全体的にコロっとしたデザインは香ばしい焼き立てのパンを思わせてくれます。美人顔ではないけど、可愛らしいというのが初めてパラブーツ(シャンボードでしたが)見かけた印象でした。実際足入れみるとわかるのですが、初めてなのに馴染みがいい事に驚きます。

デニムとの相性は鉄板。「パラブーツ」ユーザビリティに根ざしたフレンチトラッド
(画像=coglife.exblog.jp/24278348/、『KASHI KARI』より引用)

ジャケットまたはきれい目のアウターを羽織って、履きこなれたデニム。そしてシャンボードの紐をきりりと結ぶ。パラブーツを上手く取り入れるだけでフレンチトラッドが味わえます。それだけで楽しい1日が約束されます。フランスの至宝と言われるパラブーツの魅力を探ってみました。

目次
コーディネイトは自由自在。機能性が辿りついた、愛らしいデザイン。
100年余の歴史。着実な歩みが現在につながっている。

コーディネイトは自由自在。機能性が辿りついた、愛らしいデザイン。

デニムとの相性は鉄板。「パラブーツ」ユーザビリティに根ざしたフレンチトラッド
(画像=引用:item.rakuten.co.jp/、『KASHI KARI』より引用)

パラブーツというと、シャンボードに代表されるラバーソールを備えたモデルが有名です。しかし公式サイトを参照していただくと分かるのですが、レザーソールで仕上げたエレガントなコレクションも多くラインアップされています。

パラブーツの真骨頂はなんといってもカジュアル寄りのコレクション。使い手の立場になり、構造、縫製、素材を吟味する。後述するソールに至っては自社で作ってしまうほどの熱の入れようです。そうした姿勢が認められ、フランス軍のミリタリーシューズとして採用されるという実績さえ得るほどです。

デニムとの相性は鉄板。「パラブーツ」ユーザビリティに根ざしたフレンチトラッド
(画像=porco16.blog67.fc2.com/blog-entry-163.html、『KASHI KARI』より引用)

かと言って機能性だけを重視せず、その堅牢な印象さえ愛らしいデザインに落とし込むあたりはフランス人ならではの遊びココロが反映されているようです。日本では細身のデニムをロールアップし、シャンボートまたはアヴィニオンでボリュームを加えるというスタイルが人気です、多くの雑誌で取り上げらました。

野暮ったさがあるのに、上品な仕上がりを与えてくれます。そんなところがフランス靴ならではの懐の深さ、パラブーツならではの長い歴史や製法への厳しさから生まれるのかも知れません。かしこまったスタイル以外なら、様々なコーディネイトに応えてくれるはずです。

雨だけじゃない。雪にだって強い素材、リスレザーを採用。

デニムとの相性は鉄板。「パラブーツ」ユーザビリティに根ざしたフレンチトラッド
(画像=引用:doo-bop.com/、『KASHI KARI』より引用)

現在のモデルでは素材使いも多様ですが、シャンボートやアヴィニオンのオリジナルは、オイル(専用のグリース)を染み込ませたリスレザーという素材を使っています。そのためとても撥水性に優れており、雨はもちろん雪にさえ耐久性があるのです。というものパラブーツは登山靴やミリタリーシューズとしての機能性を高める必要があったからなのです。

様々な悪条件や悪天候の中でも水がしみ込んでこない、快適な状態をキープする必要がありました。素材のほかにも製法や縫製技術、さらにはソールの工夫など多くの要素を極めることでパラブーツならでは、唯一の存在になれたのです。

デニムとの相性は鉄板。「パラブーツ」ユーザビリティに根ざしたフレンチトラッド
(画像=miura-na-hibi.com/paraboot-grease-shoecare/、『KASHI KARI』より引用)

着用していると、白い粉が吹き出てくるようになります。これもリスレザーの特徴なのですが、ブラッシングするか乾布で拭き取れば上品なツヤが浮き出てきます。条件にもよりますが、半年に1度程度は専用グリースで油分補給が必要です。それだけのメンテナンスで信頼度の高い足元が出来上がります。

