米国株への投資に個人投資家から熱い視線が集まっています。上昇トレンドが続く米国株を見て「始めてみよう」と決心した時、「NISAを利用できないか?」と考える人は多いのではないでしょうか。NISAで米国株投資を始める方法とおすすめのネット証券を解説します。

米国株投資にNISAを使った方がいい3つの理由

NISAを利用して米国株投資を始めるには?おすすめネット証券も紹介
(画像=Denis Anikin/stock.adobe.com)

NISAは米国株投資にも利用できます。さらなる株価上昇や高い配当が期待される米国株への投資は、売却益や配当に課税されないNISAを利用すればさらに強化されるでしょう。

米国株投資にNISAを使った方がいい理由

  • 売却益や配当益が非課税になる
  • 年120万円の枠を最大限活用できる
  • 売買手数料が無料の証券会社もある

売却益や配当益が非課税になる

NISAの最大の魅力は、投資で得た値上がり益や配当に課税されないことです。通常、株式を売買して利益を得たら「株式譲渡益課税」、配当を得たら「配当課税」を支払わなければなりません。税率はどちらも20.315%です。

NISAでは一定の条件を満たせば、売却益や配当に課税されません。NISAで米国株へ投資しても同様に非課税です。
出典:国税庁『株式・配当・利子と税』金融庁『NISAとは?』

年120万円の枠を最大限活用できる

NISAの非課税投資枠は年間120万円です。対象となる金融商品は国内外の株式やETF、投資信託などです。米国株も、NISAの投資対象商品に含まれています。
出典:金融庁『一般NISAの基礎知識』

NISAで米国株へ投資すると、年間120万円の非課税枠を最大限活用できます。

日本株は単元株制度を採用しているので、多くの銘柄は100株単位で取引されます。一方で米国株は1株単位で取引できるので、小さな金額で取引が可能です。

たとえばリクルートホールディングスの株価が7000円の時に最小単位である100株を購入した場合、70万円(=7000円×100株)の資金が必要です。

一方でアップルを株価が180ドルの時に最小単位である1株購入した場合、180ドル(=180ドル×1株)必要となり、1ドル=113円で円に換算すると2万340円になります。

NISA口座でリクルートホールディングス株を70万円で購入してしまうと、120万円の非課税枠はすでに50万円しか残っていないので、追加で購入できる銘柄数が限られてしまいます。

その点、アップル株の約定代金は2万円程度なので、1株で購入できる米国株であればより多くの銘柄を買うことができるのです。

売買手数料が無料の証券会社もある

NISAで米国株へ投資する際、売買手数料を無料とするネット証券があります。

SBI証券と楽天証券では、NISA口座において米国ETFの買付手数料が無料です。マネックス証券では、米国株の買付手数料が全額キャッシュバックされるので実質無料となります。
出典:SBI証券『NISA手数料』楽天証券『一般NISAの手数料』マネックス証券『NISA株式手数料が恒久的に無料』

売買手数料は代表的な投資コストのひとつです。個々の取引では気にならないかもしれませんが、長期的に考えるとリターンに与える影響は小さくないので、少しでも売買手数料を少なくする機会があれば活用しましょう。

NISAで米国株を購入する3つのメリット

米国株には、日本株にはない魅力がたくさんあります。日本人にとって自国市場である日本株への投資は重要ですが、日本株投資のデメリットを補ってくれる米国株投資の重要性は高まっています。

米国株市場の現状や売買ルールなどから、米国株のメリットを3つ解説します。

NISAで米国株を購入するメリット

  • 米国株は日本株より株価上昇が期待できる
  • 米国株は日本株よりも配当が大きい
  • 米国株は単元株制度がなく1株から購入可能

米国株は日本株より株価上昇が期待できる

米国株の長期上昇基調が続いています。米国株はハイテク株を中心に過去30年間上昇トレンドにあり、リーマンショックやコロナショックなどで一時的な調整局面はありましたが、その都度復活して現在も世界中から投資資金が流入しています。

