しています。
チャート画面では、過去20年以上前の値動きの確認や、約40種類のチャートを利用できます。また、銘柄の値動き比較できる相対チャートも便利です。
ニュース画面では、ニュースがカテゴリに分類され、チェックしたい分野を探しやすいレイアウトを採用しています。
HYPER SBIは、豊富な情報量と機能、操作スピードにおいてトレーディングツールのなかでトップレベルといえます。
・MARKETSPEED Ⅱ(楽天証券)……57のテクニカル指標に対応する高機能ツール
MARKETSPEED Ⅱとは?
楽天証券のWindows PCで動くトレーディングツール。誰でも無料で利用できる。予め登録した条件に合致すると注文が自動発注されるアルゴ注文が特徴。
MARKETSPEED Ⅱは、豊富な機能を搭載し、さまざまなカスタマイズが可能な高機能トレーディングツールです。
テクニカル分析で利用するチャートは、移動・拡大・縮小などが直感的に操作でき、テクニカル指標は57種類に対応しています。テクニカル指標は5つまで重ねて表示でき、多様な分析に対応できます。
ファンダメンタル分析に役立つニュースや四季報などの情報は、個別銘柄画面のタブ切り替えで簡単に確認できるのも特徴です。
・マネックストレーダー(マネックス証券)……マルチチャートビューアでまとめて確認
マネックストレーダーとは?
マネックス証券のWindows PCで動作するトレーディングツールで、無料で利用できる。iPhoneとAndroid用には「マネックストレーダー株式スマートフォン」アプリがある。
マネックストレーダーの特徴は、銘柄の板情報・チャート・ニュースなどの様々な情報を一画面に表示できる「Trading One」画面や、板を見ながらワンクリックで注文できる「スピード注文」などです。
テクニカル分析で使用するチャートは、個別銘柄のチャート画面のほかに、分析する銘柄の複数のチャートをまとめてチェックできる「マルチチャートビューア」を利用できます。マルチチャートビューアは複数銘柄のチャート比較などで便利な機能です。
マネックストレーダーは、設定条件に合致した銘柄をリアルタイムで通知する「株式市況アラーム」などの機能もあり、豊富な機能とスピード注文が可能な高機能トレーディングツールです。
株式投資におけるリスクとは?リスクを軽減させる3つの方法を紹介
Q:株式投資のリスクを軽減するにはどうすれば良いですか?
A:株式投資のリスクを軽減するには、「長期投資」「時間分散」「資産分散」がポイントです。長期で、投資する時期を分散して、投資する資産(銘柄など)を分散することがリスク軽減につながります。
株式投資に限らず、投資はリスクを許容してリターンを期待するものです。
株式投資でのリスクには何があるのでしょうか。リスクを軽減する方法を含めて、株式投資のリスクを考えてみましょう。
キャピタルロスのリスク
株価は変動するものです。株を買った価格より高く売れば利益に、買った価格より安く売れば損失になります。株の値上がり益を「キャピタルゲイン」、値下がりによる損失を「キャピタルロス」といいます。
キャピタルロスのリスクは「価格変動リスク」とも呼ばれ株式投資では価格変動リスクの管理が大切です。
特に、企業の倒産や上場廃止の場合には、株価が0円近くまで下落することがあります。価格変動リスクを把握して、予めリスクを想定したうえで投資すべきです。
株式投資でリスクを軽減させる3つの方法
株式投資ではリスクの軽減が可能です。リスクを軽減する方法は「長期保有」「時間分散」「資産の分散」の3つです。
株式投資でリスクを軽減させる方法
- 長期保有
- 時間分散
- 資産の分散
・株の長期保有で価格変動を抑える
株価は短期の上昇と下落を繰り返す傾向があります。短期の価格変動リスクが高くても、長期で見れば短期の価格変動リスクの影響は限定的だと考えられます。
たとえば、2008年頃のリーマンショックで株価が30%程度下落しても、その後の10年以上の期間の値動きを確認すると、リーマンショックでの株価下落は限定的であったりします。株の長期保有は価格変動リスクを抑える効果を期待できるのです。
・時間分散での株の購入はリスク低減につながる
投資するタイミングによるリスクの低減も可能です。一度にまとめて株を買うことは、その後の株価下落を考えるとリスクが高い投資方法だといえます。
投資する時間(時期)を分散して、株を複数回に分けて購入することで、短期での価格変動リスクの分散効果を期待できます。
定期的に一定額を積み立てる積立投資は、時間分散によるリスク低減を期待できる投資方法のひとつです。
・資産の分散投資はリスク低減につながる
異なる資産(銘柄)に分散することもリスクを下げる方法のひとつです。資産の分散では、値動きの連動性が低い銘柄を組み合わせるのがポイントです。保有する各銘柄の株価が連動する傾向が低ければ、資産全体でのリスク低減につながります。
たとえば、ITと製造業の株価の連動性が低い場合に、製造業の部品調達問題により製造業の株価が下落しても、ITの株価への影響が限定される可能性があります。
株式投資ではさまざまな業種の銘柄を組み合わせて投資することが、リスク低減につながります。
株式投資にかかる費用
Q:まとまった資金がなくても株式投資できますか?
