華族、成金、野球を愛した者……様々なオーナーたちの物語

本書は基本的には時間軸に沿って、どの企業・どの人物がプロ野球に参画し撤退していったかの歴史をたどる。そこから、この一世紀弱の日本社会の変遷も見ていこうという企てである。

長い歴史物語は、明治の初め、アメリカへ留学した鉄道技師がボールとグローブを携えて帰国した話から始まる。そこから「初の職業野球のチーム」結成まで、日本社会は半世紀近くを必要とした。明治初期から昭和初期まで、野球と鉄道と新聞とは並行して発展し、この三者が出会うことで、「プロ野球」は誕生する。

オーナーたちのなかには野球を愛した者もいれば、何の興味も持たない者もいた。華族もいれば戦後成金もいた。球団を持つ目的も、営利事業のひとつ、自社の宣伝、顧客サービス、社員が一体になるため、成り行き、などさまざまである。撤退した企業も多いが、そのなかで経営破綻したのは、偶然にも、大映とダイエーである。

歴史物語として、紳士録として、産業興亡史として、お楽しみいただきたい。

著者プロフィール
中川右介(なかがわ・ゆうすけ)
1960年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立、代表取締役編集長として音楽誌「クラシックジャーナル 」を定期刊行するほか、音楽家や文学者の評伝、写真集の編集・出版に、2014年まで携わる。現在は文筆家・編集者として、クラシック音楽はもとより、歌舞伎、映画、歌謡曲、マンガなどのカルチャー、サブカルチャーのほか、人物評伝、政治・経済のジャンルでも旺盛な執筆を続ける。主な著書に『阪神タイガース1965-1978』『阪神タイガース1985-2003』『ロマン派の音楽家たち』『江戸川乱歩と横溝正史』『阿久悠と松本隆』『1968年』『サブカル勃興史』など 。

提供元・日本実業出版社

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