みなさんは「ジャガランディ」という動物をご存知でしょうか。
ジャガランディは、中央米と南米に分布するネコ科の食肉類で、彼らより大きなピューマの近縁種です。
ネコのような見た目が愛らしいジャガランディですが、このほど、南米コロンビアで、きわめて珍しいアルビノのジャガランディが保護されました。
メスの子どもであり、アルビノ個体の発見は同国初のことです。
ジャガランディとはどんな生き物?
ジャガランディ(学名:Herpailurus yagouaroundi)はかつて、体色の違いにより2種に分かれると考えられていました。
茶色系のものをエイラ(Eyra)、灰色系のものをジャガランディ(Jaguarundi)と呼んで区別していましたが、遺伝子研究で、2つはまったくの同種であることが判明したのです。
それ以降は、基本的に「ジャガランディ」の名前で通っています。(スペイン語圏では、「小さなライオン」を意味する”レオンチロ・Leoncillo”と呼ばれることも)
平均的なサイズは、体長約65センチ、体重約6キロ、尾の長さが45センチほどです。
ネコに似ていますが、頭がやや長く、ネコ科に特有の丸みはあまり見られません。
また、瞳孔は丸く収縮します。
生息地は、水辺が側にある低標高の草地がほとんどで、単独かペアで行動します。
非常に身軽で、樹上をすばやく移動でき、泳ぎも得意です。
狩りは地上と水辺で行い、主に魚や小型の哺乳類、巣の中の小鳥などを捕食します。
妊娠期間は70日前後で、一度に1〜4匹の子を産み、だいたい2年で成熟個体となります。
アルビノは野生では生きられない
今回のアルビノ個体は、コロンビア西部にあるアンティオキア県の都市メデジン(Medellín)で発見されました。
通常個体では見られない真っ白の体色と赤い目をしており、アルビノであることを示しています。
アルビノは、色素であるメラニンが生産できない先天的な遺伝子疾患であり、皮膚や目、体毛の色が正常に作られません。
獣医師のユリアニー・ドゥケ(Yuliany Duque)氏は「ボランティア消防隊と協力して、都市部から約4時間離れた場所にいたアルビノのジャガランディを保護しました。
その後、治療のために近くの保護公園に移送した」と話します。
アルビノ個体は非常に目立つため、野生下で生き残るのが難しいとされます。
真っ白い体色のせいで、草むらや木陰に身を隠すことができず、天敵にすぐ見つかってしまいます。
また、見た目だけでなく、目の色素も欠け落ちているので、視力も通常個体より弱いのです。
メラニンは、虹彩や網膜、眼筋、視神経の発達を助ける働きがあり、これがないと目がうまく形成されません。
さらに、メラニンは日光から皮膚を守る働きもあるため、不足すると皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)になる危険性が高くなります。
そのため、日光浴をする動物にとってはアルビノが死の原因になることもあるのです。
保護されたジャガランディもこれらの危険性があるため、今後も野生に戻すことはなく、公園内で保護すると発表されています。
参考文献
Jaguarundi cub rescued in Colombia has rare albino disorder that leaves it with white fur and red eyes making it vulnerable to predators in the wild: Animal is transferred to a conservation park
Rare albino jaguarundi cub rescued in Colombia
提供元・ナゾロジー
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