A:株式は、普通に投資する場合には数十万円の資金が必要なケースが多いですが、投資する方法によっては数万円、数千円、数百円などの少額から投資できます。株の少額投資なら「単元未満株」が便利です。単元未満株などの少額投資は後述しますので、是非その内容をチェックしてください。
株式投資に必要な費用には、株式の購入費用と取引手数料があります。具体的にどれくらいの資金があれば株式投資できるのでしょうか。
株式の購入費用……数百円程度の少額から
株式の購入に必要な金額は株価と数量で決まります。国内株式の通常の取引は単元(100株)単位で行われます。証券会社によっては、単元未満で売買できる株式累積投資や単元未満株の取引が可能です。
通常の単元単位での取引と株式累積投資・単元未満株の場合の、株式購入に必要な資金額を紹介します。
・単元単位の取引を始める際に必要な目安額は10~30万円程度
国内株式の単元単位での取引に必要な通常の費用は、株価×100株です。
国内企業の株価は数十円から数万円程度と幅広いです。株式投資を始めるなら、株価が低めの銘柄を選んだほうが低リスクの投資になります。
比較的投資しやすい大企業のなかにも、株価が1,000円未満の企業があります。
株価1,000円未満の大企業の例
銘柄 | 株価(2021年12月30日終値) |
---|---|
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> | 624.9円 |
Zホールディングス<4689> | 667.4円 |
日本郵政<6178> | 896.8円 |
株価千円未満の100株は10万円未満ですので、10万円あれば投資を始めやすいです。30万円あれば、投資できる大企業の選択肢が広がります。
・株式累積投資は1万円から!単元未満株なら数百円程度から
株式累積投資(るいとう)とは?
積立投資の一種で、毎月定額で株式を購入するサービス。毎月1万円以上1,000単位で1銘柄を継続的に購入する。
株式累積投資など、少額から株式を積立・スポット購入できるサービスには次のものがあります。
株式少額投資一覧
少額投資方法 | 証券会社 | 最低投資金額 | 購入方法 |
---|---|---|---|
株式累積投資 | 野村證券 など |
1万円/月 | 積立 |
プレミアム積立 (プチ株) |
auカブコム証券 | 500円/月 | 積立 |
キンカブ | SMBC日興証券 | 100円 | 積立・スポット購入 |
単元未満株 | SBIネオモバイル証券 SBI証券 マネックス証券 auカブコム証券 LINE証券 など |
銘柄による (1株からの投資が可能) |
スポット購入 |
※野村證券、auカブコム証券、SMBC日興証券、SBIネオモバイル証券、SBI証券、マネックス証券、LINE証券の公式サイトを参照し筆者作成、2021年12月28日時点
株式累積投資は1株数万円の株でも月々1万円から積立できます。
プレミアム積立(プチ株)は金額指定で月500円から株を積立でき、キンカブは金額または株数指定で株の積立・スポット購入が100円からできます。
単元未満株とは?
