ボディビルディング=人間が世に映し出す、動物界で最も美しい肉体美の表現のことだ。そして、その頂点を極められる者は、絶え間ない努力と、それを実行しようとする素質が相まって生まれてくるものであり、それを可能とした者が初めて肉体芸術の極意を実感できる。だが、何も素質だけが全てではなく、誰よりも頑張ろうとする努力、過去の自分を超えていく努力、リスペクトする気持ちがあれば、不可能な話ではない。全ては努力によって改善と向上しようとすることが不可欠である。今回から紹介するのは、ナチュラルボディビルディングの最高峰を極めるべく、鍛錬を怠らない男たちをお見せしよう。

取材:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩

筋トレは休んでも、1カ月ほどきっちりとやれば元の身体に戻せるの知ってる?=田代 誠
(画像=『FITNESS LOVE』より 引用)

「選手生活30周年、ベーシックな種目を大切に」

――復帰後の田代選手はこれまで、バルクアップ、絞り、脚の強化など、その年ごとにテーマを決めてシーズンに臨まれていました。今年のテーマは何でしょうか。

田代 今年は例年以上に忙しくさせていただいています。現段階では、体のケアをしながら行って、ベンチプレス、スクワットなどのベーシックな種目を大切にして取り組みたいと思っています。ケガすることなく、より自然体の状態でトレーニングを続けていきたいです。決して無理な重量を扱うわけではないですが、重たいものを扱える種目を行っています。

――多忙を極め、トレーニング時間があまり確保できないからこそ、より多くの筋肉を動員する多関節種目をチョイスするということでしょか。

田代 そうです。ですから、腕のトレーニングなどはあまりやっていません。6分割でローテーションを組んだ際に「腕」が入ってきます。1週間に1回はその部位のトレーニングを行いたいのですが、今はそういう状況ではありません。5回しかできないときは「腕」を、4回しかできないときは「ハムストリング」を省く、という感じです。

―― 分割は「胸」「背中」「ハム+カーフ」「肩」「腕」「脚前」でした。

田代 その分け方自体は変えていません。必ず行うのは、「胸」と「背中」です。

――脚を省く抵抗感は?

田代 ありません。元の脚にはすぐに戻りますし、1回トレーニングができないくらいで変わるものでもありませんから。

――セット数やレップ数なども短縮バージョンにしているのですか。

田代 はい、現時点では少なくはしています。種目数は6~7、レップ数は種目にもますが7~8くらいです。ですから、自分の中ではそれなりの重量は扱っているつもりです。セット数は1日のトレーニングでトータル20セットほどです。トレーニング時間は1時間半です。