新しい家族の一員として犬を迎え入れようとしている人もいるだろう。犬を飼う際に、注意しておかなければいけないのが、生涯どのくらいの費用がかかるのかということ。購入費やエサ代はもちろん、医療費などさまざまなコストを想定しておかなければならない。
犬が飼われる理由は「癒し・安らぎ」
犬は飼い主に従順で飼いやすく、初めて迎えるペットとしても人気だ。ペットフード協会が20~70代の人を対象に行った調査によると、2017年10月時点における犬の飼育頭数は全国で約892万頭。2013年に記録した1,026万5千頭以降減少傾向にあるものの、依然として人気が高い。
同調査では「飼育のきっかけ」も聞いており、「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」(32.6%)、「家族や夫婦のコミュニケーションに役立つと思ったから」(16.3%)という理由が多かった。家族の一員となる愛犬だが、果たして犬の生涯にかかる費用はどのくらいなのか?人気のチワワや柴犬など、小・中型犬をサンプルに見ていこう。
購入時に必要となる初期費用は約15万円
まずは初期費用。犬の購入費用以外にも必要な経費がある。
犬の販売価格 約10万円
犬種や血統の有無、ペットショップやオーナーの方針などにより犬の販売価格は変動する。安い犬種は数万円から、高いものは40~50万円と価格設定は幅広い。最低でも10万円ほどは想定しておく必要があるだろう。
登録費 3,000円
購入時、狂犬病予防法に基づき飼い犬を市区町村に登録しなければならない。これは地域によって異なるが一般的に3,000円前後で行うことが可能だ。
初期医療費 1万5,000円~3万円
厚生労働省が義務付けている狂犬病の予防接種は、3,000円で接種可能だ。また、飼い犬の妊娠を望まないのであれば避妊や去勢手術を行うことも考えておきたい。施術にはでおおよそ1万5,000~3万円ほど(小型犬~中型犬の場合)必要となる。
グッズ類 2万円
飼育環境を整えるために、犬のケージやキャリーバッグ、トイレやリード等も必要となる。少なくとも2万円はかかると想定しておくべきだろう。
上記を踏まえると、犬の購入時にかかる初期費用は少なく見積もって約15万円。初期費用=犬の販売価格ではないということを理解しておきたい。
日々の生活で継続的に必要となる年間費用は年11万円ほど
次に、愛犬と日々過ごすのに必要になってくる年間のコストを確認しよう。
エサ代 3万円
ペットフード協会の「平成29年全国犬猫飼育実態調査」では、犬1頭にかかる市販フード支出額の月額の平均は2,750円。年間で考えると総額3万円ほどとなる。
医療費 3~6万円
東京都福祉保健局発表の「東京都における犬及び猫の飼育実態調査の概要(平成23年度)」によると、犬の飼育において1年間にかかった医療費総額で最も多かった回答は3~6万円。任意ではあるが感染予防対策として年1回フィラリア予防薬、混合ワクチン予防接種も必要となってくる。その他、定期健診、ケガや病気になった場合の治療費、その治療費をカバーするペット保険も考えておく必要があるだろう。
トリミング代 5~6万円
犬種によってはトリミングが必要となる。犬種にもよるが月1回4,000~6,000円ほど、年間でおおよそ5~6万円かかることを想定しておきたい。
上記を踏まえ、年間総額を見積もると必要経費は11万円ほど。ペットフード協会の調査によれば犬の平均寿命は14.19歳であり、計算すると生涯必要経費は約160万円となる。だが、これは最低限の経費を算出したものであり、ペットホテルの利用や突然の病気による医療費など臨時費用が加わる可能性もあるということを頭に入れておきたい。ちなみに猫の生涯費用は約110万円(平均寿命15.33才)で、犬は猫の3~4割ほど多く費用がかかることが分かる。
必要総額は約175万円――飼う前に経済面も考慮しよう
初期費用と継続費用を合わせると、犬を飼い育てるための必要総額はおおよそ175万円。犬を家族に迎え入れることで、癒しやたくさんの喜びを感じることができるだろう。しかし、飼い育てるにはそれなりの金額が必要となる。尊い命の生涯に責任を持つことが飼い主としての義務だ。経済的に問題がないのか、しっかり判断することが求められるだろう。
文・万代未希(ファイナンシャル・プランナー)
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