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最も効果的な方法「MILD」とは?

最も効果的な方法「MILD」とは?

明晰夢は、何の努力もなしに見れる人もいれば、睡眠障害の結果として現れる場合もあります。

しかし、一般の私たちが決して見れないわけではありません。

中でも最も効果的な方法は、2017年にオーストラリア・アデレード大学が報告した「記憶誘導型の明晰夢(MILD:Mnemonic Induction Lucid Dream )」です。

簡単に言えば、MILDは「次に夢を見るとき、私は夢の中にいる」というように、自己暗示によって脳を明晰夢へと誘導する方法です。

具体的には、次のステップを踏みます。

1. 入眠から5時間後(ちょうど夢を見ている時間帯)にセットしたアラームで一度起きる

2. 目を覚ました後、直前に見ていた夢を思い出してみる。難しければ、直近に見た夢の内容でもOK

3. 自然な姿勢で横になり、「次に夢を見るとき、私は夢の中にいて、それが夢だとわかる」と心の中で何度も繰り返す

4. この時、2で思い出した夢の中にいる自分を想像しながら、「私は夢を見ている」ことを鮮明に意識する

5. 3と4を眠りにつくまで反復する

実験では、MILDを実践した169名の内、半数以上が1週間以内に少なくとも1回は明晰夢を見ることに成功しています。

また、MILDの成功に最も重要だったのは「いかに早く再度の眠りにつけるか」ということでした。

研究主任のデンホルム・アスピー博士は「一度目を覚ました後、自己暗示をかけて5分以内に眠れた人は、46%の確率で明晰夢を見ることができた」と述べています。

しかもMILD法は、初心者ほど有効であるとのことです。

なぜ明晰夢では「自由意思」がはたらくのか? 初心者でもカンタンに明晰夢が見られるMILD法を紹介
(画像=夢の世界に落ちていくイメージ / Credit: Bruce Christianson、『ナゾロジー』より 引用)

また、普通の夢は、日常の記憶を整理する役割があるのに対し、明晰夢は、心理療法として大きな注目を集めています。

例えば、自分の意思で好きなことができるので「ストレス解消」や、苦手なもの、怖いものを克服するための「トラウマ治療」、さらには、現実で直面している問題を夢で練習したり、解決する場にもなります。

その一方で、明晰夢を見すぎると、通常の睡眠の質が低下したり、現実との区別がつかなくなってしまうため、やりすぎには注意が必要です。


参考文献

WHY DO PEOPLE HAVE LUCID DREAMS? STUDY QUESTIONS THE LIMITS OF CONSCIOUSNESS


提供元・ナゾロジー

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