東京都北区王子。JRと東京メトロが乗り入れる王子駅があり、近隣には都内屈指の桜の名所である「飛鳥山公園」があります。
最近は渋沢栄一で注目されていますね。近代日本の資本主義父ともいわれており、言わずと知れた新1万円札の顔。埼玉県深谷市で生まれ、その後人生の活動拠点として飛鳥山に居を構えました。王子製紙の工場や内外の賓客を招くなど公私ともこの地を愛し、亡くなるまでの生涯を王子で過ごしています。
今回はそんな王子の駅のすぐ近くにある音無親水公園をご紹介します。
王子駅の改札を抜けると、突然現れる「和の国」


王子駅の北口改札を出て左に向かうと、突然和の趣たっぷりの庭園世界が現れます。ここは「金沢か?」はたまた「京都の路地裏か?」と錯覚してしまいそうなほど。


ここは「音無親水公園」。北区のホームページによると、小平市の東部を水源として隅田川に注ぐ石神井川の旧流路として整備された公園とあります。また案内板によると古くから名所として知られており、広く親しまれてきた地のようです。安藤広重による錦絵など多くの資料にも残っています。

さて、それでは改札口を抜けてみましょう。1歩出た瞬間から江戸情緒たっぷりの光景。灯籠と堀があり、異世界迷い込んだかのような空間が待っています。欄干には当時を再現した絵もあります。かろうじて両際の店舗の看板が現実世界を認識させてくれる程度。

堀は、改札を背に左に大きく曲がっており、両側には店舗があるもののコーナーあたりから樹木が配置されています。

コーナーを曲がると、まさに庭園。この時期は水を張っていませんが、水車がその風情を醸し出しています。堀は降りることができます。水はなくとも枯れた山水情緒が都会の喧騒を遮断するように、ここが大都会であることを忘れさせてくれます。

石畳が整備されおり、要所に灯籠。歩を進めると堀にかかった橋があります。こちらで撮影する人もいて、なかなかのフォトスポットです。

親水公園は、「日本の都市公園100選」に選ばれています。東京都内では、他に「国営昭和記念公園」「日比谷公園」「上野公園」「水元公園」「代々木公園」があります。他のメンバーがすごくないですか?そうそうたる面々の中の一角を担うほどすごい公園だったのです。

さらに奥に行くと、親水公園をまたぐように橋が架かっています。重厚な石造りのアーチ橋は上に旧岩月街道が走っています。右手には北区役所、左手に行くと飛鳥山公園です。都電荒川線が飛鳥山を囲むように大きくカーブする交差点のところです。橋自体の趣もレトロないでたちなので、上から眺めてみるのもいいですよ。


この橋のアーチから眺める風景も面白く、半円越しの堀ともみじのコントラストが楽しめます。
紅葉の見ごろは?
親水公園は桜で名高い場所ですが、もみじも多く植えられています。11月中旬の撮影ですが、最盛期11月下旬から12月上旬ではないかと思います。それでもこのわずかな空間を、深紅のもみじが彩りを放つ瞬間はぜひ非とも見てみたいところ。

改札口からはわずか数100mの距離ですが、本当に見ごたえ十分。南北線とJRの乗り換え時や飛鳥山直行ではなかなか気づきにくいアクセスルート。もちろん春は桜、夏は水遊び、秋は紅葉と四季折々で楽しめる小さな穴場スポット。

日が暮れてからも、灯籠の灯りが映えて、なかなかに幻想的です。

ちょっと時間があるときは「王子」で途中下車して、和を感じてみてはいかが?
音無親水公園
- 住所:東京都北区王子本町1丁目
文・写真・BOZU/提供元・たびこふれ
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