日本株は1990年代のバブル経済崩壊を経て、2010年代には「アベノミクス」を背景とした日本経済の復活にともない上昇局面に入りました。しかし米国株と比較すると、そのパフォーマンスの差は歴然としています。

マネックス証券によると、1993年末を100とした場合の変化率をNYダウ平均と日経平均で比較すると、2019年末時点の日経平均が約150であるのに対して、NYダウは約750まで上昇しています。
出典:マネックス証券公式サイト

日本の投資家にとって自国株式のみではなく、米国株へ投資することが資金を成長させるために必要なのではないでしょうか。

米国株は日本株よりも配当が大きい

アメリカには、株主還元策として配当を重視する企業が多くあります。アメリカでは、事業で得た利益を次の投資に使わずに内部に留めておくと、経営者は株主から厳しい批判にさらされます。「使わないのなら株主に返せ」ということです。

したがって、新規事業に進出したり、M&Aに資金を使ったりしないのならば、配当を増やして株主に還元する傾向が強くなります。

高い配当を狙って株式市場に資金を投じる投資家も多く、これらの投資家が配当を得るために中長期的に株式を保有し、株価を下支えする要因にもなっています。

米国株は単元株制度がなく1株から購入可能

米国株には単元株制度がないので、1株から購入可能です。

単元株制度とは、株式を売買する時の最低売買株数(1単元)を会社が自由に決めることができる制度のことです。日本では、多くの企業が100株を1単元としているので、約定代金が大きくなってしまいます。

NISAは年間120万円が投資金額の上限なので、たとえば任天堂(株価:5万2,930円、 12月17日終値)などの株価の高い銘柄はNISAでは投資できません。

単元株制度のない米国株であれば、アマゾン・ドット・コム(株価:3,400.35ドル、 12月17日終値)など比較的株価が高い銘柄でも1株単位なので購入できるのです。

NISAで米国株を購入する3つのデメリット

NISAで米国株へ投資する場合、いいことばかりではなく、いくつか注意しなければならない点があります。

以下に取り上げる3つのデメリットは株価の変動リスクと税金処理の問題なので、投資を開始する前に理解しておきましょう。

NISAで米国株を購入するデメリット

  • 米国株には値幅制限がない
  • 損益通算や繰越控除ができない
  • 外国税額控除が利用できない

米国株には値幅制限がない

米国株には値幅制限がありません。日本には値幅制限があり、株価が急騰・急落した時にあらかじめ決められた値幅に達すると、ストップ高/ストップ安となり、その日はそれ以上取引ができなくなります。
出典:JPX『内国株の売買制度』

米国株には値幅制限がないので、株価が急騰すれば大きな利益をもたらしますが、株価が急落すると予想外の損失を被ってしまいます。米国株へ投資する時は、想定外の株価下落に十分注意する必要があります。

損益通算や繰越控除ができない

NISA口座で損失が出ても他の口座と損益通算することができません。
出典:金融庁『一般NISAの概要』

損益通算が可能だと、たとえばA株の売買で10万円の利益を得たら課税対象となりますが、同時にB株の売買で10万円損失が出ていれば、通算すると利益は出ていないので、A株の売買に対する課税が避けられます。

一方、A株が課税口座、B株がNISA口座の場合には損益通算ができないので、A株に対して20.315%の税金がかかります。このルールは米国株に投資した場合も同じです。

NISAでは繰越控除もできません。日本の制度では、ある年に損失を出した場合、翌年以降3年間繰り越して、その後に得た利益と相殺できるのですが、NISA口座ではこの繰越控除が使えません。

外国税額控除が利用できない

NISAでは外国税額控除の制度が利用できません。外国税額控除とは、外国株の配当金に対して二重課税になるのを防ぐために、外国で支払った税額を一定の範囲で所得税から控除できる制度です。
出典:国税庁『No.1240 居住者に係る外国税額控除』

NISAでは、元々日本で課税されず二重課税にならないので、外国税額控除の制度を利用できません。NISAで米国株に投資して得られた配当金に対しては、米国で10%の配当課税を支払うことを理解しておきましょう。

