サムスン電子の新型アプリケーションプロセッサー(AP)「エクシノス(Exynos)2200」がベールを脱ぐ。エクシノス2200はAMDと協力して先端4ナノ(1nmは10億分の1m)ファウンドリ(半導体委託生産)工程で作られており、これまで弱点とされていたグラフィック部分を大きく改善したと予想される。サムスン電子は、「エクシノス2200」発売を足がかりに無線事業部の競争力を高めると同時に、ファウンドリ業界1位のTSMCとの超微細工程技術競争にもさらに拍車をかける見通しだ。韓国メディア「e大韓経済」が報じた。(写真:サムスン電子)

10日、業界によると、サムスン電子は11日(米国現地時間)に「エクシノス2200」を公開する。

「エクシノス2200」は、今年に発売される「Galaxy S22」などに搭載される見通しだ。特にAMDと連携して作ったグラフィックス処理装置(GPU)を搭載するだけに、グラフィック部分において性能が大きく改善されたものと期待される。

サムスン電子が昨年に発売した「エクシノス2100」は、Galaxy S21などに搭載されたが、発熱をはじめ、品質を巡る議論が浮き彫りになった。サムスン電子のモバイルAP GPUは、これまでクアルコムのGPUアドレノと比較して電力消耗が高く性能が劣るという指摘を受けてきたが、「エクシノス2200」はこうした問題点を大きく改善したものとみられる。

海外のIT専門メディアなどは、今回公開されるエクシノス2200 GPUの名称は「エクスクリップス920」と推定している。HDR、レー・トレーシング機能などを提供しているという。

エクシノス2200はサムスン電子のファウンドリ4ナノ工程で生産され、前作より性能が30%ほど改善されたという。あわせて英国半導体設計会社ARMのアーキテクチャを使用する。業界では中央処理装置(CPU)はARMコアテックス-X2コア1個、コアテックス-A710コア3個、コアテックス-A510コア4個で構成されているという観測が出ている。

最近流出した情報によると、CPU性能は5%、GPU性能は17%向上し、人工知能(AI)演算を担当している神経網処理装置(NPU)は従来に比べて性能が116%高くなったという。

サムスン電子はメモリ依存度を減らし、非メモリ半導体の競争力強化に力を入れる中で、「エクシノス2200」の興行がこれからAP市場で主導権を握る契機になるものとみられる。市場調査会社のカウンターポイントリサーチによると、サムスン電子の今年第3四半期のグローバルAP市場シェアは5%に、シェアは昨年の半分に低下した。

4ナノ工程を採用したエクシノス2200公開をきっかけに、サムスン電子とTSMCのファウンドリ超微細工程競争も本格化する見通しだ。

各製品がどのような性能を発揮するかによって、今後3ナノ以下の工程競争で立場が変わる可能性がある。現在5ナノ未満の超微細工程でモバイルAPを量産できる技術を持っているのはサムスン電子とTSMCだけだ。

TSMCはアップルが今年に発売するiPhone14(仮称)のAP「A16バイオニック(仮称)」も4ナノ工程で生産する。当初アップルは3ナノ工程でA16を生産することを望んだが、TSMCの3ナノ工程への転換が遅れたため、4ナノ工程が採用された。

これに先立ち昨年10月、中低価格型APを開発していた台湾メディアテックもTSMCの4ナノ工程を世界で初めて採用した主力スマートフォン用モバイルAP「ディメンシティ9000(Dimensity 9000)」を公開し、プレミアムAP市場に参入した。

サムスン電子は3ナノ以下の超微細工程で今年からTSMCの追撃に拍車をかけるという抱負だ。ファウンドリ部門で3ナノ工程から次世代「GAA(Gate-All-Around)FET」工程を前面に出し、技術格差を縮めるという計画だ。これは既存のフィンフェット(FinFET)より効率性などで進化した工程で、TSMCは3ナノにGAAを採用しないという。

サムスン電子は昨年10月にオンラインで開催された「サムスンファウンドリフォーラム2021」イベントで、今年上半期にGAA技術を採用した3ナノ第1世代、2023年に3ナノ第2世代の量産を始めると公開した。7ナノと5ナノ量産で毎回TSMCに押されたサムスン電子がついに3ナノでは世界初になる可能性が高くなった。

キウム証券のパク・ユアク研究員は「エクシノス2200の歩留まりが大きく改善され、Galaxy S22の海外販売製品に多く搭載されると予想される」とし「今後2~3年間、サムスン電子非メモリ部門の業績成長が続く見通し」と述べた。

提供元・コリア・エレクトロニクス

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