子どもの肥満は世界的に増加しています。
イギリスでは、5歳未満の約4分の1が肥満だと言われており、中学校に入学するころには、3分の1以上にまで増加します。
イギリス・サウサンプトン大学(University of Southampton)に所属する統計疫学者サラ・クロージャ―氏ら研究チームは、妊婦の不健康な食生活が子供を肥満にすると発表しました。
生まれてくる子どもがスリムで健康的に育つことを望むのであれば、出産する前から食事には気を付けるべきなのです。
研究の詳細は、12月16日付の学術誌『International Journal of Obesity』に掲載されました。
偏った食事を好む母親から生まれてくる子どもは肥満になる
研究チームは、母子の健康を長期的に追跡する研究「サウサンプトン女性調査」に参加。
そして調査の一環で、母子の食生活について女性たちにインタビューし、子どもを産む前の食事と、生まれた子どもの健康について調べました。
アンケートでは、妊娠前と妊娠11週目、そして妊娠34週目の母親の食事が調査されました。
また生まれた子どもが6カ月、1歳、3歳、6~7歳、8~9歳の時に何を食べていたか尋ねています。
その結果、母親のBMIが高い(つまり肥満である)ほど、子どもの食生活も乱れる傾向がありました。
さらに母親の「年齢が若い」「低学歴」「喫煙者」といった要素も、子どもの不健康な食生活と関係していたとのこと。
そして母子共に食事の栄養バランスが悪い場合、8~9歳のときに子どもの体脂肪率、およびBMIが高くなると判明しました。
つまり食事を抜いたりドカ食いしたりする母親、またジャンクフードが好きで野菜嫌いな母親は、それが出産前だったとしても、子どもの健康に悪影響を及ぼしてしまうのです。
この結果を受けてクロージャ―氏は次のように述べています。
「子どもの肥満は深刻化しつつある問題であり、その悪影響は成人期まで続きます。
そのため母親は、できるだけ早い段階で食生活の改善に取り組むべきです。
妊娠中、あるいは妊娠前から健康的でヘルシーな食習慣を身に付けることが重要なのです」
将来子どもを産みたい方、また今まさに胎児を抱えているお母さんたちは、一層健康的な食事をするよう意識すべきでなのです。
それには夫婦で協力することも大切でしょう。
参考文献
Childhood Obesity Linked With Mother’s Unhealthy Diet BEFORE Pregnancy
元論文
Longitudinal dietary trajectories from preconception to mid-childhood in women and children in the Southampton Women’s Survey and their relation to offspring adiposity: a group-based trajectory modelling approach
提供元・ナゾロジー
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