NISA口座で米国株投資するのにおすすめの5大証券会社

NISA口座で米国株を取引できる証券会社はたくさんあります。その中からおすすめの証券会社を5社ピックアップし、各社の特徴やスペックを比較していきましょう。

NISA口座での米国株投資におすすめの証券会社

  • 楽天証券
  • SBI証券
  • 松井証券
  • SMBC日興証券
  • マネックス証券
楽天証券 SBI証券 松井証券 SMBC日興証券 マネックス証券
口座開設数 624万3338 771万7000 136万1834 370万8000 198万1602
たまる・使えるポイント 楽天ポイント、楽天証券ポイント Tポイント、Pontaポイント 松井証券ポイント dポイント マネックスポイント
米国株取引手数料 約定代金×0.495%
(最低0米ドル、上限22米ドル)
(NISA口座では米国ETFの買付手数料が無料)
約定代金×0.495%
(最低0米ドル、上限22米ドル)
(NISA口座では米国ETFの買付手数料が無料)
- 【現地手数料】
売買代金×0.2%
【国内取次手数料】
売買代金×1.265%
(最低3万470円、上限)
約定代金×0.495%
(最低0米ドル、上限22米ドル)
(NISA口座では買付手数料が実質無料)
米国個別銘柄数 3827銘柄 4364銘柄 - 109銘柄 3965銘柄
米国ETF銘柄数 356銘柄 327銘柄 - 62銘柄 345銘柄
米国ADR銘柄数 314銘柄 166銘柄 - 256銘柄

楽天証券SBI証券松井証券SMBC日興証券マネックス証券のホームページを参考に筆者作成
※口座開設数については、楽天証券は2021年6月末、SBI証券、SMBC日興証券、松井証券は2021年9月末、マネックス証券は2021年11月末の数値を記載
※米国個別銘柄数、米国ETF銘柄数、米国ADR銘柄数は、2021年12月10日時点の数値を記載
※松井証券は2022年2月に米国株取引を開始する予定

楽天証券……ポイント投資や積立投資など米国株投資のサービスを拡張

楽天証券はネット証券業界のトップ企業のひとつであり、初心者から経験豊富な投資家まで幅広い投資家層に推薦できるネット証券です。

楽天証券は、日本株取引で評判の高い「マーケットスピード」や「iSPEED」など優れた取引ツールを投資家に提供していますが、これらのツールは米国株取引にも利用できます。

また楽天証券の特徴として、投資においても楽天ポイントが貯まる・使えるなどの独自性が挙げられます。「楽天グループ」が提供する様々なサービスを利用した時に得られる「楽天ポイント」を、楽天証券で投資に利用できるメリットは大きいです。

スイングトレードから長期積立まで幅広い投資スタイルに対応

2021年12月26日より米国株もポイント投資の対象になります。同時に米国株の積立投資も開始し、ますます米国株取引を強化しています。
出典:楽天証券『待望の米株積立スタート&業界初!米国株式も「ポイント投資」可能に(12/26~)』

これから米国株式投資を始めたい人で、積立投資などを利用して長期的な投資を考えているなら楽天証券はおすすめです。

またスイングトレード(数日から数週間の短期トレード)などアクティブに売買したい投資家は、楽天証券の使い勝手のいい取引ツールを使いこなせばストレスなく米国株をトレードできるはずです。

SBI証券……米国株アプリのリリースで利便性アップ

SBI証券は口座開設数がネット証券業界でトップクラスで、国内株式個人売買代金シェアでも首位(同社ホームページより)であるトップランナーです。また国内株式や投資信託だけではなく、債券、外国株式、ETF、FXなど幅広く金融商品を提供しています。
出典:SBI証券公式サイトSBI証券『取扱商品』

SBI証券は、米国株に力を注いできました。ETFやADRを含めた米国株の取扱い銘柄数は、日本の証券会社の中で最多水準です。NISA口座での海外ETF(米国、中国、韓国)の買付手数料を無料にするなど米国株サービスの強化に努めています。