タフで頼もしい、寡黙なソール

パラブーツはリスレザーを独自開発するだけでなく、ソールを自ら製造する世界で唯一のシューズブランドです。

きっかけはアメリカ旅行でした。1926年、創業者レミー・リシャールは英語も話せないままアメリカ合衆国に向かいました。そして当時アメリカ人が履いていたラバーブーツに目を付けます。ラテックス、またはゴムと呼ばれる全く新しい素材を使うことで登山靴や軍靴としての耐久性が高まると確信するのです。

さっそくブラジルの港から出荷される良質の天然ラテックスを買い付け、ソールの自社生産を始めました。この港の名前が『パラ』といい、それにブーツを組み合わせることで「パラブーツ」という名前になったと言わています。天然ラテックスを100%使用し、靴の特性に合わせて製造方法を変えるというソールは進化を重ね、現在では20種類ほどあるようです。

デニムとの相性は鉄板。「パラブーツ」ユーザビリティに根ざしたフレンチトラッド
(画像=1loft.blogspot.jp/2016/06/blog-post.html、『KASHI KARI』より引用)

定番の「シャンボード」は「パラテックス」と呼ばれる厚さ1センチのソールを採用。底にはRとPのレリーフが刻まれています。構造的にも工夫があり、内部に空気を閉じ込める事でグリップ力とクッション性がを保っています。やや硬い印象があるかも知れません。しかしその個性が、とても頼りになるのです。

熟練の手作業で仕上げる「ノルヴェイジャン・ウェルト製法」

デニムとの相性は鉄板。「パラブーツ」ユーザビリティに根ざしたフレンチトラッド
(画像=引用:paraboot.com/、『KASHI KARI』より引用)

コバとソールをつなぐ白いステッチが独特の表情を見せてくれる、シャンボードやアヴィニヨンは「ノルヴェイジャン・ウェルト製法」という相当に面倒な製法で作られています。何層にも重なるソール部分や甲部分をそれぞれ細い帯状に縫い上げます。

さらに両者の継ぎ目を埋めるように、外側に縫い付けます。そのもっとも外側のステッチが素朴に並び、パラブーツならではの印象につながるのです。そうした何層も縫い重ねることで完璧に近い防水効果が得られるのです。

この作業はフランス本社工場で、機械は使うものの手作業で仕上げられます。手仕事ならではのさじ加減で、革やソールの状態を見極めて作業を進めます。素材・ソール選び・手仕事による縫製。どれもパラブーツには欠かせないものなのです。

100年余の歴史。着実な歩みが現在につながっている。

デニムとの相性は鉄板。「パラブーツ」ユーザビリティに根ざしたフレンチトラッド
(画像=pasapas-blog.com/history/、『KASHI KARI』より引用)

1908年にレミー・リシャール・ポンヴェールがフランスで創業。登山家たちが集まるフランス東部の町イゾーに小さな靴工房を開きます。当時は主に登山靴を製作します。その後アメリカに渡った経緯は前述のとおり、ラバーソールの開発、リスレザーなどの素材作り、縫製など現在のコレクションに見られる意匠が整っていきます。

登山靴をルーツとするため堅牢な作りが特徴ですが、それさえも味わいに変えてしまうためでしょうか、いつしか『フランスの至宝』まで称賛されるようになりました。1945年にはチロリアンシューズのミカエルが大ヒット、1960年代にはアウトドア靴(ガリビエール)が評判になり、世界的にその名が広がることになりました。

フランス以外の直営店は、1990年代に、アンヴェール(ベルギー)、2001年に東京(日本)、2003年に、ブリュクセル(ベルギー)、2012年に北京と三亜(中国)に進出しています。さらに日本の直営店は、現在青山・大阪・銀座・北海道に広がっています。