一応「ペットのヒヤリハットを探せ」シリーズと銘打っておりますが、今回のテーマはいわゆるペットではなくいわゆる「野良猫」や「(特に避妊や去勢がされており、定期的かそれに近い餌やりなどをされている)地域猫」といった特定の飼い主を持たない屋外に住む猫に関わる事故や事件についてです。
こうした屋外に住む猫を撮影した動画や写真もSNSや動画サイトなどで人気が出やすいジャンルではありますが、それらの中にはこうした外住み猫が非常に人間によく懐き通行人に体をすり寄せたりベンチなどに座った通行人の膝に飛び乗ったりする光景も時にあります。
そういった「人間さんに超フレンドリーな野良猫さん」動画・写真はしばしば「癒される」とか「(何もしなくても外住み猫が自分からそばに寄って懐いてくれるので)うらやましい」などといわれて人気が出たりしますが、本当にこうした光景は「ほのぼのした、癒される」ものなのでしょうか。
結論からいうと、こういう状況は当該の外住み猫にとっても人間にとっても決して好ましい状況ではありません。勘の鋭い読者の皆様におかれましては、こうした初対面の(あるいはそれに近い)人間によく懐く外住み猫は悪意を持つ人間によって虐待を受けるリスクが高いという心配もおありでしょう。
ただ、そうした「悪意による虐待」以外の危険やトラブルも多いということには、なかなか注意が巡らされていない点もあります。今回のテーマも、そうした幾つかの「外住み猫と人間のほのぼのネタ」とそこから予測できる最悪の結果を元にした架空のトラブルの「ビフォーアフター」ストーリ ーです。
とある県庁所在地の街にいつ頃からか住み着いた野良の三毛猫は、人間に非常によく懐いて通行人にすり寄ったり膝の上に飛び乗ったりなどするので、ご近所さんには勿論のことSNSや動画サイトでこの三毛猫が映った写真や動画を観た人々(中には海外の人々も複数いました)にもとても人気がありました。
中には、この三毛猫に会いたいためにこの街を訪れる人々も出たほどです。
しかしながら、平和は長く続きませんでした。三毛猫がある人間の膝に飛び乗ろうとしたところ、彼に強く蹴られてしまい打ち所が悪く内臓破裂でそのまま死亡してしまいました。こうした悲惨な結末を迎えてしまったことの、考えられる理由は何でしょう(自由回答です。なお、決して悪意による虐待ではありません)?
・・・正解は、「蹴った人は重度の猫アレルギーを持っていたから」「蹴った人は人獣共通感染症を強く心配していたから」などであり、いずれも自分の生命の危険を感じて反射的に身を守ろうとしたからです。そしてそのため無罪となりました。
実は、以前から「もし猫アレルギーのある方に飛びついたらどうするか、その人がそれで重い健康被害を受けたら誰の責任になるのか」という指摘の声も幾つか(SNSでの指摘も含めて)上がっていました。しかしそうした声は上がった先から「空気の読めない発言」「猫の可愛らしさに嫉妬しているくせに」などという中傷を受け握り潰されていました。
更には、ここまで人間によく懐いているなら室内での適正飼育に移行するのも比較的スムーズではないかということで、正式に室内飼育をしたいという飼い主志願の人々もいたにも関わらず、ここの町内会は「三毛猫ちゃんはみんなのお友達で人間さんを癒してくれる存在だから」とことごとく断ってしまっていました。
こうしたことを考えると、この三毛猫が蹴られて死亡する事件は起こるべくして起こった事件であるといえます。
「人間によく懐く猫は誰にとっても癒しになるはず」というのは一部の暴走気味の猫好きさんの思い上がりでしかなく、猫も人間も不幸にしてしまう百害あって一利なしの考え方でしかありません。
提供元・QUIZ BANG
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