2022年に米国株式の信用取引を開始か

2021年は、米国市場に簡単にアクセス可能なスマホアプリ「SBI証券 米国株アプリ」が投入され、米国株取引の利便性が高まりました。2022年には米国株式で信用取引に対応すると報道されており、米国株式ビジネスの強化策が着々と進んでいます。
出典:日本経済新聞(2021年12月15日付)

SBI証券は個別銘柄のみならずETFやADRも幅広くカバーし、取引手数料やその他の取引コスト削減をもたらすサービスも提供しており、米国株に興味を持つ幅広い投資家層におすすめです。

使い勝手のいいスマホアプリも導入されたので、特に米国株投資の初心者で、今後じっくりと長期的なスタンスで米国株投資を計画している投資家に向いている証券会社です。

松井証券……2022年2月に米国株取引に参入へ

松井証券は創業100年を超える老舗証券会社であり、個人投資家向けにインターネットによる取引機会をいち早く提供するなど、ネット証券業界での存在感は際立っています。松井証券は、ネット証券業界の黎明期から現在に至るまで個人投資家を力強くサポートしています。

松井証券は、インターネット取引サービスを日本株中心に展開してきました。日本株の現物・信用取引や先物取引において、売買手数料や売買方法など様々な面でネット証券業界初のサービスを提供しています。投資信託やFX、REITなど幅広い金融商品をラインアップに加え、NISAやiDeCoなどにも対応しています。

2021年12月現在、松井証券は米国株を取り扱っていません。日本株取引で評価の高い松井証券に対して米国株取引を求める投資家からの声が日増しに大きくなる中、松井証券は2011年7月、2022年2月(予定)に米国株取引に参入することを発表しました。
出典:松井証券『米国株式サービス提供に関するお知らせ』

松井証券が新たに展開する米国株サービスに期待する投資家は多いのではないでしょうか。

SMBC日興証券……投資情報の充実度と顧客サポートが強み

SMBC日興証券の最大のアピールポイントは、歴史のある総合証券として質の高い証券サービスを提供していることです。

SMBC日興証券の強みとしてまず挙げられるのは、アナリストレポートなどの投資情報の充実でしょう。発表された決算に関するコメント、業種分析、マクロ経済情報やテクニカル分析など多様な情報を日々投資家に提供しています。

SMBC日興証券には、著名なアナリストやエコノミストが多数在籍しています。

「日経ヴェリタス」や「Institutional Investor」などの専門紙が発表するランキングにおいて、毎年多くのアナリストやエコノミストが上位に選ばれています。その方たちによる、タイムリーで深い洞察を伴ったレポートや動画による解説はとても貴重です。
出典:SMBC日興証券『アナリスト紹介/アワード&ランキング』

米国株取引ではネット証券並みの取引手数料を設定

充実した顧客サポートもSMBC日興証券の魅力です。全国各地にある支店、コールセンター、LINE、チャット等で投資家からの問い合わせに対応しています。

SMBC日興証券は、HDI-Japanが提供するサポートサービス業界の格付けである「問合せ窓口格付け / Webサポート」2021年調査において高い評価を得ています。「問合せ窓口」部門では16年連続で三つ星を、「Webサポート」部門においても11年連続12回目の三つ星を獲得しています。
出典:SMBC日興証券『お客様へのお知らせ』

総合証券として米国株取引にも力を入れており、オンライン専用口座である「ダイレクトコース」では、売買代金×0.2%とネット証券並みの低い手数料率を設定しています。

米国株の取扱銘柄数(2021年12月10日時点)は個別銘柄が109銘柄、米国ETFは60銘柄と少ないですが、充実したサポート体制を受けて、安心して米国株への投資を始めたい人におすすめの証券会社です。

マネックス証券……ネット証券で唯一、米国株の立会時間外取引にも対応

マネックス証券は質の高い金融サービスを幅広く提供する、ネット証券業界でトップグループに位置する証券会社のひとつです。米国株取引にも早い段階から参入しています。

米国にネット証券子会社の米トレードステーショングループ(2022年上半期にニューヨーク証券取引所に上場予定)を有しており、米国株取引を拡充するための基盤としています。

