ドイツのミュンヘンを拠点とする自動車メーカー「BMW」が、ボタン1つで車体の色を変化させられる自動車「BMW iX Flow」を発表しました。
この新しい試作車は、1月5日にアメリカのラスベガスで開催された大規模なテクノロジー系イベント「CES2022」に登場。
車体の色が黒から白へ、また白から黒へ瞬時に変化する様子は、参加者たちを驚かせました。
その日の気分でカラーを変更できる新しいBMWの販売に期待が集まっています。
電子書籍リーダーの技術を利用したBMW
試作車BMW iX Flowは、一見通常のBMWですが、ボタン1つで瞬時に外装の色が変化するという新しい特徴を備えています。
カラーバリエーションは白と黒以外にいくつかのグレーパターンがあるようで、その日の気分で変更可能。
白の下地に黒いラインを加えるなど、自分好みのパターンを選択できるでしょう。
この車体カラーの変化に利用されているのは、「Kindle」などの電子書籍リーダーに利用されている「E Ink」と呼ばれる電子インク技術です。
このE Inkは、人間の髪の毛とほぼ同じ厚さの無数のマイクロカプセルで構成されています。
そしてマイクロカプセルの中には、マイナスとプラスにそれぞれ帯電した白色と黒色の粒子が収められています。
そのため周囲の電界を調整することで、マイクロカプセル内のインク粒子を偏らせることが可能です。
こうした原理を利用して、電子書籍リーダーは文字を表示していますが、今回は車体の広範囲な外装の色を一瞬で変更しているのです。
しかもE Inkに電力が必要なのは「色を変化させるときだけ」です。
バックライトも必要としないため、非常にわずかなエネルギーでこの機能は利用できるのです。
またBMW社によると、車体カラーを季節に応じて変化させることで、さらなる省エネが期待できるとのこと。
例えば、夏には車体を白色にしてより多くの太陽光を反射させ、冬には黒色にして太陽光を吸収させます。
これにより車内を快適にするための冷暖房エネルギーを削減できるのです。
とはいえ、現段階ではいくつかの制限もあるようです。
例えばBMW iX Flowは温度変化に弱く、E Inkによる色の変化は気温0~50℃の間でのみ可能だと言われています。
さてBMW社によると、BMW iX Flowはまだ試作の段階であり、実際にいつ市販されるか決まっていません。
とはいえ将来的には内装にもE Inkが適用される可能性があり、開発は続くと考えられます。
BMWが好きな方は今後の進展に期待できるでしょう。
参考文献
BMW’s New Car Changes Color ‘With the Touch of a Button’
Magical exterior colour-change: The BMW iX Flow featuring E Ink.
提供元・ナゾロジー
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