製造機器の進歩のよる製造コストの削減、越境ECを基盤にした新しいビジネスモデルの拡大などの影響により、新興ブランドや名門の復活が相次いでいる近年の時計市場。ここ最近は東南アジアやアメリカからも新興ブランドが続々と登場しているが、そんな新興勢力のなかでも、面白い動きを見せているのがフランスの時計ブランドだ。
時計王国スイスに隣接する地理的優位性もあってか、この十年ほどの期間で、時計産業が急激に拡大。バルチック、マーチ エルエー ビー、レゼルボアール、ヘギッド、フーガなど、デザイン性と品質を兼ね備えた新興ブランドが次々と誕生し、時計好きからも注目を集めている。
》往年の名作をベースにしたヘリテージコレクションで時計好きを魅了

今回クローズアップしたYEMA(イエマ)も、そんなフレンチブランドのひとつだ。1960年代にスポーツウオッチの分野でアイコンモデルを輩出した実力派だが、80年代以降はセイコーの傘下に入るなど紆余曲折を経て低迷期に突入。迷走を続けた後、2004年に再びフランス資本のブランドとなり、現在は過去の名作を再現した復刻コレクションを展開している。
新興ブランドの躍進で群雄割拠の様相を呈しているフランス時計界にあって、老舗だからこそできる独自のアプローチにより、時計好きからも支持を集めているのが、同社の大きな魅力と言えるだろう。今回は、そんなイエマのコレクションから、フランス軍とのコラボレートモデルからクラウドファンディングで1億円超えの支援金を集めた話題作まで、編集部が注目する三つの最新モデルを紹介していく。
YEMA(イエマ)
フライグラフ フレンチエア&スペースフォースUTCブルー
フランス航空宇宙軍とのコラボレーションにより誕生したこの軍用グレードの戦闘機パイロット用のクロノグラフ。セコンドタイムゾーン表示用にUTC回転ベゼルを搭載しており、二つの異なるタイムゾーンを同時に表示させることができる。ムーヴメントはセイコーインスツルのメカクォーツ、Cal.VK64を搭載。戦闘機コックピット内部に見られる計器をモチーフにしたスクエアのインダイアルがミリタリー感と程よい個性を主張している。日本入荷は未定。