マネックス証券は、トレードステーショングループを米国株サービスの軸足にして、取扱銘柄数の拡大、使い勝手の良いスマホアプリ「トレードステーション米国株 スマートフォン」の提供など、日本の投資家の米国株投資をしっかりとサポートしています。
出典:マネックス証券『トレードステーション米国株 スマートフォン』

米国株はプレマーケットとアフターマーケット含む合計12時間取引可能

また、米国株の時間外取引に対応していることもマネックス証券の強みでしょう。

米国株市場には、通常の立会時間以外に取引が可能な「プレマーケット」「アフターマーケット」という取引制度があります。マネックス証券は、この「プレマーケット」「アフターマーケット」という時間外取引に対応している唯一のネット証券です。
出典:マネックス証券『米国株 時間外取引』

【米国株の取引時間(現地時間)】
プレマーケット:8:00〜9:30
立会時間:9:30〜16:00
アフターマーケット:16:00〜20:00

マネックス証券で米国株投資を行うことにより、使い勝手のいいスマホアプリを使い、時間外取引も含めてアクティブに取引することができます。

NISA口座開設及び登録時の注意点

NISAは投資によって得た売買益や配当が非課税になる制度ですが、この制度を公正に維持するために一定のルールが課せられています。

NISAを利用する際のルールを理解しておかないと、NISAでの投資がスムーズに進まないリスクがあるので注意が必要です。

NISA口座の注意点

  • NISA口座は1人1口座である
  • 1回でもNISA枠を使用すると、翌年まで金融機関の変更ができない
  • 他で買った商品を開設している証券会社のNISA口座へ移管できない

NISA口座は1人1口座である

NISA口座は1人1口座に限定されています。つまり複数の金融機関で開設することはできないということです。このルールを知らずに複数の金融機関に口座開設の申請をすると、もっとも口座を持ちたい金融機関にNISA口座を開けなくなる可能性があるので注意が必要です。

金融機関はNISA口座開設の申し込みを受けると、税務署にNISA口座開設申請を行い、税務署は申込者が他にNISA口座を開設していないか確認することになっています。

税務署は申請が届いた順に受け付けて処理するので、もっとも希望する金融機関の申請が最初に税務署に届かないと、別の金融機関にNISA口座が開設されてしまいます。

1回でもNISA枠を使用すると、翌年まで金融機関の変更ができない

NISA口座は1年ごとに金融機関の変更が可能ですが、注意しなければならないことがあります。変更したい年分の属する年の1月1日以降に、変更前の金融機関のNISA口座で買い付けがあった場合には、その年分については金融機関を変更することはできません。

たとえば2021年1月1日以降、一度でもNISA口座で買い付けを行った場合には、2021年分については金融機関を変更することができないのです。
出典:金融庁『NISA Q&A』

他で買った商品を開設している証券会社のNISA口座へ移管できない

前項でNISAにおいては、1年ごとに金融機関の変更が可能であると説明しましたが、変更前の金融機関のNISA口座で買い付けられた株式や投資信託等は、変更後の金融機関に開設したNISA口座へ移すことはできません。

他の金融機関で買い付けた商品は、買い付けをおこなった金融機関のNISA口座で引き続き保有することになります。

変更前の金融機関のNISA口座で保有されている株式や投資信託等の配当金等や売買益は、変更前の金融機関で買い付けられた年の1月1日から最長5年間、非課税の適用が受けられます。

NISAで米国株の購入までの3ステップ

実際にNISAで米国株を購入するまでには、いくつかのステップが必要です。ひとつひとつクリアしていけば難しいことはありません。マネックス証券での「口座開設~資金の用意~買い付け」の3つの手順を参考に考えてみましょう。

NISAで米国株を購入するまでの3ステップ(マネックス証券の場合)

  • ステップ1,口座開設
  • ステップ2,資金の用意
  • ステップ3,買い付け

出典:マネックス証券『口座開設 お申込み(無料)』『NISAの申込み』

ステップ1,口座開設

最初に必要なのは口座開設です。

マネックス証券では、証券総合取引口座を開設すれば、自動的に外国株取引口座も開設されます。ウェブサイト上で必要事項の入力と認証手続きを行えば、最短で申込みの翌営業日に口座開設が完了します。

