サムスン電子と台湾TSMCが「超極微細」3ナノメートル(nm・10億分の1m)半導体生産工程の商用化を控え、顧客を確保するための熾烈な競争を続けている。韓国メディア「グローバルエコノミック」が報じた。
両社や米インテルなど世界的な主要Fab(半導体の一貫生産工程)企業をはじめ、自動車など需要産業企業までが半導体生産に参入し、昨年から今年にかけて決定した投資規模は過去20年間の半導体産業史上で最も高い水準だ。
このような投資のハイライトはサムスン電子とTSMCがリードする3ナノ工程が核心だ。5~7ナノ級の先端Fabの1ラインを建設するのにかかる投資費用は10兆ウォン(約1兆円)以上かかるとされ、3ナノはそれより倍以上の資金を必要とする。サムスン電子は最近、米国に建設敷地を確定したファウンドリー工場(半導体受託生産)は3ナノ工程を適用するとされているが、総投資費用は20兆ウォン(約170億ドル、約2兆円)に達する。
サムスン電子とTSMCは来年から3ナノ工程を適用した半導体を本格的に量産する見通しだ。サムスン電子は来年上半期、「ゲート・オールアラウンド(GAA)」工程を導入する。最近3ナノ半導体の試験生産を始めたTSMCの商用化予想時期が来年下半期であるのに比べると、6カ月ほど早いもので、ファウンドリー技術競争に直面して初めてサムスン電子がTSMCをリードする。
量産に劣らず重要なことは、顧客企業の確保だ。天文学的な規模の金をつぎ込んで半導体生産ラインを作ったが、これらが本格的に稼動する2023年以後も半導体サイクルの高止まりが続くかどうかは依然として未知数だ。コロナ19による半導体供給不足が長期化するという見通しが優勢だが、市場状況はいつでも変わり得る。特にファウンドリー事業は物量を発注する顧客企業を確保できなければ生産ラインが直ちに中断される。減価償却期間が短い半導体装備が1日でも稼動しない場合、企業が負わなければならない負担は大きい。
3ナノ競争で勝利してこそ、半導体供給過剰が懸念される2023年以降に繰り広げられる「チキンゲーム」で勝者になれるということだ。
TSMCは米アップルをはじめ、エヌビディアなど、さまざまなファブレス(半導体設計)メーカーを多数保有している。最近はインテルとの事業協議を模索している。ブルームバーグなどの外国メディアによると、インテルのゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は13日(台湾現地時間)にTSMC台湾本社を訪問し、3ナノ工程を活用した自社の中央処理装置(CPU)を生産する案について話し合った。TSMCが世界最大の半導体取引先2社を確保すれば、3ナノファウンドリー市場への初期参入の安定感を高めることができる。
サムスン電子は、TSMCの隙間に食い込みながら、シェアを拡大している。クアルコムとAMDなどTSMCに依存していたファブレス企業を引き込んで反発したのに続き、IBM半導体の新技術を共同開発するなど、外延をさらに広げている。サムスン電子が3ナノGAA工程を稼働し、成功的な歩留まりを確保すれば、TSMCの顧客企業はもちろん、ほかのファブレス企業も手をつなごうとするに違いない。
半導体業界の関係者は「現在ファウンドリー市場でTSMCがサムスン電子の3倍近くのシェアをリードしているが、3ナノ工程は同一線上でスタートするため、現在のシェアは大きな意味はない」とし、「2022年はサムスン電子とTSMCが最も熾烈な競争を繰り広げると予想される」と述べた。
提供元・コリア・エレクトロニクス
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