中国工業と情報化部がアルゴリズムを利用したネット情報サービスへの新たな管理規定を公開。今年3月から施行する。

同規定は去年8月に政府によって草案が公開され、その後この草案に対し世間の意見を募集。今回公開された最終案では、罰金額の引き上げや、ネットニュース関連の内容追加および修正が行われた。

主な内容は以下の通り:
(チャイトピより部分翻訳、正確な内容は中国語原文をご参考下さい:)


第二条:本規定の適用対象は、利用者の閲覧履歴や嗜好などに基づいてコンテンツや商品をレコメンドするなどのアルゴリズムである

第八条:サービス提供者が消費者を中毒にし、過度な消費を誘導するメカニズムの設定を禁ずる

第九条:サービス提供者は、情報のセキュリティー管理を強化し、違法や、望ましくない情報を識別できるシステムを構築。違法な情報を発見次第、削除するなど処置を取り、拡散を阻止しなければならない

第十一条:サービス提供者はサービス画面の管理を強化し、トップページのランキンングやトレンドなど、社会の主流な価値観に合う情報を提供しなければならない

第十三条:ネットニュース関連のアルゴリズムサービス提供者は、ネットニュースサービスの免許を取得しなければならない。国が出した合法的なニュースメディア会社以外のニュースの転載を禁ずる

第十四条:サービス提供者がアルゴリズムを利用してトレンドやランキングを操作し、世論を誘導することを禁ずる

第十五条:サービス提供者がアルゴリズムを利用して競合他社のサービスを制限、妨害し、独占や不正競争を行うことを禁ずる

第十七条:サービス提供者は、アルゴリズムに基づくレコメンド機能を簡単に無効にする選択肢を消費者に与えなければならない

第二十一条:アルゴリズムを利用して消費者に商品を販売する場合、消費者の嗜好や習慣に基づき、取引価格を含む取引条件において不当に差をつける等の違法行為を禁ずる

第二十四条:世論に影響を及ぼす可能性のあるサービス提供者は、サービス提供日から10営業日以内に、サービス提供者名、サービス形態、応用分野、アルゴリズム種類、アルゴリズム自己評価報告などの情報を記入し、申告手続きを行わなければならない

第三十一条:関連規定に違反した場合、関連部門が警告し、修正を命じる。修正を拒む、もしくは法律違反の経緯が重大な場合、1万元以上10万元(約18万〜182万円)以下の罰金を科すものとする。犯罪に該当する場合は、法律に基づき刑事責任を追及する。

第三十五条:本規定は2022年3月1日から施行


チャイトピ!編集部より

消費者の嗜好や習慣など、個人の特徴に合わせて、商品やサービスをレコメンドするアルゴリズムはネット事業者によって世界で活用されている。しかし、情報統制を強化する中国では、こういったアルゴリズムも規制強化の一環となったようだ。

特に第十三条は、ネットニュース関連のアルゴリズムの提供者が転載可能な情報源メディアは政府が規定したメディアに限るとしている。さらに、トレンドやランキングに関しては主流な価値観に合う情報の提供、アルゴリズムを利用した世論の誘導禁止など、一見矛盾しているように見える規定からも中国政府の情報統制をさらに強化したいという意図が感じられる。

また、中国ではECサイトが閲覧や購入記録による「猜你喜欢(こんな商品もおすすめ)」サービスを提供、ショート動画アプリが閲覧履歴を分析した上で動画コンテンツを推奨するなど、アルゴリズムによる取引条件において不当に差をつけるや依存症への助長が問題視されていた。そのため、消費者権利保護の角度から見ると、今後アルゴリズムによるコンテンツや商品推奨は消費者の同意が必要となってくるのかもしれない

提供・チャイトピ!

【関連記事】
【2020年】中国EC業界を振り返る【三大トレンド】
中国Z世代の消費習慣、20代前半の女性3人に聞いてみた
中国企業2020年Q1決算まとめ(アリババ、テンセント、バイドゥ含)
2020年中国ビジネストレンド10大ニュース
利用有料化に批判殺到、中国配達ロッカー普及の課題