証券総合取引口座開設フォームを入力する時に、NISAを「申込む」にチェックを入れると、同時にNISA口座の開設手続きを進められます。

その後、マネックス証券からNISA口座開設申込書類が郵送で届くので、必要事項を記入し、本人確認書類、マイナンバー確認書類を同封し返送します。税務署の審査(1~2週間)が終了すれば、NISA口座開設手続きが完了し外国株式の取引が可能になります。

ステップ2,資金の用意

証券総合取引口座にひもづく外国株取引口座に、米ドルを用意し米国株を取引します。

証券総合取引口座に円で資金を入金し、その後に外国株取引口座に資金を移動させます。そして外国株取引口座に移動させた日本円を米ドルに両替します。最後に、外国株取引口座でNISA用米国株口座へ買付可能額を割り当てます。
出典:マネックス証券『米国株NISA 取引ガイド』

ステップ3,買い付け

まずウェブサイトから証券総合取引口座へログインします。外国株トップページに表示されている「米国株NISA取引」の「ログイン」アイコンをクリックするとNISA取引についての説明ページへ移動します。

そのページにある「米国株取引 ログイン」アイコンをクリックします。するとNISAマークの付いた「TradeStation」が起動するので、購入したい銘柄の買付作業をします。

NISAでおすすめしたい米国株

米国株時価総額ランキング トップ30

順位 企業名 市場 時価総額(米ドル)
1 アップル NASDAQ 2,826,165,947,000
2 マイクロソフト NASDAQ 2,439,342,846,000
3 アルファベット NASDAQ 1,789,422,336,000
4 アマゾン・ドット・コム NASDAQ 1,712,850,515,000
5 テスラ NASDAQ 930,873,177,000
6 メタ・プラットフォーズ NASDAQ 792,466,451,000
7 エヌビディア NASDAQ 709,675,000,000
8 バークシャー・ハサウェイ NYSE 673,057,421,000
9 台湾セミコンダクター NYSE 604,540,879,000
10 JPモルガン・チェース NYSE 474,054,229,000
11 ユナイテッドヘルス・グループ NYSE 464,200,807,000
12 ジョンソン&ジョンソン NYSE 455,465,602,000
13 ホーム・デポ NYSE 417,204,878,000
14 ウォルマート・ストアズ NYSE 397,607,738,000
15 プロクター・アンド・ギャンブル NYSE 389,877,793,000
16 バンク・オブ・アメリカ NYSE 368,283,781,000
17 ビザ NYSE 357,444,007,000
18 マスターカード NYSE 343,994,336,000
19 ファイザー NYSE 343,788,079,000
20 アリババ・グループ・ホールディング NYSE 325,987,366,000
21 ASMLホールディング NASDAQ 312,320,289,000
22 オラクル NYSE 275,643,539,000
23 ウォルト・ディズニー NYSE 270,376,322,000
24 アドビ NASDAQ 269,345,622,000
25 イーライ・リリー NYSE 266,927,541,000
26 ノボ・ノルディスク NYSE 266,893,779,000
27 アクセンチュア NYSE 263,728,111,000
28 ネットフリックス NASDAQ 261,811,324,000
29 サーモ・フィッシャー NYSE 260,564,298,000
30 エクソン・モービル NYSE 259,813,997,000

Yahoo!ファイナンスよりデータを抜粋し筆者作成
※2021年12月16日時点の株価で算出

米国株を選ぶ時のポイント

NISAで米国株を購入する場合、株価変動の激しい銘柄は避けるべきでしょう。

NISAの非課税投資枠(年間120万円)は限られています。長期的に上昇すると考えてある銘柄を購入しても、その銘柄の変動が激しく、短期的な株価の調整に耐えきれず損失覚悟で売却してしまえば、その年の非課税投資枠を無駄にしてしまいます。

一度使った非課税枠は購入した銘柄を売却しても元に戻りません。NISA口座では損失を出さないことがとても重要なのです。

しっかり配当を株主に支払う企業の株価は大きく値上がりはしないものの、安定して中長期的に上昇する傾向があります。

株価変動が安定的で高い配当を得られる銘柄を積み上げて、毎年NISAの投資枠を使いきることが、NISAを効率的に利用する方法なのではないでしょうか。

NISAは2024年に見直される?

