この体験は、今から20年程度前のものです。
当時私は、知床半島に近い町に住んで、働きながら私立大学の通信課程で法律を学んでいました。
レポートを提出し、単位認定試験を受験することができ、一泊二日の予定で試験が開催される帯広市に向かうことになりました。
そのとき起きた事
次の日の土曜日が試験日だったのと、うれしいボーナス支給日だった事もあって、その日の事は今でも明確に覚えています。
ほくほく笑顔の私は、その後、悲惨な目に遭うことは知る由もなく、仕事を夕方に終えて帯広市に向かいました。
走行距離約200km、安全運転の私ですので所要時間2時間30分から3時間はかかります。
途中、美幌町、日本一寒い町と言われる陸別町、シンガーの松山千春の出身地の足寄町、音更町を経て帯広市へと向かいます。
その日は、雪は降っていなかったのですが、上士幌町を過ぎたあたりから路面が怪しくなってきました。帯広市は、この地方では人口も多い町で、手前の音更町もわりと人口が多いです。人口が多いということは、車の数も帯広市に近づくに連れて多くなってきます。
走っていると道が滑りそうなブラックアイスバーン状態になっていることに気づきました。前方の車も時速30kmくらいで走っていました。
ブラックアイスバーンは、道路に積もった雪が、気温や車のタイヤとの摩擦で一旦は融けるものの、気温が氷点下だと凍ってしまい、路面に薄氷が貼っているような状態で、一見すると路面が黒く濡れているように見えるのでブラックアイスバーンと呼ばれています。
雪も積もっていないので、わりと気づかないドライバーもいるのではないでしょうか?
私も追突しないように注意して減速していました。ところが滑ってしまったのです。
右側の対向車線に滑ってしまい、驚いて元の車線に戻そうとハンドルを急にきって、元の車線には戻りましたが次の瞬間には異次元の場所にいました。
異次元の場所からの脱出
しかしハンドルをきりすぎたのか、私の車は左側の車線を外れ、ドドドドっていう感覚で小さな坂を下り、次の瞬間には「ここはどこ?」という感覚でした。その頃は聴いていた、好きな80年代の洋楽が虚しく何事もないかのように車内に響いていました。
私は打撲も無く全くの無傷でしたので、車を降りてチェックすると、損傷はまず前方に見えるボンネットがやや変形したようで、エンジンのある所から火花が出ていました。
この異次元の場所に来た時間は滑ってから1分程度だったと思います。この場所は何なのか?・・・・後でわかりましが、走っていた道路と4mは落差がある、コンクリートで作られた除雪した雪を除去するための少し大きな流雪溝でした。あまり雪とか水は溜まってなく、坂を下ったようにしていた私の車が、この溝にうまくはまったのは、これ以上大事にならずに不幸中の幸いだったのかもしれません。
しかしここから脱出しなければと思っていたら、親切な後続車の方が車を停め、「怪我をしていないか」など温かい声をかけてくださり、手を貸してもらい、登って元の道路にたどり着きました。さらに近所の整備工場まで送ってもらいました。
工場の方は、現場を見に行き、「今は危険な状態だから、明日車を引き揚げる。」と言い代車を出してくださいました。
