SEVENTIE TWOでは、ファッション&アパレル関連の83銘柄を対象に、その株価の騰落率を毎月ランキングしているが、今回はその2021年通年ランキング(2021年1月4日始値と2021年12月30日終値を比較)を掲載する。

2020年1月に日本上陸した新型コロナウイルスは、2021月9月末までに第1次~第5次感染拡大を記録した。10月1日に5回目の緊急事態宣言が解除され、収束の兆しが見られた。しかし2022年1月からはデルタ株から変異したオミクロン株が猛威を奮って、第6次感染拡大期を迎えている。

こうした2年間のコロナ禍の中で、2021年は2021年1月4日始値から2021年12月30日終値まで日経平均株価は、2万7575円でスタートし2万8791円で終わったから、1年間で4.4%の上昇だった。2月と9月には一時3万円台に突入し、最安値は8月20日の2万6954円だった。簡単に言って、2万7000円〜3万円台を上下する値動きだったと言えるだろう。

SEVENTIE TWOが選んだファッション&アパレル関連の83銘柄については、単純平均で−14.0%という厳しい数字が出た。10月1日の緊急事態宣言解除後の11月、12月は年末商戦も比較的順調だったが、株価への反映は少なかったということか。いずれにしても、オミクロン株拡大が現実のものになり、1月のバーゲンセールや2月以降の春物立ち上がりなどに対する影響が懸念されている。

以上が昨年1年間の概況だが、そうした中で株価上昇率トップ(+241.9%)は、ダントツでスノーピークだった。11月29日に1株を2株にする株式分割を行ったが、それを調整して株価は930円から3180円まで実に3.4倍になった。「ソロキャンプ」を流行語にするなどアウトドアライフスタイルの牽引企業と言えるだろう。業績も完全に様変わりしている。

11月12日に発表になったスノーピークの第3四半期(2021年1月1日〜2021年9月30日)決算は:
・売上高:183億9300万円(+61.0%)
・営業利益:25億5600万円(+222.1%)
・経常利益:26億9600万円(+236.4%)
・親会社株式に帰属する四半期純利益:17億6600万円(+214.5%)
という驚異的なパフォーマンスだ。配当も12円50銭から20円に大幅増配している。同社は2020年3月2日付で山井太現会長に変わって山井梨沙副社長(当時32歳)を社長に抜擢した。タトゥーを入れていることへの批判などもあったが、絶妙のタイミングのバトンタッチだったと言えるだろう。コロナ禍を追い風にした銘柄とも言えそうではあるが、こうした業績の急拡大はあと2年は続きそうだ。

上昇率第2位(+202.6%)はウィメンズフォーマルウェア専業のトップ企業の東京ソワールだ。2019年12月期、2020年12月期も赤字決算で2021年12月期も赤字は確実。今期は青山の不動産売却でなんとか当期純利益は確保しそうだが、営業利益・経常利益は3期連続で赤字を計上する同社の株がなぜ3倍にハネ上がったのかと言えば、フルージア・マクロスという企業が同社株を全体の16.72%まで買い占めたことが原因だ。このフリージア・マクロスはラピーヌ社株買い占めで同社の完全乗っ取りを成功させている。東京ソワールは7月30日の臨時株主総会でフリージア・マクロス及びその関係者による買収に対する防衛策導入を全体の68%の賛成で可決し、フリージア・マクロスの株買い占めはその後沈静化している。またフリージア・マクロスはアパレル関連ではツカモト・コーポレーションの7.82%の株式保有を昨年5月12日に財務省に報告している。

上昇率第3位(+146.6%)は中古ブランド品売買首位のコメ兵ホールディングスだ。今期は第1四半期から、前期とは一変して黒字決算になった。オンラインストアの利用促進、法人向けオンラインオークション、AIでの真贋判定の導入などで仕入高及び売上高が急増したのが原因だった。こうした傾向は第2四半期(2021年4月1日〜2021年9月30日)でさらに拡大しており、一時は2000円(10月)を突破する場面もあった。コメ兵ホールディングス株は、2004年4月30日の3960円、2015年7月30日の3825円(いずれも終値)などの高値を記録しており、これらに比べればまだ半分の株価水準であり、これからさらに業績の改善が進めばもう一段高も期待できるかもしれない。

上昇率第4位(+135.5%)は2019年3月に伊藤忠商事にTOBされたデサント。伊藤忠傘下で迎えた最初の2020年3月決算は大幅減収減益で希望退職者募集まで行ったが、なんとか営業利益、経常利益は黒字をキープした。しかし2021年3月期はコロナ禍もあり大幅減収で営業損益、経常損益ともに赤字転落。「やはり伊藤忠傘下ではダメ」と陰口を言われたものだが、2021年8月6日発表の2022年3月期の第1四半期から業績は一変。デサントは東京オリンピックと大谷翔平(スポーツウェアでアドバイザリー契約)による好影響を最も受けたスポーツ関連企業かもしれない。デサントだけでなくゴルフ、ランニングといったアウトドアスポーツを中心にスポーツ関連企業にはコロナ禍が追い風になっている。この8月の第1四半期発表を待つまでもなく、デサントの株価はすでに5月から動意づいており、11月18日には5120円の史上最高値をマークしている。現在は一服しているが、2022年3月決算でどこまで業績が伸ばせるのかが、同社株の今後にとってポイントになる。

※「SEVENTIE TWO」ファッション&アパレル関連83銘柄
スノーピーク、ハニーズホールディングス、ライトオン、バロックジャパンリミテッド、ミズノ、ニトリホールディングス、TOKYO BASE、ゴールドウイン、キムラタン、ゼビオホールディングス、グンゼ、アツギ、TSIホールディングス、パルグループホールディングス、エニグモ、近鉄百貨店、タビオ、イオン、山喜、タキヒヨー、フェスタリアホールディングスナイガイ、ドウシシャ、コナカ、カッシーナ・イクスシー、ヤマト インターナショナルヤギ、しまむら、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、シャルレ、ワコールホールディングス、ZOZO、堀田丸正、パレモ・ホールディングス、ダイドーリミテッド、ナルミヤ・インターナショナル、夢展望、川辺、チヨダ、AOKIホールディングス、井筒屋、サマンサタバサジャパンリミテッド、千趣会、ワークマン、メルカリ、デサント、松屋、マツオカコーポレーション、4℃ホールディングス、良品計画、三越伊勢丹ホールディングス、MRKホールディングス、クロスプラス、サックスバー ホールディングス、ABCマート、はるやまホールディングス、ムーンバット、高島屋、J.フロント リテイリング、タカキュー、アダストリア、ダブルエー、セブン&アイ・ホールディングス、コックス、エイチ・ツー・オー リテイリング、丸井グループ、ワールド、三陽商会、ルックホールディングス、青山商事、ラピーヌ、オンワードホールディングス、ANAP、コメ兵ホールディングス、キング、西松屋チェーン、ファーストリテイリング、ユナイテッドアローズ、アシックス、ジンズ、ロコンド、BASE、東京ソワール

2021年ファッション&アパレル関連株騰落ランキング トップは株価3.4倍のスノーピーク
(画像=『SEVENTIE TWO』より引用)

©︎SEVENTIE TWO

文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO

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