2020年度の法改正により、NISA制度が見直されることになりました。
出典:金融庁『令和2年度税制改正について』

2024年からはNISAの仕組みが変わり、年20万円の積立枠と年102万円の投資枠の2階建て構造になります。1階部分が最大20万円の積み立て専用枠になり、1階部分を利用した場合のみ、最大102万円の2階部分を利用できます。

1階部分の20万円の積立枠は、安定資産への中長期的な投資や運用を目的としており、低リスクの投資信託に限定されています。2階部分は、これまでどおり上場株式などに投資することができます。

つまり新しいNISAの投資限度額は、年20万円(1階)と年102万円(2階)の総額122万円で、5年間で最大610万円が非課税対象となります。現行制度の年間120万円、最長5年の合計600万円よりも、投資金額が増えることになります。

1階部分を利用しないことをNISA口座のある金融機関に届け出れば、102万の2階部分だけで投資を行うことができます。

NISAと米国株についてよくあるFAQ

Q NISA口座は、複数の金融機関で開設できる ?

A できません。NISA口座は、1人につき1つの金融機関でしか申込・開設ができません。

Q 「一般NISA」から「つみたてNISA」、「つみたてNISA」から「一般NISA」の変更はできる ?

A 年ごとに変更することが可能です。10月1日から12月31日の間に区分変更の手続きをすれば、翌年のNISA口座区分から変更となります。

Q 「一般NISA」と「つみたてNISA」の両方を利用できる ?

A 「一般NISA」と「つみたてNISA」の併用はできません。NISA口座内で「一般NISA」か「つみたてNISA」を選択することになります。「つみたてNISA」の投資対象商品は、長期・積立・分散投資に適した投資信託及びETFに限定されており、株式は対象外です。

Q NISA口座を他の金融機関に変更できる ?

A 変更できます。ただし、NISA口座開設後に金融商品の購入を行った場合は、翌年まで変更できないので注意が必要です。

Q 家族で各自NISA口座を保有するのは可能?

A 可能です。NISA口座を開設する年の1月1日時点で満20歳以上かつ日本国内に居住していれば、1人1口座に限りNISA口座を開設できます。

Q米国株で失敗しないために、押さえておきたい指数は?

A 米国を代表する30社で構成された「ダウ工業株30種平均株価指数」、ハイテク関連銘柄中心の「ナスダック総合指数」、多くの機関投資家が指標とし、流動性のある大型株で構成された「S&P500種指数」の3つが、代表的な米国の株価指数です。

Q NISAの制度が変わる?

A 2024年からはNISAの仕組みが変わり、年20万円の積立枠と年102万円の投資枠の2階建て構造になります。1階部分を利用した場合のみ、最大102万円の2階部分を利用できます。

1階部分を利用しないことをNISA口座のある金融機関に届け出れば、102万の2階部分だけで投資を行うことができます。

1階部分の20万円の積立枠は、安定資産への中長期的な投資や運用を目的としており、低リスクの投資信託に限定されています。2階部分は、これまでどおり上場株式などに投資することができます。

Q 投資枠を年内に使いきらなかった場合、翌年以降に繰り越しできる?

A できません。その年の非課税投資枠の未使用分があっても、翌年以降に繰り越すことはできません。

Q 購入年と同年に売却した場合、そこで生じた「空き枠」は非課税枠として使える?

A NISA口座の非課税投資枠は年間120万円と決まっています。一度利用した非課税投資枠は、購入した金融商品を売却しても復活しません。

Q NISA口座内で損失が出た場合、他の口座の損益と通算できる?

A できません。NISA口座で損失が出ても、他の口座において得た利益との損益通算はできません。このルールは米国株に投資した場合も同じです。

Q NISA口座で取引を行った場合、確定申告の必要はある?

A NISA口座での売買益および配当金等は非課税なので確定申告の必要はありません。

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