単元(100株)に満たない株数で取引できるサービス。一般的には1株から取引でき、1株数百円の株なら数百円からの株式投資が可能。
単元未満株の呼び方は証券会社によって異なります。S株(SBI証券、SBIネオモバイル証券)、ワン株(マネックス証券)、プチ株(auカブコム証券)、いちかぶ(LINE証券)などと呼ばれます。
また、単元未満株を「ミニ株」と呼ぶことがあります。それに近い名称に10株単位で取引できる「株式ミニ投資」がありますが、SMBC日興証券では2022年に終了予定です。
株式の取引手数料……証券会社によって違う
取引手数料は、国内株の現物取引(単元単位)、株式累積投資、単元未満株などで異なります。
国内株の現物取引手数料は、証券会社によりプラン・コースを選択できることが多く、その選択により手数料が変わります。
初心者が利用しやすいと考えられるプラン・コースを選択した場合の手数料を次に表します。
国内株の現物取引手数料(初心者が利用しやすい想定プラン・コースを仮定)
証券会社 | プラン・コース | 取引金額別の現物取引手数料(税込) | |||
---|---|---|---|---|---|
10万円 | 20万円 | 50万円 | 100万円 | ||
野村證券 | オンライン専用支店 | 152円 | 330円 | 524円 | 1,048円 |
SMBC日興証券 | ダイレクトコース | 137円 | 198円 | 440円 | 880円 |
LINE証券 | - | 99円 | 115円 | 275円 | 535円 |
SBI証券 | アクティブプラン | 0円*1 | |||
楽天証券 | いちにち定額コース | 0円*1 | |||
auカブコム証券 | 1日定額手数料 | 0円*1 | |||
松井証券 | - | 0円*1 | 1,100円*1 | ||
マネックス証券 | 一日定額手数料コース | 550円*1 |
※野村證券、SMBC日興証券、LINE証券、SBI証券、楽天証券、auカブコム証券、松井証券、マネックス証券の公式サイトを参照し筆者作成、2021年12月28日時点
*1 1日の約定代金合計で手数料が決まるプラン・コースを利用
SBI証券、楽天証券、auカブコム証券などの現物取引は、1日の約定代金合計100万円まで手数料無料で取引できるため、初心者で約定代金が高くない人におすすめです。
株式累積投資や単元未満株などの株式少額投資の手数料は次のとおりです。
株式少額投資の手数料
株式少額投資 | 証券会社 | 取引手数料(税込) |
---|---|---|
株式累積投資 | 野村證券 | ・約定代金の1.2100% |
プレミアム積立 (プチ株) |
auカブコム証券 | ・買付:無料 ・売却:約定代金の0.55%(最低52円) |
キンカブ | SMBC日興証券 | 100万円以下 ・買付:スプレッド0.0% ・売却:スプレッド0.5% 100万円超 ・買付:スプレッド1.0% ・売却:スプレッド1.0% |
単元未満株 | SBIネオモバイル証券 | ・月220円(月間の約定代金合計50万円まで) |
SBI証券 | ・買付:実質無料(キャッシュバック) ・売却:約定代金の0.55% |
|
マネックス証券 | ・買付:無料 ・売却:約定代金の0.55%(最低52円) |
|
auカブコム証券 | ・約定代金の0.55%(最低52円) | |
LINE証券 | ・前場、後場:スプレッド0.2%~0.5% ・時間外:スプレッド1.0% |
※野村證券、SMBC日興証券、LINE証券、SBI証券、楽天証券、auカブコム証券、松井証券、マネックス証券の公式サイトを参照し筆者作成、2021年12月28日時点
プレミアム積立、キンカブ、単元未満株は、買付手数料無料で売却手数料のみで取引できる証券会社が多く、株式の少額投資ならこれらを利用するのが良いでしょう。
単元未満株のなかでも、SBIネオモバイル証券は月間の約定代金合計50万円まで月220円で取引し放題です。少額の単元未満株の取引を繰り返すような人はお得に利用できるでしょう。
株式投資にかかる税金はどのくらい?節税方法はある?
