新型コロナウイルス感染拡大防止用に安倍首相のアイデアで日本の全世帯へ配布されている「アベノマスク」に虫混入やカビ付着などの不良品が大量(約200件)にあったことで、受注企業がどこなのか批判の声が上がっていたが、興和(54.8億円)、伊藤忠商事(28.5億円)、マツオカコーポレーション(7.6億円)の3社(カッコ内は契約額)であることが4月21日厚生労働省の発表で判明した。興和は興和紡績が祖業の名古屋の企業で現在はコルゲンコーワやキャベジンコーワに代表される医薬品事業が中核。マツオカコーポレーションはファーストリテイリング が企画・生産する「ユニクロ」のOEM生産がメインの広島県福山市に本社を置くOEM企業である。
そして言うまでもなく、総合商社としてナンバーワンの三菱商事を利益で追いかける伊藤忠商事。同社の顔である代表取締役会長CEO(最高経営責任者)の岡藤正広氏は繊維カンパニー出身である。その繊維カンパニーが手がけた「アベノマスク」が不良品だらけというのでは面目丸つぶれだろう。すでにこの3社に対しては不買運動も起こっているという。
このところコロナ・パンデミックの煽りで、この伊藤忠関連のファッション企業の「倒産」が続いているのだ。まず3月18日にはイギリスを代表するライフスタイルブランドの「ローラ アシュレイ」が経営破綻した。同ブランドの日本市場における独占輸入販売権およびマスターライセンス権を昨年取得したのが他ならぬ伊藤忠だったのだ。続いてやはりその花柄が有名な1993年創業の英国のライフスタイルブランド「キャスキッドソン」の日本法人であるキャスキッドソンジャパンが4月22日に自己破産を東京地裁に申請し、同日破産開始手続き決定。負債総額は65億円。そのコスメ商品の独占輸入販売権を昨年から取得していたのが伊藤忠だった。なんとも、このところコロナにやられっ放しの伊藤忠ではある。ただし「ローラ アシュレイ」「キャスキッドソン」ともに日本展開に影響はないと伊藤忠はコメントしている。こうした中小規模の有名ブランドの本体や日本法人が倒産するようなことは今後日常茶飯事になってくることも十分予想される。
文・久米川一郎/提供元・SEVENTIE TWO
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