県境。市境。観光に行く場合、行政区画を気にして行動することはあまり多くないと思います。むしろ観光地はゾーンやエリアで認知されている場合が多く、例えばいわゆる「軽井沢」は群馬県と長野県にまたがっていますし、神奈川県の江の島は、鎌倉市(実際は藤沢市)と認識している人が多いと聞きます。

日本を旅していると、現在の県境というよりはむしろ江戸時代の「藩」の頃に制定された「境」の方が文化的に合致する点が多く、そんな物差しで地域を見てみるのもおもしろいです。

さて、今回は今の県境をご紹介。「地理の旅」へ出掛けましょう。

目次

  1. 埼玉・群馬・栃木 3つの県境
  2. 渡良瀬遊水地の広大な眺めとハートのこと

埼玉・群馬・栃木 3つの県境

【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)

3つの県境のある「三県境」をご存じですか?三県にまたがる県境は、全国に40か所ほどあるといわれています。ただ、そのほとんどが山の頂や尾根、河川にあります。

しかし、埼玉県、群馬県、栃木県にまたがる県境は、日本で唯一といわれる徒歩で行ける平地にある三県境です。

【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)

場所は国道354号を行き「渡良瀬遊水地」、「道の駅 かぞわたらせ」を目指すとわかりやすいです。さて、その三県境。道の駅から行くと500mほど先にあります。小さいながらも駐車スペースがあるので直接向かうこともできます。それではご案内。一見すると何もないひらけた場所ですが、入口には案内板があります。

【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)
【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)

奥には木製のベンチなどが置かれています。近づいてみると実に興味深い光景が目に飛び込んできます。用水路がYの字の三つまたに分かれており、分岐を取り囲むように「埼玉県」、「群馬県」「栃木県」の立て札がありました。

【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)
【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)
【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)

正確には埼玉側が「埼玉県加須市小野袋」、群馬側が「群馬県邑楽郡板倉町」、栃木側が「栃木県栃木市藤岡町下宮」とあります。分岐の中心点には、県境を示す境界標石があり、しっかりとそれぞれ三県の境であることが明示されています。

【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)

境界標石には北緯36度12分27秒、東経139度39分50秒と書かれています。

ちなみに日本の緯度経度は、日本測地系60進法といわれていて、独自の表記方法を用いています。時計と同じく60を単位として「時」「分」「秒」を使って位置を数値化しています。

対してサイトやスマートフォンで日常的に使われているのは「世界測地系10進法」というものになっています。

【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)

従って本記事の文末にある位置情報は、世界測地系10進法で示された場所なのです。地理好きとしては、境目は非常に気になるところ。ましては3つの県を目の当たりにし、一跨ぎできるこの「三県境」は何とも魅力あるスポットです。

渡良瀬遊水地の広大な眺めとハートのこと

【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)

三県境から、500mほど移動した先に「道の駅かぞわたらせ」があります。こちらには「三県境さいぐんと」なる施設もあります。さいたま・ぐんま・とちぎの頭文字から取ったのでしょう。軽食や一休みにはもってこい。

【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)
【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)

眼前には渡良瀬遊水地の広大な姿。栃木県の南端に位置し、栃木・群馬・埼玉・茨城の4県にまたがる33平方km、貯水量2億立方mの国内最大級の貯水池になっています(渡良瀬遊水地ホームページより)。湿地帯だけに、多くの野鳥が飛来します。そのため2012(平成24)年に、千葉県の谷津干潟などと同様、ラムサール条約湿地に登録されました。

ここで注目したいのは、遊水地の形。マップで遊水地を見てみましょう。

ハートに見えませんか?

そんな絡みからか「さいぐんと」の建物の屋上部には、ハートのオブジェがあり「恋人の聖地」に認定されているようです。

【埼玉県加須市】親子で行こう!地理の旅 埼玉・群馬・栃木3つの県をひとまたぎ~三県境~
(画像=『たびこふれ』より引用)

いかがでしたでしょうか。いわゆる見る、遊ぶなどといった王道の観光スポットとは一線を画す「地理の旅」。

何もない?これしかない?いえいえ、これこそ学びと発見の「地理の旅」の醍醐味。週末はお父さんと一緒に珍しい観光スポットへお出かけしてみませんか!

三県境

住所:埼玉県加須市小野袋(群馬県邑楽郡板倉町、栃木県栃木市藤岡町下宮)
駐車場:あり

文・写真・BOZU/提供元・たびこふれ

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