Q:株式投資で得た所得に対して節税はできますか?
A:株式投資で節税するならNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)の利用が簡単です。NISA(一般NISA)では、株式などの投資で得た売買差益や配当金が非課税になります。NISAを利用するには、株式注文時の口座選択で「NISA」を選びます。NISAは非課税の投資期間や年間の投資上限額の決まりがありますので、その範囲で非課税のメリットを活用できます。
株式投資による所得は課税対象ですが節税する方法があります。株式投資での税率や節税方法を紹介します。
株式投資の所得には税金がかかる!確定申告が必要・不要の場合あり
株式投資での所得には売買差益と配当金があります。どちらの所得にも約20%が課税されます。
売買差益は申告分離課税の対象であり、特定口座(源泉徴収あり)を利用する場合には、証券会社の源泉徴収により確定申告が不要です。特定口座(源泉徴収なし)や一般口座を利用する場合には、原則として確定申告が必要です。
配当金は配当所得の対象であり、特定口座(源泉徴収あり・源泉徴収なし)と一般口座では源泉徴収されるため確定申告は不要です。
非課税制度NISAなら株式投資で節税できる
NISA(ニーサ)という非課税制度を利用して投資すれば、株式投資の売買差益と配当金が非課税です。
大人が対象のNISAには、一般NISA(通常のNISA)とつみたてNISAの2種類があり、株式を購入できるのは一般NISAです。
一般NISAは投資できる期間と金額が決まっています。投資期間が5年間で毎年120万円までの投資が非課税になります。120万円を5年続けて投資すると、合計600万円まで非課税での投資が可能です。
・一般NISAで投資できる株式
一般NISAでは国内株式のほかに外国株式にも投資できます。
一般NISAは年間の非課税投資枠が120万円のため、国内株式を100株単位で取引すると1株1万2,000円までの銘柄が投資対象です。
国内株式の多くは1株1万円以下のため、一部を除く多くの銘柄に一般NISAで投資できます。また、米国株は通常1株単位で取引できるので、ほとんどの米国株を一般NISAで売買できます。
知っておきたい株式投資の基本
Q:株式投資は何から学び始めれば良いですか?
A:株式投資の基礎として、株価が決まる仕組みや「時価総額」「株価指数」といったワード、日本や米国などの株式市場から学び始めるのがおすすめです。また、株式投資のトレンドとして「ESG投資」などの情報もおさえておきましょう。
株式投資で継続的に利益を得るには学びが必要だといえます。株式投資のための基礎知識から学びましょう。
「株価」「株式市場」「トレンド」の基礎知識を紹介します。
株価とは?株価が決まる仕組みと変動する理由
株価とは?
企業の株式1株あたりの価格。株価は銘柄によって数十円から数万円程度までと大きな差がある。
株価はさまざまな要因により刻々と変化します。株価に関して学んでいきましょう。
・株価が決まる仕組み
株価は買いと売りのバランスで決まります。
株価(株式の値段)は基本的に買いたい人(需要(じゅよう))と売りたい人(供給(きょうきゅう))のバランスによって決まります。
引用:日本取引所グループ
たとえば、株を買いたい人が指値1,000円の買い注文を出して、売りたい人が指値1,000円の売り注文を出せば、株価1,000円で取引が成立します。
・株価が変動する2つの要因
株価はさまざまな要因で変動しますが、主に「個別企業の要因」と「市場全体の要因」の2つに分けられます。
個別企業の要因は、業績、事業のニュース、事件、事故などです。たとえば企業の業績が良ければ株価が上昇し、業績が悪ければ株価が下落する傾向にあります。
市場全体の要因には、景気、外国為替、金利、政治、災害、国際情勢などがあります。
短期投資では日々の株価の変動が気になるものですが、長期投資では日々の株価の変動をあまり気にしない投資スタイルも可能です。損切りラインがあるなら、逆指値注文を出しておけばいいのです。
・時価総額とは?
時価総額とは?
