まるで彫刻のようなこの画像。これは、風に浸食された火星の地表を写した一枚です。
NASAの火星探査機・MRO(マーズ・リコネッサンス・オービター)に搭載された高解像度カメラ・HiRISEにより撮影されました。
MROは2006年3月に火星の周回軌道に入ってから今日まで、火星の画像データを地球に送り続けています。
HiRISEにより撮影された火星画像は「Hi-POD(HiRISE Pictures of the Day)」と呼ばれており、その最新画像もこの一枚です。
水が存在する場所としても注目される
撮影された場所は、火星の赤道から2度南に位置する「メリディアニ平原」です。
この地は、2004年にNASAの火星探査車・オポチュニティが着陸した場所として知られます。
メリディアニ平原は、いくつかの理由から、火星上で最も注目されている場所です。
そのひとつに、ヘマタイト(赤鉄鉱)の発見が挙げられます。
ヘマタイトは、酸化鉱物の一種であり、液体状の水と深く関係します。地球上では、水中に沈殿して水底に集積することもあれば、湖や鉱泉から形成されたりもします。
オポチュニティがこの地に送られたのは、こういった理由があるからでした。
オポチュニティが見つけた小さな玉状のヘマタイトは、かつてこの地に水があったことを証明し、発見当時は大騒ぎになりました。
彫刻のような美しさのワケは?
こちらの画像は、MROに搭載されているレーザー高度計・MOLAの測定データから得た火星表面の地形図です。
MOLAは、火星表面にレーザーパルスを照射し、光の跳ね返りにかかる時間を計ることで高さを割り出します。
右端の白線で囲われた場所が、メリディアニ平原のある場所です。
最初に上げた彫刻のような画像は、平原にある巨大な衝突クレーターの内部を写しています。クレーターの底部は、堆積物に覆われていましたが、時間の経過とともに風や水による浸食が進みました。
もともと堆積物自体が、層状に敷き詰められていたため、画像のような美しい段上が露わになったと考えられています。
MROはまだまだ現役で活動しており、今後もHiRISEとともに新たな火星画像を送り届けてくれることでしょう。
HiRISEの撮影した火星画像は、「MRO’s image catalog」から閲覧できます。
reference: universetoday / written by くらのすけ
提供元・ナゾロジー
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