「株価×発行済株式数」で計算され、企業の規模を表すデータとして広く認識されています。
時価総額は「時価総額ランキング」として企業規模のランキングなどに利用されています。
たとえば、株価5,000円の企業の発行済株式数が1億株の場合は、企業の時価総額は5,000億円です。
株価は日々変動し、時価総額も株価に合わせて変動します。
・株価指数とは?
株価指数は株式相場全体の状況を表しています。
株価指数とは、株式相場全体の状況を示すために、個々の株価を一定の計算方法で総合し、数値化したものです。日本の代表的な株価指数としては日経平均株価が有名です。
引用:岡三オンライン証券
有名な株価指数は日経平均株価の他に、TOPIX(東証株価指数)、ダウ平均株価、S&P500などがあります。
株価指数の計算方法には、主に「株価平均型」と「時価総額加重型」の2種類があります。
株価平均型と時価総額加重型の株価指数比較
株価平均型 | 時価総額加重型 | |
---|---|---|
計算方法 | 対象銘柄の株価の平均値 | 対象銘柄の時価総額合計を基準時の時価総額で割った値 |
特徴 | 株価が高い銘柄の影響が大きい | 時価総額が大きい銘柄の影響が大きい |
株価指数 | 日経平均株価、ダウ平均株価など | TOPIX、S&P500など |
株価平均型は対象銘柄の株価の平均なのに対して、時価総額加重型は対象銘柄の時価総額合計が基準時点からどれだけ変化しているかを表す値です。
たとえば、TOPIXは1968年1月4日の時価総額から計算された指数100からスタートし、現在までの時価総額の変化を表しています。2021年末のTOPIXは1992.33です。
2つの型の特徴として、株価平均型は株価が高い銘柄の影響が大きく、時価総額加重型は時価総額が大きい銘柄の影響が大きいです。そのため、日経平均株価とTOPIXの値動きは異なる場合があります。
前述の4つの株価指数を比較してみましょう。
日本と米国の代表的な株価指数比較
株価指数 | 種類 | 対象銘柄 | 銘柄数 | 影響が大きい銘柄 |
---|---|---|---|---|
日経平均株価 | 株価平均型 | 東証一部の選定された銘柄 | 225 | ファーストリテイリング 東京エレクトロン ソフトバンクグループ など |
TOPIX (東証株価指数) |
時価総額加重型 | 東証一部の全銘柄 | 2000以上 | トヨタ自動車 ソニーグループ キーエンス など |
ダウ平均株価 (ダウ工業株30種) |
株価平均型 | 米国経済を代表する銘柄 | 30 | ユナイテッド・ヘルス ホーム・デポ ゴールドマン・サックス など |
S&P500 | 時価総額加重型 | 米国の大型株 | 500 | マイクロソフト アップル アマゾン・ドット・コム など |
※楽天証券の公式サイトを参照し筆者作成
株価平均型の日経平均株価とダウ平均株価は、厳選された少なめの銘柄で構成されていますが、時価総額加重型のTOPIXとS&P500は、多くの大企業により構成されています。
それぞれの株価指数で影響が大きい銘柄も異なることが分かるでしょう。
証券取引所は1つの国にいくつある?
株式市場は1つの国に複数あるのが一般的です。日本には東証(東京証券取引所)や名証(名古屋証券取引所)などがあり、米国にはNYSE(ニューヨーク証券取引所)やNASDAQ(ナスダック証券取引所)などがあります。
さまざまな株式市場を紹介していきましょう。
・日本の株式市場……東証の上場会社数が圧倒的に多い
日本の株式市場には、東証(東京証券取引所)、名証(名古屋証券取引所)、札証(札幌証券取引所)、福証(福岡証券取引所)などがあります。
取引時間は午前の前場(ぜんば)と午後の後場(ごば)に分かれています。4証券取引所の取引時間は次の通りです。
取引時間
証券取引所 | 前場 取引時間 | 後場 取引時間 |
---|---|---|
東証 | 平日9:00~11:30 | 平日12:30~15:00 |
名証、札証、福証 | 平日9:00~11:30 | 平日12:30~15:30 |
※SBI証券の公式サイトを参照し筆者作成
東証の取引時間は9時から15時まで、1時間の昼休憩がありますので、取引時間は計5時間です。
名証、札証、福証は、開始時刻が東証と同じで後場の取引時間が30分長いです。昼休憩を挟んで計5時間半の取引時間があります。
4証券取引所の上場企業数は次の通りです。
証券取引所の上場会社数
証券取引所 | 上場会社数 | |
---|---|---|
東証 | 3,822社 | |
名証 | 全体 | 277社 |
うち単独上場 | 62社 | |
札証 | 全体 | 58社 |
うち単独上場 | 16社 | |
福証 | 全体 | 109社 |
うち単独上場 | 26社 |
※東証、名証、札証、福証の公式サイトを参照し筆者作成、2021年12月29日時点、福証のみ2021年11月時点
国内の証券取引では、東証の上場会社数が3,822社と圧倒的に多いことが分かります。
東証は日本の中心的な証券取引所であり、日本企業が上場する場合には東証に上場するのが一般的です。
名証には、市場第一部、市場第二部、セントレックスの3つがあり、セントレックスには新興企業が多い傾向です。主に東海地方の企業が上場しています。
札証には本則市場とアンビシャスの2つがあり、アンビシャスには新興企業や中小企業が多い傾向があります。主に北海道に拠点をもつ企業が上場しています。
福証には、本則市場とQ‐Boardの2つがあります。主に九州の企業が上場しています。
名証、札証、福証の上場企業は、その地域に根差したビジネスを行っている企業が多いといえます。
・東京証券取引所(東証)の市場区分……2022年に再編予定
東証以外の証券取引所がいつくかの市場に分かれているように、東証にも複数の市場があります。
東証の市場区分には「東証一部」「東証二部」「マザーズ」「JASDAQ」があります。
東証の市場区分(2022年4月3日までの予定)
市場区分 | 対象銘柄 | 銘柄数 | 銘柄の例 |
---|---|---|---|
東証一部 | 主に大企業 | 2,000社超 | トヨタ自動車 ソニーグループ NTT |
東証二部 | 主に中堅企業 | 500社弱 | ヨネックス ヱスビー はごろもフーズ |
マザーズ | 成長企業 | 400社超 | メルカリ フリー ウェルスナビ |
JASDAQ | 成長企業 低い上場基準 |
700社弱 | 東映アニメーション 日本マクドナルド ワークマン |
※日本取引所グループ公式サイトを参照して筆者作成、2021年12月29日時点
東証には、その他に「TOKYO PRO Market」というプロ投資家向けの市場もあります。
4つの市場区分のうち上場基準が最も高いのが東証一部で、東証二部、マザーズ、JASDAQの順に上場基準が低くなります。
東証一部は日本の大企業の多くが上場しており、東証一部上場企業は信用を得やすいメリットがあります。
東証二部、マザーズ、JASDAQは中堅企業や成長企業などが上場しており、東証一部よりも流動性(取引しやすさ)が低い銘柄が多く、銘柄の選択によってはハイリスク・ハイリターンの投資が可能です。
JASDAQは、さらに事業規模や実績がある「JASDAQスタンダード」と成長可能性に富む「JASDAQグロース」に分かれています。
なお、2022年には東証の市場が再編され、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に変更される予定です。
東証の新市場区分(2022年4月4日以降の予定)
市場区分 | 対象銘柄 |
---|---|
プライム | グローバルに投資対象として考えられる企業 |
スタンダード | 投資対象として十分な流動性とガバナンス水準をもつ企業 |
グロース | 成長企業 |
※日本取引所グループ公式サイトを参照して筆者作成、2021年12月29日時点
今まではマザーズとJASDAQの違いが分かりにくい状況でした。新市場区分では成長企業の多くが「グロース」に統合される見込みのため、新市場区分では市場の違いが分かりやすくなる見込みです。
市場再編に伴い、東証一部全銘柄対象の株価指数TOPIX(東証株価指数)は見直される予定です。
・世界の主要株式市場……欧米では夏時間があるところが多い
世界にはさまざまな証券取引所があります。特に株式時価総額が高いのが、アメリカ、中国、イギリス、フランス、日本の証券取引所です。
日本以外の世界の主な証券取引所は次の通りです。
世界の主な証券取引所
国 | 証券取引所 | 取引時間(日本時間) |
---|---|---|
アメリカ | NYSE(ニューヨーク証券取引所) | ・夏22:30~05:00 |
NASDAQ(ナスダック証券取引所) | ・冬23:30~06:00 | |
中国 | 香港証券取引所 | 前場10:30~13:00 後場14:00~17:00 |
上海証券取引所 | 前場10:30〜12:30 後場14:00〜15:57 |
|
イギリス | ロンドン証券取引所 | ・夏16:00〜00:30 ・冬17:00〜01:30 |
フランス | ユーロネクスト | ・夏16:00〜00:30 ・冬17:00〜01:30 |
欧米の証券取引所の取引時間は夏時間があり、昼休みがないのが特徴です。アジアの証券取引所には夏時間がなく、昼休みがあります。
・国内株の夜間取引ならネット証券がおすすめ
日本の東証などの4証券取引所は昼間のみ取引していますが、夜は取引できないというわけではありません。夜の場合はPTSという私設取引システムを利用して国内株の取引ができます。
PTS取引は、SBI証券、楽天証券、松井証券などで利用可能です。
PTS取引時間
証券会社 | PTS取引時間 |
---|---|
SBI証券 | 08:20~16:00 16:00~23:59 |
楽天証券 | 08:20~16:00 17:00~23:59 |
松井証券 | 08:20~15:30 17:30~23:59 |
※SBI証券、楽天証券、松井証券の公式サイトを参照し筆者作成
投資のトレンドは?
投資にはトレンドがあり、トレンドをうまく利用できれば利益につながります。「米国株」「ESG投資」「ロボアド投資」の3つのキーワードを紹介します。
投資のトレンド
- 米国株
- ESG投資
- ロボアド投資
・米国株……取引できる証券会社が増加中
世界一のアメリカ経済は成長を続けており、世界のリーディング企業が多いことから米国株は投資に適しているといえます。
前述のアメリカの2つの証券取引所「NYSE」「NASDAQ」の特徴は次の通りです。
アメリカの主な証券取引所
証券取引所 | 特徴 | 上場企業の例 |
---|---|---|
NYSE (ニューヨーク証券取引所) |
世界最大の証券取引所 歴史がある大企業が上場 |
JPモルガン・チェース ジョンソン&ジョンソン プロクター&ギャンブル |
NASDAQ (ナスダック証券取引所) |
新興企業向け ハイテク企業の多くが上場 |
アップル マイクロソフト アマゾン・ドット・コム |
米国株はSBI証券、楽天証券、マネックス証券などで取引できます。2022年には松井証券やauカブコム証券でも米国株の取引開始予定だと報道されています。
・ESG投資……日本でも広がりつつある注目の投資
最近よく耳にする「ESG投資」は株式投資で押さえておきたいトレンドです。
ESG投資とは?
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮して活動を行っている企業に投資すること
企業を取り巻く環境が多様化している中、将来にわたって成長を続けていく上で、取り組むべきものとして、環境、社会、企業統治の3つの大きな課題があります。
引用:PICTET
ESGとは、この環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の英語の頭文字をとったものです。
そしてESG投資は、上記の3つを考慮して投資を行うことです。
環境(再生可能エネルギーや脱炭素など)、社会(社会貢献やダイバーシティなど)、企業統治(経営の透明性や株主との対話など)に取り組む企業は、事業の社会性や成長の持続性などが高いと期待されています。
日本でもGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などでESG投資が広がりつつあります。
・ロボアド投資……成果報酬型も選べる
ロボアドバイザーを利用するロボアド投資は、初心者でも簡単にスタートできる投資方法です。
投資の知識がなくても、いくつかの質問に答えるだけで、その人に合ったポートフォリオ(資産の組み合わせ)で資産運用をしてくれます。
ロボアド投資は簡単に投資できるメリットがありますが、手数料が高めというデメリットがあります。
主なロボアド投資の手数料の比較は次の通りです。
主なロボアド投資の手数料比較
ロボアド投資 | 手数料(税込) |
---|---|
WealthNavi(ウェルスナビ) | 運用資産額の1.1% |
THEO | 運用資産額の0.715%〜1.10% |
SUSTEN(サステン) | 利益の1.1/6~1.1/10(成果報酬型) |
※WealthNavi、THEO、SUSTENの公式サイトを参照し筆者作成
WealthNaviとTHEOは運用資産額に対して手数料が発生するのに対し、SUSTENは成果報酬型であり過去最高益を出した月にのみ手数料の負担があります。
ロボアド投資のうち運用資産額に対して手数料が発生するサービスでは、市場が停滞して資産が増えない場合に、手数料による資産の目減りが想定されます。
SUSTENなら資産が増えた分にのみ手数料が発生するため、市場停滞時に手数料による資産の目減りはなさそうです。
さまざまな手数料のロボアド投資の選択肢が増えれば、ロボアド投資のさらなる盛り上がりを期待できるでしょう。
株式投資についてよくある質問
ネットと対面での取引の違いは何ですか?
ネットと対面の取引では、「情報収集」「注文方法」「スピード」「手数料」が異なります。
ネット取引では、パソコンやスマートフォンを利用して自分で投資情報を収集し、注文します。注文から取引まで人が介在しないために取引スピードが早く、割安な手数料で取引できます。
対面取引では、営業員から投資情報を得ることができ、店頭や電話で注文します。注文から取引までに人が介在するために取引に若干時間がかかり、手数料が割高な傾向です。
自分に合った取引方法を選択し、利用しやすい証券会社を選びましょう。
口座開設に必要な書類はありますか?
口座開設の際には、マイナンバー確認書類と本人確認書類が必要です。
マイナンバー確認書類は、マイナンバーカードやマイナンバーの通知カードなどです。
本人確認書類は、運転免許証、住民基本台帳カード、各種健康保険証、パスポートが該当します。
必要な書類は証券会社によって異なることがありますので、証券会社の公式サイトなどによる確認をおすすめします。
現物取引と信用取引とは何ですか?
現物取引とは、保有する資金の範囲での株式取引であり、株式の通常の取引です。売却時は、保有する株式のなかから売ります。
信用取引とは、保証金を担保として預けて、保証金の数倍の金額で株式を取引できる制度です。売却時は、保有しない株式を売る「空売り」が可能です。
現物取引と信用取引では、資金に対して取引できる金額と空売りの可否が異なります。
株式投資におけるリスクについて教えてください。
株式投資のリスクは主に「価格変動リスク」「信用リスク」の2つです。
価格変動リスクとは、購入時より売却時の金額が低くなるリスクです。信用リスクとは、投資した企業が経営破綻などにより、株式の価値が低下するか価値がなくなるリスクです。
外国株式の場合には、為替レートの変動により株式の価値が変動する「為替変動リスク」と国の政治・経済などの要因で株式の価値が変動する「カントリーリスク」の2つのリスクが追加されます。
株を選ぶ時には何を判断基準にすればよいですか?
株式を選ぶ際に銘柄を分析して、通常は分析した結果から判断基準を決めます。
分析する方法は、主に「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」の2つがあります。テクニカル分析とファンダメンタル分析での判断基準は異なりますので、分析して自分なりの判断基準を決めましょう。
専門家の銘柄情報を参考にできますが、判断基準は自分で決め、投資判断は自分で責任をもって行うことをおすすめします。
株式投資ではリスク管理が重要
株式投資は、数多い投資方法のなかでもおすすめの投資方法です。株式は企業活動から生まれた価値を利益として得ることができます。資産を増やす以外に株主優待による贈り物も受け取れます。企業からのプレゼントを楽しみながら資産形成ができるのです。
株式投資で大切なことはリスクの管理です。リスクを適切に保つことで、投資に失敗しても損失を抑えることが可能です。株式投資をこれから始める人も、すでに投資している人も、楽しく学びながら社会貢献につながる株式投資を進めましょう。